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無駄な報告書が企業を蝕む

誰も見ない試算表

ある会社で、二年前に会計機を導入して以来、毎日試算表が作成されています。女子事務員が手慣れた様子で数字を打ち込み、完成した試算表をそのままファイルに収めるだけ。誰も内容を確認していないのではないかと感じ、女子事務員に尋ねてみると、「誰も見ていないと思います」との返答が返ってきました。

合理化や事務の機械化を掲げながら、誰も見ない試算表を作り続ける。それを業務効率化だと思い込んでいるのですから、何とも言い難い状況です。

無駄な作業が経営を圧迫

試算表を毎日確認しても、大きな意味はありません。むしろ時間の無駄であり、経営の本質を見失う恐れさえあります。経営者が見るべき試算表は月に一度で十分です。その際には、経営判断に必要な指標や損益状況が分かる形に整理されるべきです。

日常的に行うべきは、必要最低限の情報整理です。膨大なデータに埋もれて判断を鈍らせることは、本末転倒と言わざるを得ません。

分厚い月報の行方

E社での話です。その企画室長は机の上に厚さ2センチの工場月報を置いていました。「これは社長も見ますか?」と尋ねると、「いいえ、見ません」との答え。室長自身も、その膨大な報告書のうち一ページしか見ないと言います。常務に直接確認してみると、彼も「毎月一ページだけしか見ない」とのことでした。

膨大な労力を費やして作成された報告書が、実際に役立っているのはわずか二ページ。それ以外は、ほとんど利用されていないのです。

改善のための第一歩

このような状況は、企業資源の浪費以外の何物でもありません。改善すべき点は明白です:

  1. 目的の明確化 – 報告書作成には明確な目的が必要です。誰が、何のために使うのかを考えない資料作成は即刻やめるべきです。
  2. 情報の選別 – 必要なデータだけを抜粋し、経営に直結する指標に絞り込むべきです。
  3. 活用されない資料の廃止 – 実際に使用されていない資料の作成を止め、業務効率化を推進すべきです。

経営資源を活用するために

報告書や資料の目的を明確化し、活用される情報だけを作成する仕組みを構築することが、企業の効率向上に不可欠です。現場で作成される資料が無駄にならないよう、経営者は現状を見直し、目的に応じた仕組みを整える責任があります。

「誰も見ない報告書」は、ただの時間と労力の浪費にすぎません。本当に必要な情報だけを選別し、経営資源を効率的に活用する姿勢こそが、企業の健全な成長を支える鍵となるのです。

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