企業が持続的な成長を遂げるためには、資金運用と資金繰りを適切に管理することが不可欠です。
そして、その基盤となるのが「利益」であることを忘れてはなりません。
この基本をしっかりと理解したうえで、資金の種類や特徴を深掘りしていきます。
資金の種類
資金は大きく分けて「固定資金」と「運転資金」に分類されます。それぞれの特徴を正しく理解することが、効果的な資金運用の第一歩です。
固定資金とは
「固定資金」とは、運転資金以外のすべての資金を指します。
名称から「固定されて動かない資金」と誤解されがちですが、実際にはそうではありません。固定資金にも動きはありますが、運転資金のように日常的に循環する性質がないという点で異なります。
具体的な内容は後述しますが、この段階では「運転資金ではない資金」として理解しておけば問題ありません。
運転資金とは
一方、「運転資金」とは何か。この問いに対し、明確に答えられる経営者は少ないのが実情です。多くの書籍や資料でも、運転資金の定義を分かりやすく説明しているものはほとんど見当たりません。
一般的には、次のような曖昧な解釈にとどまっています:
- 「毎月の資金繰りに必要な資金」
- 「材料費の支払いや手形の決済に必要な資金」
しかし、これだけでは不十分です。
私の定義によれば、「運転資金」とは「経常活動を繰り返し行うために必要な資金」です。つまり、日常的な事業運営において不可欠な資金を指します。
経常活動と運転資金の関係
経常活動とは、「経常利益を生み出すために行われる活動」を意味します。これを理解するには、損益計算書や利益計画を上から順に確認すると分かりやすいでしょう。
- 売上高
- 売上原価
- 売上総利益
- 一般管理販売費
- 営業利益
- 営業外収益と費用
- 経常利益
これらの数値を生み出すために必要な活動に関わる資金のうち、繰り返し使用されるものが「運転資金」に該当します。
設備投資と運転資金の違い
設備投資も経常利益を生み出すために必要な支出ではありますが、それは一度限りの支出であり、繰り返し発生するものではありません。
そのため、設備投資に使われる資金は「運転資金」ではなく、「固定資金」として分類されます。
運転資金の定義づけの難しさ
運転資金を文章だけで正確に定義することは難しいのも事実です。多くの経営者にとって、運転資金の概念は依然として曖昧なままでしょう。しかし、この問題を解決するための具体的な方法やフレームワークを後ほど解説する予定です。
まとめ
資金運用を効果的に行うためには、「固定資金」と「運転資金」の違いを正確に理解し、それぞれの特徴に基づいた管理が求められます。
また、運転資金については、経常活動との関連性を明確にし、日常の事業運営に必要な資金の実態を把握することが重要です。
資金の全体像を捉えるためには、理論だけでなく、具体的な数値や事例を通じた明確な定義づけが必要です。その方法については、引き続き詳しく解説していきます。
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