「給料手当」とは、企業が従業員に支払う基本給や各種手当を含む人件費を記録するための勘定科目です。この勘定科目は、企業の経費として損益計算書の「販売費及び一般管理費」や「製造原価」に計上されます。本記事では、給料手当の概要、仕訳方法、税務上の取り扱い、注意点について解説します。
給料手当とは?
「給料手当」は、企業が従業員に対して支払う以下のような給与や手当を含みます:
- 基本給
従業員が契約に基づいて受け取る基本的な給与。 - 時間外手当(残業代)
所定労働時間を超える労働に対する追加支払い。 - 通勤手当
通勤にかかる費用を補助する手当。 - 住宅手当
従業員の住居費を補助するための手当。 - 役職手当
役職に応じて支払われる手当。 - その他の手当
資格手当、家族手当、特殊作業手当など。
給料手当の会計処理
- 給料手当の支払い時の仕訳
給料手当を支払った際、経費として「給料手当」勘定に計上します。同時に、源泉所得税や社会保険料を控除した後の金額を現金または預金で支払います。 例:総支給額が100万円、源泉所得税20万円、社会保険料10万円、手取り70万円の場合
借方:給料手当 1,000,000円
貸方:預り金(源泉所得税) 200,000円
貸方:預り金(社会保険料) 100,000円
貸方:普通預金 700,000円
- 源泉所得税や社会保険料の納付時の仕訳
控除した源泉所得税や社会保険料を納付した際には、以下のように処理します。 例:源泉所得税20万円を税務署に納付した場合
借方:預り金(源泉所得税) 200,000円
貸方:普通預金 200,000円
例:社会保険料10万円を納付した場合
借方:預り金(社会保険料) 100,000円
貸方:普通預金 100,000円
- 法定福利費の計上
会社が負担する社会保険料は「法定福利費」として計上します。 例:会社負担の社会保険料が15万円の場合
借方:法定福利費 150,000円
貸方:未払金 150,000円
税務上の取り扱い
- 損金算入
給料手当は、法人税法上、原則として全額を損金(経費)に算入することができます。ただし、以下の注意点があります:
- 従業員に支払う給与手当は損金算入可能。
- 役員報酬は、別の取り扱いが適用されます(要件を満たした場合に損金算入可能)。
- 源泉所得税の控除
給料手当を支払う際、源泉所得税を控除し、税務署に納付する必要があります。 - 消費税との関連
給料手当は非課税取引であるため、消費税は発生しません。
給料手当の仕訳例
- 従業員に給料を支払った場合
借方:給料手当 500,000円
貸方:普通預金 400,000円
貸方:預り金(源泉所得税) 100,000円
- 源泉所得税を税務署に納付した場合
借方:預り金(源泉所得税) 100,000円
貸方:普通預金 100,000円
- 社会保険料を納付した場合
借方:預り金(社会保険料) 50,000円
貸方:普通預金 50,000円
注意点
- 源泉徴収義務の遵守
給料手当から適切に源泉所得税を控除し、税務署に納付する必要があります。未納付の場合、延滞税やペナルティが課される可能性があります。 - 役員給与との区別
役員報酬は給料手当とは別に扱われます。役員給与の取り扱いについては税法上の規定を確認する必要があります。 - 社会保険料の負担分の記録
企業負担分の社会保険料は「法定福利費」として計上し、正確に記録します。 - 非課税取引の記録
給料手当は消費税が課されないため、消費税申告書に影響を与えないよう注意します。 - 給与明細の発行
従業員への給与支払い時には、明細を発行して内容を明確にします。
給料手当の管理方法
- 給与システムの活用
給料計算や源泉徴収税額の管理に給与計算ソフトを活用し、正確な処理を行います。 - 給与明細の保管
法定で定められた期間、給与明細や源泉徴収簿を保管します。 - 社会保険料の定期確認
社会保険料の計算が正確であるか、年に1度程度確認します。 - 内部監査の実施
給与支払いや税務手続きが適切に行われているか、定期的に監査を行います。
まとめ
「給料手当」は、企業の経費の中でも大きな割合を占める重要な項目です。適切に会計処理を行い、税務や社会保険料の手続きを正確に実施することで、リスクを軽減し、従業員との信頼関係を構築することができます。給与計算や記帳に不明点がある場合は、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
さらに具体的な質問や事例についてのご相談があれば、ぜひお知らせください!
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