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価格政策の欠如がもたらす問題

価格政策の欠如がもたらす問題

日本企業、特に中小企業や下請け企業では、 効率的な価格政策がほとんど存在していません 。多くの場合、「原価主義」と「適正利益率」という概念に囚われています。しかし、これらは根本的に誤った考え方です。適正利益率を基に価格を決定するという方法は、製品の価値を無視し、企業の収益性を著しく制限しています。


原価主義の限界

原価を基に適正利益率を加算して価格を決定する手法は、効率性を欠き、企業の競争力を損ないます。この方法では、以下のような問題が生じます。

  • 原価が低いほど利益が少なくなるため、努力や改良が収益に結びつきにくい。
  • 製品の持つ価値や市場の需要を反映できないため、価格設定が非合理的になる。
  • 顧客に提供する「アイデア料」や「技術料」の正当な対価が評価されない。

実例から学ぶ価格政策の正解

O社の成功例

O社は、自主的な改良により、従来製品と同じ性能でコストを大幅に削減した新製品を開発しました。その際、改良による節約分を反映させることなく、 製品の価値に基づいて28,000円という価格を提示 。その強気な姿勢が顧客から認められ、受注に成功しました。

この事例は、「改良による節約分を顧客に還元すべき」という固定観念を打破し、 努力と成果に対する正当な報酬 を得るモデルケースです。

N社の教訓

一方で、N社は特許製品を持ちながら、営業部門の原価主義的な考えにより安値で販売しようとしています。この結果、優れた製品価値を十分に活かしきれず、収益性を損なうリスクを抱えています。N社の工場長が主張するように、「高く売ることは暴利ではなく、正当なアイデア料である」という考え方が欠如しているのです。


価格政策の根本原則

  1. 製品の価値を基準に価格を設定する
    価格は原価ではなく、製品が顧客にもたらす機能や効用、付加価値に基づいて決定されるべきです。
  2. 努力と成果を正当に評価する
    改良や技術革新の成果は、それを実現した企業が正当に享受するべきです。節約分を顧客に還元するだけでは、企業の成長を妨げます。
  3. 市場と競争環境を考慮する
    価格設定は市場の需要、競争相手の状況、顧客が得られる利益を反映する必要があります。

アイデア料と技術料を収益に結びつける

日本企業では、 「アイデア料」や「技術料」 という考え方が十分に浸透していません。これにより、努力や工夫が正当に評価されず、収益性が低下するケースが見られます。

  • アイデアや技術は、経営の力で収益に変えるべき
    アイデアや技術革新の成果を価格政策に反映し、収益向上に結びつけることが求められます。これが企業の競争力を高める鍵となります。

経営者の役割:価格政策を戦略化する

社長や経営者の役割は、単なる技術者やアイデア提供者ではなく、 これらを収益に結びつける戦略家 であることです。

  1. 製品の価値を正しく評価し、価格に反映させる。
  2. 顧客のニーズを把握し、それを満たす提案を行う。
  3. 収益性を高める価格政策を実行し、持続的な成長を実現する。

教訓:価値に基づく価格設定が企業を救う

価格政策は、単なる原価計算に基づくものではなく、製品価値と市場状況を反映する戦略的なものでなければなりません。 適正利益率という幻想を捨て、アイデア料や技術料を正当に評価する価格政策 を取り入れることで、企業は真の効率化と収益向上を実現できるのです。

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