運転資金の使途
運転資金の計画は、固定資金計画を終えた後に進める重要なステップです。
ここでは、運転資金の使途を具体的に整理し、計画に反映する方法を説明します。固定資金と同様に、使途と源泉を分けて記入し、バランスを取ることが目標です。
運転資金の使途項目
- 受取手形増加:(期首と期末の差額を基に算出)
- 売掛金増加:(売掛金回転率を活用して予測)
- 棚卸資産増加:(正常在庫や過剰在庫の状況を基に計算)
- 固定預金:(定期積金や預金増加分)
- 短期借入金返済:(返済が実施される場合)
- その他:(流動資産の勘定科目全般を確認)
各項目の詳細
1. 受取手形増加
受取手形(手持手形+割引手形)の増加分を計算します。資金運用計画では、手持手形と割引手形を一括して「受取手形」として扱うことが実務的です。
記入方法
期首と期末の差額を計算して増加分を記載します。
割引手形の必要額が確定しない場合、仮置きとして大まかな金額を計上します。
注意点
資金運用計画では、手形の種類を分けずに一括管理することで、実態に即した計画を構築します。
2. 売掛金増加
売掛金回転率を利用して、期末の売掛金残高を予測し、増加額を算出します。
調整方法
顧客の支払いサイトの変更
支払い期間の延長が予想される場合は、売掛金残高の増加を考慮します。
売上構成の変化
新規顧客や主要取引先の変更による影響を反映します。
記入方法
予測を反映しつつ、増加額を計画に反映します。
3. 棚卸資産増加
棚卸資産の変動は、正常在庫と過剰在庫の状況によって異なります。
正常在庫
棚卸資産回転率を基に増減を計算します。
予測される需要変動や仕入れのリードタイムを考慮します。
過剰在庫
在庫削減目標を設定し、計画に反映します。
正常時の回転率や業界標準を参考に現実的な削減額を算出します。
記入方法
正常在庫または過剰在庫に応じて、適切な予測値を記載します。
4. 固定預金
定期積金や預金増加分を計画に反映します。これらは運転資金の減少要因として考慮されます。
記入方法
預金増加額を計画書に記載します。
5. 短期借入金返済
実際に返済が行われる場合はその金額を記載します。一方、借り換え(ころがし)が行われる場合は、返済額を「0」とします。
記入方法
返済額または「0」を記載。

6. その他
流動資産の勘定科目を確認し、大きな変動が予想される項目を記入します。
例
前払金の増減
資材やサービスに対する前払い分。
消耗品の購入
必要な備品や資材の購入費。
保証金の支払い
一時的な資金流出。
記入方法
該当する項目をチェックし、予測額を記載します。
特殊項目: 期末現金流動預金
この項目は未記入のままとし、運転資金の源泉を計算した後に金額を決定します。
記入時期
運転資金全体のバランスを確定した後に記載。
運転資金の使途計画の重要性
運転資金の使途を正確に計画することで、計画期間中のキャッシュフローを安定させ、突発的な資金不足を回避できます。
また、各項目の増減を適切に予測することで、資金の流れを明確化し、計画の実現性を向上させることが可能です。
この段階で使途が確定すれば、次は運転資金の源泉に進み、計画全体をバランスさせます。

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