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簿記の勘定科目:「寄付金」の基礎知識

「寄付金」とは、企業が公益性のある団体や個人に対して、対価を伴わない金銭や物品を提供する際に発生する費用を記録するための勘定科目です。寄付金は、社会貢献活動や地域支援の一環として支出されることが一般的ですが、税務上の取り扱いには一定の制限があるため、注意が必要です。


寄付金とは?

寄付金には以下のような種類があります:

  1. 公益目的の寄付
  • 学校、病院、福祉団体、公益法人などへの寄付。
  1. 地域活動への寄付
  • 地域イベントやボランティア活動への支援。
  1. 災害支援
  • 被災地への支援金や物資提供。
  1. 政治団体への寄付
  • 政治資金規正法に基づく政治活動に対する寄付。
  1. その他の寄付
  • 個人や法人への金銭や物品の寄贈。

寄付金の会計処理

  1. 寄付金の支払い時の仕訳
    寄付金を支払った際は、「寄付金」勘定に計上します。 例:福祉団体に現金10万円を寄付した場合
   借方:寄付金 100,000円  
   貸方:現金 100,000円
  1. 銀行振込で寄付した場合
    寄付金を銀行振込で支払った場合も同様に処理します。 例:教育機関に20万円を振り込んだ場合
   借方:寄付金 200,000円  
   貸方:普通預金 200,000円
  1. 物品の寄付
    金銭ではなく物品を寄付した場合、寄付時点の時価で評価し、「寄付金」として計上します。 例:時価5万円のパソコンを寄付した場合
   借方:寄付金 50,000円  
   貸方:備品 50,000円

税務上の取り扱い

寄付金の税務処理には注意が必要であり、以下のようなポイントがあります:

  1. 損金算入の制限
    法人税法上、寄付金は全額が損金(経費)として認められるわけではなく、一部が損金不算入となります。損金算入できる金額は、次のように計算されます: 損金算入限度額の計算式(一般寄付金の場合)
   限度額 = 資本金等 × 0.25% + 所得金額 × 2.5%
  1. 特別損金算入が可能な寄付金
    特定公益増進法人(例:学校法人、公益財団法人)への寄付は、別途定められた特別損金算入限度額まで認められます。
  2. 地方自治体への寄付(ふるさと納税)
    地方自治体への寄付金は、税額控除の対象となり、損金算入とは異なる形で税負担が軽減されます。
  3. 政治団体への寄付
    政治資金規正法に基づく寄付金についても、一定の制限が設けられています。

寄付金の具体例

  1. 福祉団体への現金寄付
   借方:寄付金 100,000円  
   貸方:現金 100,000円
  1. 教育機関への振込寄付
   借方:寄付金 200,000円  
   貸方:普通預金 200,000円
  1. 物品の寄付
   借方:寄付金 50,000円  
   貸方:備品 50,000円
  1. 寄付金が損金不算入になる場合の税務調整
    寄付金のうち、損金不算入となる部分は、税務申告書で別途加算処理を行います。

寄付金の注意点

  1. 損金算入限度額の確認
    損金算入できる金額には制限があるため、寄付金の支出前に限度額を確認します。
  2. 寄付先の確認
    寄付先が特定公益増進法人や地方自治体である場合、優遇措置の対象となることがあります。
  3. 領収書の保存
    寄付金に関する領収書を適切に保管し、税務調査に備えます。
  4. 物品寄付の時価評価
    物品を寄付する場合は、公正な時価で評価し、適切に記録します。

寄付金の管理方法

  1. 寄付先リストの作成
    寄付先の名称、寄付金額、目的を記録し、定期的に支出状況を確認します。
  2. 税務専門家との相談
    寄付金の税務処理について、税理士と連携して適切に対応します。
  3. 寄付金支出の予算管理
    年間の寄付金支出額を予算化し、損金算入限度額内で計画的に支出します。
  4. 社会的効果の分析
    寄付活動が企業のCSR(企業の社会的責任)活動としてどのような効果をもたらしているかを分析します。

まとめ

「寄付金」は、企業の社会的責任を果たす重要な活動であり、適切な会計処理と税務対応が求められます。損金算入限度額を把握し、寄付先や目的に応じた処理を行うことで、税務リスクを回避しながら社会貢献活動を実現できます。また、領収書の保存や税務申告の正確な対応を徹底することが重要です。

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