無駄な活動が横行する職場
会社内では、過剰な無駄な活動が驚くほど多く見られる。ここで挙げる例はほんの一部だが、これらの活動に従事している社員たちは、いたって真剣である。「記録を取る」という行為が評価され、近代化への意欲と見なされてしまうことが原因だ。
洗練されたマネジメント手法を導入している企業ほど、その裏側で無駄を生むリスクを抱えている。その結果、間接部門の人員が増え、人件費や経費が膨らみ、業績を圧迫する事態に陥る。
観念的な手法の限界
こうしたリスクを回避するために、職務分析や事務分析といった手法が活用されることがある。しかし、これらは実際には大きな成果をもたらさない。
実例として、職務分析を取り入れた数十社の結果を見たが、そのほとんどが期待外れに終わった。専門家がどれほど自らを称賛しても、会社側からの評価は冷ややかだった。その理由は明白で、これらの手法が実際の成果を生む力に欠けていたからだ。
帳票が語る無駄
会社内の業務は帳票を基に行われることが多いため、それを見直すだけでも無駄を大幅に削減できる。帳票の内容を確認し、それが本当に必要かどうかを判断するのは、幹部にとっては基本的な仕事の一つだ。
それにもかかわらず、多くの会社で不要な帳票が放置されている理由は、検討の機会が設けられていないからである。業務が内外の情勢変化に応じて変わる中、古い帳票や業務が惰性で続けられ、見直されることなく放置されるケースが多い。
惰性が生む弊害
会社が成長するにつれて、業務の分担が細分化され、帳票の数も増える。一方で、不要になった帳票や業務は惰性で残り続け、次第に会社全体の効率を低下させる。
また、独自に帳票を作成する社員も現れるため、帳票の管理はさらに複雑化する。多くのケースで、こうした状況は「面倒だから」「現状で大きな支障がないから」といった理由で放置される。
さらに、帳票整理に手を付けると、結果として部下の減員が必要になる懸念から、経営者があえて現状を維持しようとする場合もある。
「捨てる勇気」を持つ
無駄な帳票や業務を廃止するには、定期的または計画的な見直しが不可欠だ。不要な帳票を容赦なく廃棄し、人員を適切に再配置することで、組織の効率を向上させる必要がある。
しかし、この決定には困難が伴う。内部からの反対意見を説得し、理解を得るには時間と努力が必要だ。それでも、このプロセスを避け、現状維持に甘んじていては、最終的に会社の衰退を招くことになる。
ムダを省く第一歩
経営者に求められるのは、常識に基づいてムダを省く視点である。無駄な活動を放置するのではなく、その必要性を見極め、廃止すべきものを的確に判断する。さらに、見直しによって浮いたリソースを、利益を生む活動に振り向けることが重要だ。
企業の持続可能な成長には、「捨て去ること」の重要性を理解し、実行に移す勇気が欠かせない。この姿勢こそが、会社を次のステージへ導く鍵となるのだ。
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