売上高は、企業が市場でどれだけ活動しているかを測る重要な指標です。他社を上回る売上成長を実現している企業は、販売戦略で優位に立ち、競争を制する力を持つといえます。
市場で競争に勝ち続ければ、最終的には相手を圧倒し、場合によっては相手の活動を制限することさえ可能です。
ただし、「売上高だけが全てではない」という意見もあります。規模が小さくても十分な利益を確保できていれば、企業は健全に存続できます。結果がすべてだ、という考え方には一理あります。しかし、この状況がいつまでも続く保証はありません。むしろ、同じ状態を維持すること自体が難しいのが現実です。
特に競争が激化し、外部環境が急速に変化する現代では、規模の小さい企業が持続的に成長するのは容易ではありません。
売上は業界の占有率を表すものになるので、売上高をおろそかにしてはいけません。
「規模拡大をしない」選択のリスク
A社の例を挙げましょう。同社の社長は「これ以上会社を大きくするつもりはない」と繰り返し述べていました。
この方針のもと、A社は社員数70名規模の企業として、オートバイ用ハブブレーキに特化した事業を展開していました。それ以前は自転車用バンドブレーキを製造していましたが、製品の特化により事業の方向転換を図った結果です。
規模の拡大を目指さないという選択肢により、A社は大手メーカーである本田技研や鈴木自動車のような企業との取引を控え、自社規模に見合った取引先を選びました。その代表例が宮田自転車でした。しかし、問題はその宮田自転車自体が「限界企業」の状態にあったことです。
宮田自転車が競争に敗れ、倒産に追い込まれた結果、主要な取引先を失ったA社もまた、連鎖的に深刻な影響を受けました。
これは「規模の小ささゆえに、大きな外部要因の影響を受けやすい」という小規模企業の課題を象徴しています。たとえ一時的に利益を確保していたとしても、取引先の倒産や市場環境の変化に対して耐久力がない限り、存続は困難です。
将来を見据えた成長戦略の重要性
売上高の伸びが競争優位を示す一方で、小規模企業が長期的に成長するためには、単に現在の利益を維持するだけでは不十分です。事業の方向性や取引先の選定、さらには市場の変化に柔軟に対応する力が求められます。
特に、自社規模に合った取引先を選ぶことは重要ですが、その取引先自体が不安定な場合、連鎖的なリスクにさらされる可能性があります。
将来を見据えた戦略的な経営判断が、企業の存続と成長の鍵となるでしょう。
売上を絶対的な目標に据えるべきではありませんが、売上は業界のシェアを示すものなので、売上も重要ということは忘れてはいけません。
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