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会社の未来像と経営計画の役割
企業経営において、「我が社のあるべき姿」 とは社長自身の深い思索から生まれる未来像です。この未来像は、社長の頭の中で繰り返し検討される中で次第に具体化され、成長し続けなければなりません。
その未来像をどのように実現するのか――その具体的な道筋を示すものが「経営計画」です。
経営計画の構成:長期計画と短期計画
経営計画は、主に以下の2つに分類されます:
- 長期計画(5~10年スパン)
未来像を実現するためのプロセスを描き、企業が目指すべき方向性を明確に示すものです。 - 短期計画(1年スパン)
長期計画を基に、具体的な施策や実行内容を示す実務レベルの計画です。
さらに、経営計画に含まれる重要施策については、個別に具体的な「プロジェクト計画」を策定し、実行段階へと落とし込んでいきます。この一連のプロセスを経て初めて、社長の意図が組織全体に徹底され、計画が実現されるのです。
経営計画の策定 ― 社長と役員の役割
経営理念や企業の未来像は、あくまでも社長一人の責任と覚悟のもとに生み出されるものです。しかし、経営計画の策定段階では、役員との討議が必要になります。
この際、重要なのは次の点です:
- 社員は参画させない
経営計画の基本的な決定は、経営責任を負う者だけがその責任において行うべきです。社員は全社的な視点を持ちにくく、自らの立場や部門利益を中心に考える傾向があるため、経営計画の本質を歪めるリスクが生じます。 - 経営者の明確なビジョン
社員の意見を聞かなければ経営計画を立てられない経営者は、そもそも経営理念や未来像を明確に描く力が欠けていると言わざるを得ません。
プロジェクト計画 ― 社員の参画と責任
経営計画が固まった後、次のステップはプロジェクト計画の策定です。この段階では、計画を実行する責任を担う社員が参画するか、もしくは計画の立案を任せることになります。
ここでの注意点は次のとおりです:
- 放任ではなく指導
社員に計画を任せる際、「自由に計画を立てよ」と言ってはなりません。これは単なる「放任」であり、責任の所在が曖昧になりがちです。社長や上司は方向性や枠組みを示し、プロジェクトの目的と期待を明確に伝える必要があります。 - 経営計画との整合性
プロジェクト計画は、あくまで経営計画の一部として機能するものです。全体の方向性を見失わないよう、経営理念や未来像に沿った内容でなければなりません。
まとめ:経営計画と未来像の実現
会社の未来像は、社長が深く考え抜き、形づくられたビジョンです。そして、そのビジョンを具体的に実現するための手段が経営計画です。
- 長期計画で方向性を示し、
- 短期計画で具体的な施策を明確にし、
- プロジェクト計画で実行の責任を果たす。
このプロセスを経て、社長の意図が全社に浸透し、実現へと結びつきます。社員を参画させるのは、実行段階において責任を持たせる時です。経営責任を担う者が、確固たるビジョンと計画を示すことこそが、組織全体を成功へ導く鍵となるのです。
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