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継続記録法とは?概要とメリット・デメリットを解説

簿記や会計で在庫を管理する際、在庫の出入りをどのように記録するかは重要なポイントです。その中で代表的な方法の一つが継続記録法(Perpetual Inventory System)です。本記事では、継続記録法の定義、仕組み、特徴、計算例、メリット・デメリットについて解説します。


継続記録法とは?

継続記録法とは、商品の購入、販売、廃棄などの在庫の増減を、リアルタイムで継続的に記録する方法です。この方法では、在庫の入出庫のたびに帳簿を更新し、常に最新の在庫量や原価が把握できる仕組みになっています。

特徴

  • 在庫の増減を仕訳として帳簿に記録する。
  • 販売時点で商品原価を計算して売上原価を確定する。
  • 常に在庫の数量や金額が正確に把握できる。

継続記録法の仕組み

継続記録法では、次のような流れで在庫管理が行われます。

  1. 商品購入時
    商品の購入時に在庫の増加を記録します。
    例:
   (借方)商品 1,000円 / (貸方)買掛金 1,000円
  1. 商品販売時
    販売時に、売上の記録だけでなく、売上原価の計上と在庫の減少も記録します。
    例:
   (借方)売掛金 1,500円 / (貸方)売上 1,500円  
   (借方)売上原価 1,000円 / (貸方)商品 1,000円
  1. 期末棚卸
    在庫はリアルタイムで更新されているため、実地棚卸による確認作業は補助的な役割にとどまります。

計算例

例:商品の購入・販売の流れ

  • 期首在庫:50個(単価500円、合計25,000円)
  • 購入:20個(単価600円、合計12,000円)
  • 販売:30個(販売価格単価1,000円)
  1. 購入の記録
    在庫増加を記録します。
   (借方)商品 12,000円 / (貸方)買掛金 12,000円
  1. 販売の記録
    販売時に売上と売上原価を計上し、在庫を減少させます。
  • 売上:30個 × 1,000円 = 30,000円
  • 売上原価:30個 × 平均単価550円 = 16,500円
   (借方)売掛金 30,000円 / (貸方)売上 30,000円  
   (借方)売上原価 16,500円 / (貸方)商品 16,500円
  1. 期末在庫の計算
    残在庫:40個(50 – 30 + 20)
    平均単価:550円
    合計金額:40個 × 550円 = 22,000円

継続記録法のメリット

  1. リアルタイムでの在庫把握
    在庫の数量や原価が常に最新の状態で記録されるため、即座に在庫状況を確認できます。
  2. 売上原価の正確な計算
    販売時点で売上原価が確定するため、利益計算の精度が高まります。
  3. 在庫管理の効率化
    商品の動きを詳細に記録するため、不足や過剰在庫を防ぎやすくなります。
  4. 期末作業の軽減
    在庫の記録が日々更新されるため、期末棚卸作業が簡略化されます。

継続記録法のデメリット

  1. 運用コストが高い
    記録の手間がかかり、特に小規模事業では負担が大きくなる可能性があります。
  2. システム導入が必要
    正確な記録を維持するため、専用の会計ソフトや在庫管理システムが必要になる場合があります。
  3. 記録ミスのリスク
    商品の入出庫を都度記録するため、入力ミスや記録漏れが発生すると在庫状況が正確でなくなる可能性があります。

継続記録法と棚卸計算法の比較

項目継続記録法棚卸計算法
記録方法継続的に在庫の増減を記録期末棚卸で売上原価を計算
在庫管理精度高い比較的低い
運用コスト高い(記録が頻繁)低い
適用業種大量在庫を管理する業種(製造業、小売業など)小規模事業や簡易的な在庫管理

継続記録法の適用場面

以下のような状況で継続記録法が特に適しています。

  • 大量の商品を扱う場合
    小売業や卸売業など、多種類の商品を管理する必要がある業種。
  • 高価値の商品を扱う場合
    自動車や高額機器など、個々の商品の価値が高く、在庫管理が重要な場合。
  • 正確な利益計算が求められる場合
    迅速な利益計算が必要な企業では、継続記録法が有効です。

まとめ

継続記録法は、在庫管理の精度を高めるための有効な手法であり、特に商品量が多い場合や正確な利益計算が求められる場合に適しています。ただし、運用には手間やコストがかかるため、企業の規模やニーズに合わせて適切な導入判断が必要です。

効率的な在庫管理を実現するために、継続記録法を上手に活用しましょう!

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