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必死の合理化の末路

業績が低迷する中、何もせず手をこまねいていたわけではありません。数年前から、これまでとは異なる新たな方策を模索し、全力で取り組んできました。かつては、勘や経験に頼った経営で十分成果を上げていましたが、時代の変化に伴い、そのやり方では限界があると判断。科学的なアプローチを取り入れ、改善に努めてきたのです。

生産効率向上の挑戦

まず、生産効率を高めるために、生産技術の専門家を招き、工場の全工程をコンベアーシステムに移行しました。この取り組みによって、効率性の向上や作業の見える化、新人の即戦力化といった成果を得ることができました。しかし、これが利益増加という形で実感できる成果にはつながりませんでした。売価引き下げによる利益減少を一部補えた可能性はありますが、これだけでは業績回復には不十分だったのです。

外部専門家への依頼と課題

さらなる改善を目指し、生産分野の専門家に現場を診断してもらった結果、外注管理の強化が最大の課題として浮上しました。また、コンベアーシステムにも改良の余地があることが指摘されました。特に、外注品の納期遅れが生産効率を大きく阻害している点が問題視され、近代的な外注管理制度の導入を提案されました。

提案内容は理にかなっており、そのまま採用しましたが、実施段階で制度の理想と現実とのギャップが浮き彫りに。小規模な企業にとって運用が難しく、外注先の人手不足も問題を深刻化させました。議論は紛糾し、最終的にはコンサルタントとの関係も破綻。制度は形骸化し、外注の混乱は解消されないまま業績悪化が続きました。

組織全体の見直しと新たな試み

次に依頼したコンサルタントは、外注管理のみならず、組織全体の再構築が必要だと提案。三カ月間常駐して業務を徹底分析し、組織と管理制度の全面改訂に踏み切りました。しかし、これも想定外の結果を招きました。規定を盾にした責任回避が横行し、社員の姿勢が消極的に。さらに、一品一葉方式による業務の煩雑化が目立ち、経理部門を中心に旧体制へ戻す事態となりました。

行き詰まりの現状

効率化を目指した取り組みが逆効果となり、業績は悪化の一途。ついに赤字へ転落し、外部専門家への依頼も二度にわたって失敗を経験。現経営陣は外部に頼らず、自力で問題解決を図りたい意向を持っていますが、打開策が見出せずにいます。

最後の望みとして

思案の末、取引銀行に相談を持ちかけると、「独特の視点を持つコンサルタントがいる」との話が浮上しました。半信半疑の中、銀行の提案を受け入れ、そのコンサルタントが私というわけです。今後、どのようにしてこの企業が復活の道を歩むのか、再び希望を見出すための旅が始まります。

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