消費者直撃作戦:小売業と直販モデルの革新
M社をはじめとする多くの企業が直面する問題は、不況や競争激化により売上が低迷する状況です。しかし、これらの課題に対して従来の手法を繰り返すだけでは突破口は見つかりません。本記事では、実例をもとに、消費者に直接アプローチし信頼を築く戦略を探ります。
M社のケース:店舗商品構成の見直しと重点強化
石油不況下、木製家具を扱うM社の売上は大幅に減少。店舗は多種多様な商品を少量ずつ取り揃える「何でも屋」状態で、消費者のニーズに応えるには程遠いものでした。
売上高のABC分析
最初に行ったのは、商品ごとの売上を分析し、婚礼セットと鏡台が売上全体の50%を占めていることを突き止めることでした。これらを最重点商品と位置付け、以下のような販売促進活動を展開しました:
- 結婚に関する情報収集:結婚式場、美容院、貸衣装店など、多岐にわたる情報源を活用。
- 顧客訪問と店舗案内:対象家庭を訪問し、店舗や倉庫に招待して実物を見てもらう。
成果と波及効果
この取り組みの結果、訪問した家庭の約10%が購入を決定し、婚礼セットの売上が増加。さらに、この成功は他の商品にも波及し、信頼関係を構築した顧客が追加購入を行うケースが続きました。M社は業績をV字回復させ、開業以来の最高実績を達成しました。
N社のケース:商圏の守りと訪問営業
石油販売を行うN社は、不振店舗の業績改善を目指し、近隣商圏の消費者に直接アプローチする作戦に打って出ました。
商圏内の戸別訪問
従来の業界協定を理由に営業活動が消極的だったN社に対し、商圏を守るための訪問活動を提案。訪問を通じて、ガソリンだけでなく暖房用燃料なども併せて販売することで、顧客基盤を強化しました。
結果
訪問活動を開始して間もなく、店舗は黒字へと転換。顧客との関係が深まり、長期的な安定収益を確保する道筋ができました。
R社のケース:効率化と顧客囲い込み
事務用品商社R社では、得意先への消耗品補充に追われる中、効率的な「コック・システム」を導入しました。
コック・システムとは
「富山の置き薬方式」に倣い、必要な消耗品を先に納品し、消費された分だけを定期的に補充する方式。これにより、頻繁な注文と配送業務の負担を大幅に軽減しました。
成果
この方式は、セールスマンの時間を確保し、営業活動の強化に直結。また、顧客の在庫管理負担を軽減することで、信頼関係が向上し、競合の入り込む余地を排除しました。
消費者直撃作戦の鍵
これらの事例が示すのは、消費者や顧客に直接アプローチし、信頼を築くことの重要性です。
成功のポイント
- 商品構成の見直し:売れ筋商品に集中し、品揃えを充実させる。
- 積極的な訪問活動:商圏内での戸別訪問や直接アプローチを実施。
- 顧客視点のサービス提供:負担を軽減し、利便性を高める仕組みを整える。
結論:信頼と効率が成長を支える
不況や競争環境の厳しさに対抗するには、消費者や顧客の視点に立った戦略的な活動が不可欠です。これらの事例は、短期的な利益ではなく、信頼を基盤とした長期的な成長を目指す経営の重要性を教えてくれます。
「消費者直撃作戦」は、単なる売上増加にとどまらず、企業の持続可能な発展を支える鍵となるでしょう。
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