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社長の乗用車が映す経営の歪み

業績が低迷し、悪化の一途をたどっている従業員約200人の会社があります。この会社の社長は外国車で通勤し、応接室を二部屋も構えています。最近では電話交換機を導入し、専属の交換手を二名配置、さらに守衛所を建設して守衛も二名雇い入れるなど、次々と設備を増やしています。そして今度は厚生会館の建設を計画しているとのことです。

優先順位の歪み

驚くべきことに、これほどの投資を行っているにもかかわらず、自社製品を抱える企業として不可欠な研究費の増額には一切手をつけていません。工場や生産設備、販売促進に関する具体的な計画も皆無です。その結果、工場では製品を置くスペースが不足し、一部は屋外に放置される始末です。雨が降ると慌ててシートをかぶせるという有様です。

社長の関心は経済的な成果を追求することではなく、その成果を浪費することに向けられているようです。このような経営では、会社が倒産するのも時間の問題でしょう。

見直すべき優先順位

経営改善のためには、次のような基本的な施策を実行すべきです:

  1. 社長の車の見直し 社長専用の外国車を国産の中型車に切り替える。
  2. 応接室の統合 応接室を一つに減らし、あとは事務所の一角を仕切って代用する。
  3. 守衛体制の合理化 昼間は電話交換手が守衛を兼任し、夜間のみ一人を配置する。
  4. 厚生会館建設の延期 業績が回復してから建設を検討する。
  5. 工場環境の改善 雨から製品を守るため、工場建物の間にアーケードを設置する。

これらの施策は、現状の資源を最大限に活用しつつ、会社全体の効率を向上させるための現実的な方策です。

経済的成果を最優先に

この会社の現状からは、経営意識の問題が浮き彫りになります。経済的成果を生み出すという本来の使命が軽視され、資源の浪費が優先されているのです。外国車での通勤や過剰な応接室の設置、守衛や交換手の配置など、いずれも業績向上には直接的な影響を与えません。

一方で、工場の基本的な環境整備や研究開発費の増額、生産設備の改善など、企業の将来を支える投資が完全に後回しにされています。このような歪んだ優先順位を改めることが、経営改善の第一歩です。

経営者の責任

経営者が企業の資源をどのように配分するかは、業績に直接影響を与えます。効果的な経営とは、限られた資源を利益を生み出す分野に集中投下することです。無駄な投資を削減し、収益を改善するための施策を優先する姿勢が求められます。

高収益を上げる企業は、例外なくこのような基本原則を守っています。一方で、業績の悪い企業は、優先順位を誤った投資を繰り返していることが多いのです。

社長の車や厚生会館など、目に見える形の投資にこだわるのではなく、持続可能な成長を実現するための投資に目を向けるべきです。それこそが、真に企業の未来を切り開く経営者の姿勢です。

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