これらは企業の所得に対して課される税金で、いずれも企業の収益に基づいて計算されます。企業が納めるこれらの税金を法人税等と総称します。
1. 法人税
法人税 は、企業が1年間に得た所得(利益)に対して課される国税です。
主に、法人税法に基づき計算され、企業の所得に一定の税率を適用して求められます。
法人税の計算方法
法人税額 = 課税所得 × 法人税率
特徴
- 国が徴収する国税。
- 税率は、企業規模や所得金額に応じて異なります(中小企業には優遇措置あり)。
法人税の対象
- 売上から費用を差し引いた「課税所得」が対象となります。
- 法人税法に基づき、損金(必要経費)や益金(収益)の調整を行って計算します。
2. 法人住民税
法人住民税 は、地方自治体(都道府県・市区町村)が課す税金で、企業が地域社会に対して負担する性質の税金です。
法人税の額や資本金に基づいて計算されます。
法人住民税の構成
- 法人税割:法人税額に基づいて算定。
- 均等割:所得の有無にかかわらず、一定金額を負担(資本金や従業員数によって異なる)。
法人住民税の計算例
法人住民税 = 法人税額 × 法人税割率 + 均等割
特徴
- 地方自治体(都道府県、市区町村)が課税。
- 赤字でも「均等割」が課されます。
3. 事業税
事業税 は、企業が事業活動を行う対価として課される地方税です。企業の所得に基づいて計算されますが、大企業には付加価値額や資本に基づく外形標準課税も適用されます。
事業税の種類
- 所得割:所得に応じて課税。
- 外形標準課税(大企業対象):付加価値額や資本に基づく課税。
事業税の計算方法
事業税 = 課税所得 × 事業税率
特徴
- 地方自治体(都道府県)が課税。
- 事業税は損金算入が可能(法人税計算時の調整対象)。
法人税等の会計処理
1. 法人税等の計上時
企業が法人税、住民税、事業税を計算し、決算時に未払い分を計上する際の仕訳。
例:法人税等200,000円を計上
借方:法人税等 200,000
貸方:未払法人税等 200,000
2. 法人税等の支払い時
計上した法人税等を現金で支払った場合の仕訳。
例:法人税等200,000円を支払った場合
借方:未払法人税等 200,000
貸方:現金 200,000
3. 法人事業税の損金算入
法人事業税は損金(経費)として扱われるため、法人税額の計算時に調整されます。
法人税等の計算の流れ
- 課税所得の計算
企業の利益を基に損益計算書を調整し、課税所得を算出します。 - 法人税額の計算
課税所得に法人税率を掛けて法人税を計算。 - 法人住民税・事業税の計算
法人税額や所得に基づき、住民税・事業税を算出。 - 税引後利益の計算
税引前利益から法人税等を差し引いて最終的な税引後利益を算出。
法人税等の計算例
例:課税所得が1,000,000円の場合
- 法人税率:15%
- 法人住民税(法人税割率):10%
- 均等割:70,000円
- 事業税率:5%
- 法人税の計算
法人税 = 1,000,000 × 15% = 150,000円
- 法人住民税の計算
法人住民税 = 150,000 × 10% + 70,000 = 85,000円
- 事業税の計算
事業税 = 1,000,000 × 5% = 50,000円
- 法人税等の合計
法人税等 = 法人税 + 法人住民税 + 事業税
法人税等 = 150,000 + 85,000 + 50,000 = 285,000円
法人税等の注意点
- 損金算入の調整
法人事業税は損金算入が可能ですが、法人税や住民税は損金算入できません。 - 赤字でも課される税金
法人住民税の均等割は所得に関係なく課税されます。 - 税率の確認
法人税率や地方税率は、企業の規模や地域によって異なるため、最新の税率を確認する必要があります。 - 中間納付と確定申告
法人税等は事業年度の中間時点で納付を行い、決算後に確定申告を通じて最終的な税額を納めます。
まとめ
法人税、住民税、事業税は、企業が収益に基づいて納める重要な税金です。それぞれの性質や計算方法、会計処理を正しく理解することで、正確な納税と財務管理が可能になります。
経理や簿記の実務では、法人税等の仕訳や計算手順をしっかりと把握し、正確な記帳と税務対応を行うことが求められます。
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