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社会保険料預り金とは?簿記における基本概念と仕訳方法を解説

社会保険料預り金とは、企業が従業員の給与から天引きして控除した社会保険料(健康保険、厚生年金、介護保険など)の金額を一時的に管理するための勘定科目です。これは企業が従業員に代わって支払うべき金額であり、負債勘定として記録されます。

この記事では、社会保険料預り金の基本概念、仕訳処理の流れ、注意点について詳しく解説します。


目次

社会保険料預り金とは?

社会保険料預り金は、給与計算時に従業員の給与から控除した社会保険料を、実際に支払うまでの間、一時的に管理する勘定科目です。

特徴

  1. 従業員負担分の社会保険料
    健康保険、厚生年金、介護保険などの従業員負担分を企業が天引きして保管します。
  2. 負債勘定
    企業が一時的に保管している金額であり、従業員に代わって支払う義務があるため、貸借対照表の負債の部に記載されます。
  3. 支払期限
    毎月の給与から天引きした社会保険料は、翌月10日までに企業がまとめて納付するのが一般的です。

社会保険料預り金の仕訳処理

社会保険料預り金に関する仕訳は、給与計算時と納付時に行われます。


1. 給与計算時の仕訳

給与計算時に、従業員の社会保険料を控除し、預り金として計上します。

例:

  • 従業員の給与200,000円から以下を控除した場合:
  • 健康保険料:15,000円
  • 厚生年金保険料:25,000円
  • 介護保険料:5,000円
  • 支払給与(手取り額):155,000円
借方: 給与手当             200,000円  
貸方: 普通預金             155,000円  
貸方: 社会保険料預り金      45,000円

2. 会社負担分の計上

企業は、従業員負担分と同額の社会保険料を負担します。会社負担分は費用として計上されます。

例:

  • 会社負担分:
  • 健康保険料:15,000円
  • 厚生年金保険料:25,000円
  • 介護保険料:5,000円
借方: 法定福利費          45,000円  
貸方: 社会保険料預り金      45,000円

3. 社会保険料の納付時

給与から天引きした従業員負担分と、会社負担分を合わせた社会保険料を納付します。

例:

  • 総額:90,000円(従業員分45,000円 + 会社分45,000円)
借方: 社会保険料預り金      90,000円  
貸方: 普通預金             90,000円

社会保険料預り金の注意点

1. 仕訳ミスを防ぐ

  • 給与計算時と納付時の仕訳が正確であることを確認します。特に、控除額や会社負担分の計算ミスがないよう注意が必要です。

2. 支払期限を守る

  • 社会保険料の納付期限(通常、翌月10日まで)を厳守します。遅延すると延滞金が発生する可能性があります。

3. 帳簿との照合

  • 社会保険料預り金勘定の残高が正しいか、定期的に照合します。特に、従業員数が多い企業では、未納金が発生しないよう管理が重要です。

4. 税務上の扱い

  • 会社負担分の社会保険料は、税務上「損金(経費)」として認められるため、適切に処理する必要があります。

社会保険料預り金の関連勘定科目

  1. 給与手当
  • 従業員に支払う給与の総額を記録します。
  1. 法定福利費
  • 会社負担分の社会保険料を費用として計上します。
  1. 預り金
  • 社会保険料以外にも、源泉所得税や住民税などの天引き分を含む場合があります。
  1. 普通預金
  • 納付時の支払いに使用されます。

社会保険料預り金に関連するトラブルと対策

1. 計算ミスによる過不足

  • 原因: 社会保険料率の変更や給与計算時のミス。
  • 対策: 定期的に保険料率を確認し、給与計算ソフトを活用する。

2. 納付遅延

  • 原因: 支払期限の見落としや資金繰りの問題。
  • 対策: 納付期限をカレンダーで管理し、余裕をもった資金計画を立てる。

3. 残高不一致

  • 原因: 仕訳の漏れや納付忘れ。
  • 対策: 社会保険料預り金の帳簿を定期的に照合し、異常があれば早期に修正する。

まとめ

社会保険料預り金は、従業員の給与から天引きした社会保険料を一時的に管理するための負債勘定です。給与計算時や納付時の仕訳を正確に行うことで、従業員や会社の信頼を保つことができます。

簿記や会計実務では、社会保険料預り金を適切に処理し、企業の財務管理をスムーズに進めましょう。

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