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未払配当金とは?基本的な意味と会計処理を解説

未払配当金(みばらいはいとうきん)とは、企業が株主に対して支払うことを決定した配当金のうち、まだ実際には支払いが行われていない金額を指します。これは、貸借対照表における負債として計上され、支払いが完了するまで残り続けます。

この記事では、未払配当金の基本的な意味、会計処理の流れ、メリットと注意点、さらに関連するポイントについて詳しく解説します。


未払配当金の基本的な仕組み

  1. 未払配当金の定義
  • 株主総会や取締役会で支払いが決議された配当金が、決算日または貸借対照表作成時点でまだ支払われていない場合、その金額を「未払配当金」として計上します。
  1. 発生のタイミング
  • 株主への配当金は、通常、期末決算後に株主総会などで承認されます。その後、配当金支払い日までの間は未払状態となるため、この間に「未払配当金」が発生します。
  1. 未払配当金の位置づけ
  • 貸借対照表における流動負債の一部として記載されます。
  • 配当金の支払いが実行されると、負債から取り崩されます。

未払配当金の会計処理

未払配当金の会計処理は、以下のように行われます。

1. 配当金の決議時

株主総会や取締役会で配当金が決定した場合、未払配当金として負債に計上します。

仕訳例:

  • 配当金総額が1,000万円の場合:
  繰越利益剰余金 1,000万円 / 未払配当金 1,000万円

2. 実際の配当金支払い時

株主への配当金支払いが行われた場合、未払配当金を取り崩します。

仕訳例:

  • 支払い総額が1,000万円の場合:
  未払配当金 1,000万円 / 現金または預金 1,000万円

未払配当金のメリットと注意点

メリット

  1. 会計の明確化
  • 配当金の決議と実際の支払いのタイミングが異なる場合でも、負債として明確に管理できる。
  1. 株主への信頼性
  • 配当金を明確に負債として記録することで、株主への責任を明示できる。
  1. 資金繰りの計画
  • 配当金支払いの予定を負債として計上することで、企業全体の資金計画を立てやすくなる。

注意点

  1. 未払期間の管理
  • 配当金の支払いが遅れると、株主の信頼を損なう可能性がある。
  1. 税務上の注意
  • 配当金支払いに伴う源泉徴収税(法人税や所得税)の計上も必要。
  1. 支払い漏れのリスク
  • 未払配当金が長期間未払いのまま放置されると、株主からのクレームや法的トラブルに発展する可能性がある。

未払配当金に関連する税務処理

  1. 源泉徴収税
  • 配当金支払い時には、通常、株主に支払う配当金から20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が源泉徴収されます。
  1. 源泉徴収税の会計処理
  • 配当金支払い額が1,000万円の場合、以下のように仕訳を行います:
    未払配当金 1,000万円 / 現金預金 796万8,500円 / 預り金(源泉徴収税) 203万1,500円
  1. 納税義務
  • 源泉徴収税額は、翌月10日までに税務署へ納付する必要があります。

未払配当金の管理ポイント

  1. 適切なスケジュール管理
  • 配当金支払い日を事前に計画し、資金準備を確実に行う。
  1. 株主への周知
  • 配当金支払い日や金額について、株主に適切に通知する。
  1. 帳簿の定期的な確認
  • 未払配当金が適切に計上されているか、定期的に確認。

未払配当金に関連する実例

例1: 決算後の配当金支払い

  • 状況:企業が3月末に決算を締め、6月の株主総会で1株あたり20円の配当金を決定(総額1,000万円)。
  • 処理の流れ
  • 6月(配当金決定時)
    繰越利益剰余金 1,000万円 / 未払配当金 1,000万円
  • 7月(支払い時)
    未払配当金 1,000万円 / 現金預金 796万8,500円 / 預り金(源泉徴収税) 203万1,500円

例2: 配当金未払いの長期化

  • 状況:未払配当金が1年以上放置され、株主から苦情が発生。
  • 対応策
  • 未払配当金のリストを作成し、迅速に支払いを実施。
  • 再発防止策として、未払配当金の定期確認を実施。

未払配当金の解消と注意点

  1. 期限内の支払い
  • 株主総会決議後、速やかに支払いを実施。
  1. 記録の正確性
  • 配当金額や支払い状況を正確に記録し、株主からの問い合わせに対応できる体制を構築。
  1. 未払いの長期化防止
  • 定期的な帳簿確認と監査を実施し、長期未払のリスクを回避。

まとめ

未払配当金は、株主への責任を明確にするため、決議時点で正確に負債として計上することが重要です。適切な会計処理を行うことで、財務の透明性を保ち、株主からの信頼を確保できます。

ただし、支払いの遅延や税務処理のミスは、信用低下や法的トラブルにつながるリスクがあります。未払配当金のスケジュール管理と適切な処理を徹底し、企業の財務健全性を維持することが求められます。

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