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実質金利とは?経営者が知るべき本当の金利コスト

金利は、経営者にとって財務管理における重要な関心事項の一つです。

しかし、一般的には借入金や預金の利率ばかりに注目が集まり、「実質金利」という概念を意識する経営者は意外に少ないのが現状です。

本記事では、実質金利の基本概念や計算方法をわかりやすく解説し、企業が正確な資金コストを把握するための指針を提供します。

目次

実質金利の基本概念

実質金利とは、「実際に利用可能な借入金額に対する正味の金利負担」 を指します。

たとえば、1億円を長期借入する際に2,000万円の両建預金が義務付けられる場合、実際に使用可能な資金は8,000万円となります。

しかし、借入金利は1億円全体に対して発生し、預金2,000万円から得られる利息は借入金利より低い水準にとどまります。

この差分を考慮した結果得られる、実際の負担利率が「実質金利」です。

実質金利の計算式

企業全体の実質金利を計算する場合、次の式を用います:

[
\text{実質金利} = \frac{\text{支払利子} + \text{割引料} – \text{受取利子}}{\text{借入金} + \text{割引手形} – \text{定期預金}}
]

  • 分子:企業が実際に支払う利息(支払利子 + 割引料 – 受取利子)
  • 分母:企業が実際に使用可能な借入資金(借入金 + 割引手形 – 定期預金)

実質金利計算のポイント

  • 分母:試算表やバランスシートに基づく借入金、割引手形、定期預金の金額を使用します。
  • 分子:支払利子、割引料、受取利子は、分母に含まれる項目の金額に基づく年利額を用います。
  • 年利を基準:利率計算では年利が標準単位とされるため、これに統一します。

この計算により、企業が実際に負担している金利コストを正確に把握することができます。

実質金利が高くなる要因

実質金利は、名目金利よりも高くなる傾向があります。この主な要因は以下の通りです:

借入金利と預金金利の差

借入金利が預金金利を上回る場合、その差が実質金利を引き上げる要因となります。

預貸率の変化

預貸率(借入金に対する預金の割合)が高くなるほど、実質金利は上昇します。これは、預金から得られる利息が借入金利を補えないためです。

実質金利の試算例:預貸率の影響

以下の試算により、預貸率が実質金利にどのような影響を与えるかを確認します。

ケース1:預貸率0.3の場合

  • 借入金:1億円
  • 定期預金:1億円 × 0.3 = 3,000万円
  • 支払利息:1億円 × 5% = 500万円
  • 受取利息:3,000万円 × 2% = 60万円
  • 実質借入金額:1億円 – 3,000万円 = 7,000万円
  • 実質金利:((500万円 – 60万円) ÷ 7,000万円 = 6.29%)

ケース2:預貸率0.5の場合

  • 借入金:1億円
  • 定期預金:1億円 × 0.5 = 5,000万円
  • 支払利息:1億円 × 5% = 500万円
  • 受取利息:5,000万円 × 2% = 100万円
  • 実質借入金額:1億円 – 5,000万円 = 5,000万円
  • 実質金利:((500万円 – 100万円) ÷ 5,000万円 = 8.00%)

まとめ:実質金利の重要性

実質金利を把握することは、企業の資金調達コストを適切に管理するために不可欠です。預貸率や金利の差がどのように影響を及ぼすかを理解し、計算式を活用することで、企業の財務状況をより精緻に分析できます。この視点を取り入れ、資金運用や借入条件の改善に役立てましょう。

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