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市場の断層に対して正しい態度がとれる

いつのことだったか記憶は曖昧だが、梅雨の終わりに集中豪雨が襲い、長崎市で大きな災害が発生した年の話だ。同じ時期、奈良市でも集中豪雨が降り、床上浸水するほどの被害が出た。水没して動かなくなった自動車が数多く発生し、メーカーの営業所や整備工場には修理や整備の依頼が殺到していた。

このとき、Nオートでは、定められた修理代以外は一切追加料金を取らず、誠実な仕事を行った。一方で、一部の整備工場では不当に高額な修理費を請求するケースもあったようだ。この誠実な姿勢が評価され、Nオートは顧客からの大きな信頼を獲得。その結果、同社の自動車販売は急増することとなった。

瀬戸大橋の開通で四国に観光ブームが訪れた際、高松市で起きた出来事だ。どの旅館も早くから予約が殺到し、すぐに満室となった。それでも予約の申し込みは後を絶たず、満室だからと断っても旅行会社は納得せず、無理難題を押しつけてきた。「とにかく頼む」とだけ言って一方的に電話を切る旅行会社まで現れ、状況は収拾がつかない状態になっていた。

この混乱の中で立ち上がったのが、高松市の旅館組合だった。「一人でも宿泊できないお客様を出して迷惑をかけてはならない」という信念のもと行動を起こしたのだ。旅館組合は市の観光課と協力し、高松市およびその周辺の寺院に対して臨時宿泊所としての協力を依頼。寺院側もこれに応え、協力体制を整えた。

これはあくまで想像だが、婦人会や青年会、飲食店組合に加え、警察署、消防署、保健所、JR、観光バス会社、タクシー会社など、多くの団体や組織が協力したのではないかと思う。おそらく高松市全体が一丸となった大規模なプロジェクトだったのではないだろうか。そして、この取り組みは見事に成功を収め、多くの人々に感謝される結果となったに違いない。

市場の断層、すなわち予期せぬ事態や急激な需要の変化に直面したとき、企業がどのような対応を取るかは、その信頼性や長期的な成功に大きく影響する。Nオートと高松市の旅館組合の事例は、企業や地域が適切な姿勢を保ちながら市場の断層に対応した好例である。

Nオートは大災害での緊急修理に際し、標準の修理費を守り、誠実に対応することでお客様の信頼を得た。他社が混乱に乗じて高額な修理費を請求する中、Nオートの姿勢はお客様の安心感を生み、結果的に同社の売上を増加させるきっかけとなった。このように、困難な時こそ誠実に対応することが、長期的な信頼を築く重要な要素であることを示している。

また、高松市の旅館組合は、瀬戸大橋の開通に伴う観光ブームに対応し、一時的な宿泊不足を解決するために市内の寺院を臨時宿泊所として活用することを決定。多くの地元組織と連携して、観光客を受け入れるための臨時体制を整えた。この一連の対応は、地域全体で協力して観光需要に応える意欲を示し、観光地としての高松市の評判をさらに高めた。

これらの事例は、企業や地域が市場の断層に対して柔軟かつ誠実な姿勢で対応し、信頼を得る重要性を教えてくれる。緊急事態の際にいかにして適切に対応するかが、顧客や訪問者の長期的な支持を得る基盤となる。このような行動を通じて、信頼を築き、市場での地位を強固にすることが可能になるのだ。

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