MENU

貸倒れとは?簿記における処理の方法

目次

貸倒れとは

貸倒れとは、売掛金や貸付金など、企業が他社に対して持つ債権(回収予定の金額)が、相手の支払い能力の喪失や破産などの理由で回収不能になることを指します。

これは企業の財務において損失として計上され、経営に影響を与える可能性があります。

貸倒れの原因

取引先の倒産

  • 取引先が破産や民事再生手続きに入る場合。

取引先の財務状況悪化

  • 経営難や資金繰りの悪化により支払能力が低下。

契約不履行

  • 約束された期日に支払いが行われず、回収の見込みが立たない。

その他の要因

  • 天災や不測の事態で取引先が事業を継続できなくなる。

貸倒れの会計処理

貸倒れが発生した場合、回収不能分を損失として「貸倒損失」勘定に計上します。

貸倒れの会計処理には、直接法と引当法の2つの方法があります。

1. 直接法

直接法は、貸倒れが発生した時点で、その金額を直接損失として計上します。

例:売掛金100,000円が貸倒れた場合

借方:貸倒損失 100,000円  
貸方:売掛金  100,000円
借方貸方
貸倒損失100,000売掛金100,000

この方法はシンプルですが、事前に貸倒れを見越した準備ができない点がデメリットです。

2. 引当法

引当法では、貸倒れのリスクに備えて、予め「貸倒引当金」を計上しておき、実際に貸倒れが発生した場合はこの引当金を使用します。

貸倒引当金の計上(期末処理)

期末時点で、過去のデータや取引先の信用リスクに基づいて貸倒引当金を計上します。

例:期末に貸倒引当金20,000円を計上する場合

借方:貸倒引当金繰入 20,000円  
貸方:貸倒引当金   20,000円
借方貸方
貸倒引当金繰入20,000貸倒引当金20,000

実際に貸倒れが発生した場合(売掛金50,000円が貸倒れ)

借方:貸倒引当金 50,000円  
貸方:売掛金   50,000円
借方貸方
貸倒引当金50,000売掛金50,000

貸倒引当金でカバーしきれない場合は、差額を貸倒損失として計上します。

貸倒引当金の設定方法

貸倒引当金の金額は、過去の経験や取引先の信用情報を基に以下の方法で算出されます。

売掛金全体に対する一定割合

  • 例:売掛金の2%を貸倒引当金として計上。

信用リスクごとの分類

  • 正常債権、不良債権、危険債権などに分類し、リスクに応じた割合を設定。

貸倒れの税務上の取り扱い

税務上、貸倒れとして損金に計上できる条件は、法律で明確に規定されています。

法人税法上の損金算入要件

  • 破産や債務整理による債権放棄。
  • 時効の完成による債権消滅。
  • 債務者の死亡や失踪などによる回収不能。

貸倒引当金の損金算入限度額

  • 税務上は、貸倒引当金の計上限度額が設定されています。超過部分は損金に認められません。

貸倒れの防止策

信用調査

  • 取引先の財務状況や信用情報を事前に調査し、リスクを把握。

与信管理

  • 取引先ごとに与信限度額を設定し、過大な掛け取引を防ぐ。

分散取引

  • 特定の取引先への依存を避け、取引先を分散。

契約書の整備

  • 支払条件や債務不履行時の対応を明記した契約書を締結。

債権回収の早期化

  • 支払期限の短縮や分割回収などを実施。

貸倒れの例と仕訳まとめ

取引内容仕訳例
売掛金の貸倒れ(直接法)借:貸倒損失 100,000円
貸:売掛金 100,000円
貸倒引当金の設定借:貸倒引当金繰入 20,000円
貸:貸倒引当金 20,000円
引当金を使用した貸倒処理借:貸倒引当金 50,000円
貸:売掛金 50,000円

まとめ

貸倒れは、企業の資金繰りや利益に影響を与えるリスクです。適切な与信管理や信用調査を行い、リスクの低減に努めることが重要です。また、貸倒引当金を活用し、損失を見越した計画的な会計処理を行うことで、経営の安定性を高めることができます。税務面でも正確な処理を行い、リスク管理と法的遵守を徹底しましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次