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簿記の勘定科目:「建設仮勘定」の基礎知識

「建設仮勘定」は、建設中または取得中の固定資産に関する費用を一時的に記録するための勘定科目です。工場や建物、設備の新設や改修、あるいは大型機械の導入など、完了までに時間がかかる資産の会計処理で使用されます。この勘定科目は、固定資産の正確な管理と会計処理のために重要な役割を果たします。


建設仮勘定とは?

「建設仮勘定」は、完成前の固定資産の取得費用を一時的に計上する勘定科目です。建設が完了し、実際に使用可能になった段階で「建物」や「機械装置」といった該当する固定資産の勘定科目に振り替えられます。

  • 使用される主な場面:
  • 新しいビルや工場の建設
  • 大型機械の組み立てや設置
  • 設備の大規模改修や増設

建設仮勘定の特徴

  1. 資産として計上される
    建設仮勘定は固定資産に分類され、建設や取得が完了するまでの間、貸借対照表上に表示されます。
  2. 減価償却の対象外
    建設中の段階では減価償却の対象にはなりません。完成後、適切な資産勘定に振り替えられた後に減価償却が開始されます。
  3. 付随費用を含む
    建設仮勘定には、建設や取得に関わる直接費用だけでなく、付随費用(設計費、調査費、工事監理費など)も含まれます。

建設仮勘定に含める費用

建設仮勘定に計上される具体的な費用は以下の通りです。

  • 建物や設備の建設費用
  • 設計費や調査費
  • 建築許可申請費用
  • 工事監理費用
  • 試運転費用(完成前の段階で発生したもの)
  • 関連する借入金の利息(資産が使用可能になるまでの期間)

建設仮勘定の振替処理

建設や取得が完了し、実際に使用可能になった段階で、建設仮勘定の残高を適切な固定資産勘定に振り替えます。

例:1億円の建物が完成した場合

借方:建物 100,000,000円  
貸方:建設仮勘定 100,000,000円

振替後、建物や設備などの資産として管理され、耐用年数に応じた減価償却が開始されます。


建設仮勘定の仕訳例

  1. 建設中の費用を計上する場合
   借方:建設仮勘定 50,000,000円  
   貸方:普通預金 50,000,000円
  1. 付随費用(設計費や調査費)の計上
   借方:建設仮勘定 2,000,000円  
   貸方:普通預金 2,000,000円
  1. 建設が完了し、建物として振り替える場合
   借方:建物 52,000,000円  
   貸方:建設仮勘定 52,000,000円
  1. 完成後の減価償却費の計上
   借方:減価償却費 2,600,000円  
   貸方:減価償却累計額 2,600,000円

建設仮勘定の注意点

  1. 期間対応の原則
    建設や取得に要する費用は、発生した年度ごとに正確に計上する必要があります。
  2. 間接費の取扱い
    工事に直接関係しない間接費用や、完成後に発生した費用は建設仮勘定に含めず、「修繕費」や「管理費」などの勘定科目で処理します。
  3. 借入金の利息の取扱い
    資産の完成前に発生した借入金の利息は建設仮勘定に含めることができますが、完成後の利息は費用として処理します。
  4. 正確な振替処理
    資産が使用可能になった段階で、適切な勘定科目(建物、機械装置など)に必ず振り替えます。振替処理を怠ると、財務諸表が正確に表示されない可能性があります。

建設仮勘定のメリットと活用

メリット

  • 長期にわたる工事や取得プロジェクトの費用を一元管理できる。
  • 資産が完成するまで減価償却を開始しないため、正確な費用配分が可能。

活用例

  • 大規模な工場の新設
  • 自社ビルの建設プロジェクト
  • 特殊な製造装置の導入

まとめ

「建設仮勘定」は、建設中または取得中の固定資産の費用を正確に管理するために欠かせない勘定科目です。適切な仕訳や振替処理を行うことで、財務諸表の正確性を高め、経営判断に役立てることができます。この機会に、自社の建設プロジェクトに関する会計処理を見直してみてはいかがでしょうか?

建設仮勘定の処理


1. 建設仮勘定とは

建設仮勘定は、ビルや工場など建設中の資産に関連する費用を、一時的に計上するための資産勘定です。建設中の支払いや費用は建設仮勘定で処理し、完成時に該当する固定資産(例:建物、構築物など)に振り替えます。


2. 手付金を支払ったとき

手付金支払い時のポイント

  • 手付金支払い額を建設仮勘定[資産]として計上する。
  • 現金または当座預金の減少として処理する。
仕訳例
  • 工事契約:請負金額 500,000円
  • 手付金:100,000円(小切手で支払い)
借方:建設仮勘定 100,000円
貸方:当座預金  100,000円

3. 工事が完成し、引き渡しを受けたとき

工事完成時のポイント

  • 工事完成後、建設仮勘定[資産]を減少させる。
  • 完成資産(建物など)を新たに計上する。
  • 未払金額を支払った場合は、現金または当座預金を減少させる。
仕訳例
  • 請負金額:500,000円
  • 手付金支払い済み:100,000円
  • 残額支払い:400,000円(小切手で支払い)
借方:建物     500,000円
貸方:建設仮勘定  100,000円
   当座預金   400,000円

まとめ

  • 建設仮勘定は、工事中の費用を一時的に計上するための勘定科目。
  • 手付金支払い時は建設仮勘定[資産]を計上。
  • 工事完成時は建設仮勘定を減少させ、完成した固定資産を計上。

これにより、工事中と完成後で適切な会計処理が可能となります。

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