目次
資金繰計画表の構成
資金繰計画を構築する際に、使用される形式として主に四区分法と六区分法の二種類があります。それぞれの特徴と活用方法について解説します。
1. 四区分法
四区分法は、当月のすべての収入を含めて収支のバランスを計算する形式です。この方式では、収入と支出が単純化されており、資金の全体像を簡潔に把握することができます。
1.1 四区分法の構成
- 前月繰越
- 前月から繰り越された現金残高を記入。
- 当月収入
- 売上金回収や金融収入(借入金や割引収入を含む)など、当月の全収入を計上。
- 当月支出
- 買掛金支払い、経費、税金、借入金返済など、当月の支出を合計。
- 翌月繰越
- 前月繰越と当月収入の合計から当月支出を差し引いた残高を記入。
1.2 四区分法の利点と課題
- 利点
- シンプルで分かりやすく、資金の全体像を簡単に把握可能。
- 課題
- 金融収入を含めた収支計算のため、実際の営業活動からの収入状況が不明確になる。
2. 六区分法
六区分法は、金融収入(借入金や割引収入)を除外して収支を計算し、不足金を別枠で明確化する形式です。不足金を把握しやすいため、資金繰り計画が立てやすいという特徴があります。
2.1 六区分法の構成
- 前月繰越
- 前月から繰り越された現金残高を記入。
- 当月収入(金融収入を除く)
- 営業活動による売上金回収など、実際の事業収入を計上。
- 当月支出
- 買掛金支払い、経費、税金など、当月の営業支出を合計。
- 当月過不足
- 営業活動による収支差額(不足または余剰)を計算。
- 不足金充当
- 借入金や手形割引など、金融収入で不足金を補填。
- 翌月繰越
- 当月の収支と金融収入を加味した翌月の繰越金額を記入。
2.2 六区分法の利点と課題
- 利点
- 営業活動による収入と金融収入を区別することで、実態が明確化。
- 不足資金の規模と補填方法が分かりやすい。
- 課題
- 四区分法に比べてやや複雑で、記入に手間がかかる。
3. 四区分法と六区分法の違い
項目 | 四区分法 | 六区分法 |
---|---|---|
収入の扱い | 全収入を一括計算 | 営業収入と金融収入を区別 |
不足金の扱い | 明示しない | 別枠で計上して明確化 |
複雑さ | 簡潔で分かりやすい | 詳細な管理が可能だが手間がかかる |
活用シーン | 資金の大まかな流れを把握する場合 | 資金繰り計画を精密に管理する場合 |
4. 一般的な採用法
多くの企業では、六区分法が採用されることが一般的です。その理由は以下の通りです。
- 不足資金の把握
営業活動から得られる収入と、それを補う金融収入を明確に分けることで、不足資金の実態を正確に把握できる。 - 資金計画の立案
不足金が明確になるため、資金繰り対策を具体的に立てやすい。
まとめ
資金繰計画表は、企業の資金管理において重要な役割を果たします。四区分法は簡潔で分かりやすく、資金の全体像を把握するのに適していますが、六区分法は不足資金を明確化し、資金計画を立てやすいという利点があります。
特に、精密な資金管理を求められる場合には、六区分法を活用することが推奨されます。企業の状況に応じて、適切な方法を選択し、資金繰りの安定化を図ることが重要です。
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