資金運用計画は、企業が一定期間中にどのように資金を調達し、どのように使うかを計画的に整理したものです。以下では、その具体的な作成手順と重要なポイントを説明します。
資金運用計画の基本構造
巻末に掲載されている「第17表」の「資金運用計画表」を参照しながら、以下の手順で作成を進めます。この表は、「期末における数値が期首と比べてどれだけ変化したか」という差額を示す形式で構成されています。
資金の動きに基づく分類
- 「出っ放し」の資金
- 期中に支出された総額がそのまま差額として記録されます。
- 例:設備投資や固定資産の取得など。
- 「入りっ放し」の資金
- 期中に収入された総額が差額として現れます。
- 例:増資や長期借入金など。
- 「出たり入ったり」する資金
- 期首残高と期末残高の差額が該当します。
- 例:運転資金に関する流動資産や流動負債。
計画作成の手順
1. 資金の使途と源泉の見積もり
各勘定科目ごとに、計画期間中にどのような資金の動きがあるかを慎重に見積もります。この段階では、以下の点に注意してください。
- 使途(資金の利用目的)
- 設備投資額、運転資金増加分、法人税や配当金などの支出項目。
- 源泉(資金の調達手段)
- 増資、借入金、新規収入などの収入項目。
2. 資金運用計算
期首と期末の差額を計算し、それぞれの資金の動きを明確にします。この計算に基づき、計画期間中に新たに発生する資金の使途と源泉を特定します。
3. 計画内容の検討
計算結果をもとに、計画の内容を詳細に検討します。以下の観点で議論し、改善を加えます。
- リスク管理
- 計画に危険な要素が含まれていないかを確認。
- 効率性
- 無駄な支出がないか、資金の運用が効率的に行われているかを検証。
- 最適化
- 資金の流れを見直し、さらに効率的な方法がないかを検討。
4. 計画の確定
試行錯誤を繰り返しながら、最終的に最適な形に調整し、計画を確定します。このプロセスは、資金運用計画の質を高め、実現可能性を担保するために不可欠です。
資金運用計画の本質
資金運用計画は、単に数字を記入するだけの作業ではありません。計算結果を踏まえて内容を深く検討し、企業の目標や環境に適合する形に最適化するプロセスそのものが「資金運用計画」の本質です。
この計画が適切に作成されることで、資金の過不足を未然に防ぎ、企業の財務基盤を安定させることが可能となります。さらに、計画を実行する過程で生じる新たな課題にも柔軟に対応できる基盤を提供します。
資金運用計画を通じて、企業は自らの資金の動きを的確に把握し、経営の舵取りを的確に行うことが可能になります。この計画を策定することは、健全な経営の土台を築く第一歩と言えるでしょう。
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