能率至上主義から効率重視へ
最初に必要なのは、能率至上主義を手放し、効率を重視した経営に切り替えることです。どれだけ生産性が高くても、作られる製品が利益を生み出さなければ意味がありません。そのため、収益性の高い製品を選んで受注することが、企業の存続と成長にとって不可欠となります。
収益性の高い製品の選定
収益性の高い製品といっても、多量生産される消費財では期待が薄いのが現実です。一方、生産財は高収益が期待できますが、数量がまとまりにくいという課題があります。しかし、戦後の経済拡大や寡占化により、生産財のロット数が増加している現在、この問題を克服できるチャンスが広がっています。
たとえば、月産200台程度の製品であれば、量産技術を活用できる水準といえます。2か月分をまとめて生産することで、部品単位で800個や1600個といったまとまった数量を扱える規模に達し、量産効果を十分に発揮できるのです。
量産技術の活用と市場価格の把握
生産財メーカーは、少量生産の設計や加工法に慣れているため、部品単価が高く設定されがちです。ここが、量産技術を活用する企業にとってのビジネスチャンスです。しかし、価格設定には注意が必要です。量産を前提とした見積りを行う際、数量の少なさを理由に価格を上乗せする従来の手法では、魅力的な価格を提示できません。
そこで、まず受注対象部品の市場価格を把握します。その価格より5〜10%安い水準での収益性を試算し、十分な利益が見込める場合にはその価格に基づいて見積書を作成します。もし収益性が低い場合は、相手に指値を提示してもらい、その金額で収益性を再検討して適切に対応します。
VA(価値分析)によるコスト削減と価格設定
VA(価値分析)を活用してコスト削減が可能な場合、削減分の3分の1を価格に反映させます。この際、固定観念である「適正利益率」に縛られることなく、市場の実態や競争条件に応じた柔軟な価格設定を行うことが重要です。
柔軟な受注戦略の必要性
以上のような戦略に基づき、収益性の高い受注を効率的に確保することが、企業にとっての持続可能な成長を支える鍵となります。収益重視の姿勢を明確にし、市場の変化に柔軟に対応することで、高収益体質への転換を実現することが可能です。
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