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値下げの落とし穴を見極める

B社は「業績が思うように上がらない」という相談を寄せてきました。製品を分析した結果、損益分岐点を大きく下回る製品が売上全体の20%以上を占めていることが判明しました。この製品が業績を圧迫する「お荷物」となっていたのです。

数量で補えば良いのか

事情を尋ねると、売上が好調だったため、得意先からの値下げ要求に応じ、「数量で補えば問題ない」と考えていたことが分かりました。この発想は商社では通用するかもしれませんが、工場では成立しません。工場には製造工程が存在し、それに伴う固定費や変動費が必ず発生するからです。

値下げ後も必要な利益率を確保できていれば、数量の増加が利益に寄与します。しかし、必要利益率を下回る場合、数量が増えるほど会社全体の工数に占める低収益製品の割合が増え、結果として全体の業績を圧迫することになります。

正しい判断のための計算

値下げ後の利益率が必要利益率を下回る場合、数量を減らしたほうが会社全体の利益にとって有利です。この点をB社に説明し、現在方向転換を進めているところです。

例えば、値下げした製品を継続して生産した場合、売上高は維持できるかもしれませんが、低収益製品の割合が増えることで、他の高収益製品に割けるリソースが減少します。その結果、全体の収益性が悪化するリスクが高まります。

一方、値下げ要求を受け入れずに製品を縮小または撤退した場合、短期的には売上が減少するかもしれません。しかし、会社全体の収益構造を健全化し、限られたリソースを高収益製品に集中させることで、長期的には利益率を改善できる可能性が高いのです。

意思決定の鍵

製品の価格と数量の関係を見直す際には、以下の点を考慮する必要があります:

  1. 必要利益率の確認:値下げ後でも必要利益率を維持できるかを分析する。
  2. 生産リソースの効率化:低収益製品が全体の工数をどれだけ占めているかを把握する。
  3. 代替製品の戦略:低収益製品を縮小する際に、高収益製品で補完できるかを検討する。

持続可能な成長のために

短期的な売上維持のために値下げに応じるのは、一見すると魅力的な選択肢です。しかし、それが会社全体の収益性を悪化させるのであれば、むしろ損失を拡大させる結果を招く可能性があります。B社のように、業績が思うように伸びない原因を製品ごとに丁寧に分析し、価格と数量のバランスを見直すことが、持続可能な成長の鍵となります。

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