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企業経営の厳しさを認識させよ。そこから意識革命が起こる

企業経営は戦争のようなものだ。絶対に勝てる戦争が存在しないのと同じように、永遠に存続する企業などあり得ない。むしろ、企業は放っておけば必ず衰退し、やがて消えていく運命にある。

東京商工リサーチ社の倒産企業調査データを基に、昭和47年から48年にかけての年間倒産件数をグラフ化すると、金融超緩和政策が実施されていた昭和47年には倒産件数が年間を通じて減少し続けていることがわかる。この下降傾向は昭和48年前半で終わり、その後、倒産件数は再び増加に転じている。

これは、昭和47年秋頃から原材料価格の高騰が加速した影響と考えられる。そして、昭和48年10月には石油ショックが発生し、状況はさらに悪化している。

その結果、昭和49年にはGNPがマイナス成長に転じる事態となった。企業倒産件数も昭和48年以降増加傾向が続き、昭和50年に一時的な横ばいを見せるものの、その後は再び増加の一途をたどることとなった。

昭和52年9月には、年間倒産件数が1万8,000社を超え、月間で約1,500社が倒産するペースに達していた。この期間の公定歩合の推移を振り返ると、石油ショックによるインフレ抑制を目的として一時引き上げられたが、昭和50年4月以降は景気刺激策として引き下げられ続けている。

同時に、公共投資も増大させる施策が進められていた。しかし、それにもかかわらず景気は回復の兆しを見せず、企業倒産は増加の一途をたどっている。この状況は、公定歩合の引き下げや公共投資の拡大が、もはや景気回復の決定的な効果を持たないことを示していると言えるだろう。

資源不足が引き起こす飢餓経済時代の恐ろしさは、これがほんの序章に過ぎない。今後の状況はさらに厳しさを増し、一層困難な局面を迎えることが避けられないだろう。

高度成長期という古き良き時代には、よほど極端な失策をしない限り企業が倒産することは稀だった。しかし、そんな時代はすでに過去のものとなった。高度成長期の甘い考え方にしがみついていれば、企業は瞬く間に倒産という悲劇に直面する危険を抱えているのが現実だ。

もはや、安易な経営姿勢は許される時代ではない。それにもかかわらず、伝統的な管理論は依然として「客観情勢は永遠に変化せず、企業は決して倒産しない」という過去の固定観念に縛られている。こうした考え方は、現実の厳しさに対応できない大きなリスクを孕んでいる。

論より証拠である。客観情勢の変化について具体的に言及することもなく、会社がこのままでは潰れるという警鐘すら鳴らしていないのが現状だ。そして、最大の関心事は、企業の将来にほとんど関係のない、次元の低い日常業務の繰り返しに偏っている。これでは時代の変化に適応することは到底不可能だろう。

私たちは、こうした旧態依然とした管理論から脱却すべき時を迎えている。経営者は、厳しい客観情勢に立ち向かいながら、自社が生き残る未来の姿を明確に描き、その実現に向けた条件を数値目標として示す必要がある。そして、これらの目標を達成するための方針を具体的に打ち出すことが求められる。そのすべてを明文化したものこそが「経営計画」なのである。

これを社内に明確に発表し、具体的な数字を基に説明する必要がある。たとえば、「これだけの付加価値と利益をどうしても達成しなければならない。そのためには、人件費や経費をこの範囲内に抑える必要がある。賃金ベースがこの水準である以上、人員枠はこの規模に限定される」といった具合に、目標達成のための条件を社員に理解させることが重要だ。

定員というのは、単に仕事量から逆算して決定されるものではない。企業が生き残るためには、どうしてもこの人数でやり抜かなければならない、という存続の要請から決まるものである。これこそが、企業戦争の現実だ。理屈では片付けられない話であり、もし理屈通りに仕事量に基づいて人員を決めれば、会社を潰す結果を招く。現実の厳しさを見据えた判断が求められるのである。

定員に限らず、企業が掲げるさまざまな目標は、過去の実績を基準にすれば「無理どころか不可能」と思えるようなものが多い。しかし、その不可能を可能に変え、現実の成果として実現させることこそ、経営担当者の真の役割である。現状に甘んじるのではなく、限界を突破するための発想と行動が求められている。

このような説明を通じて、目標がどれほど厳しく思えようと、この人員で遂行する以外に道はないことを従業員に理解させる。そして、そのうえで、経営担当者がこの困難を乗り越える能力を持っていることを信じている、という強いメッセージを伝えることが重要だ。この信頼と覚悟を示すことで、組織全体を一つの方向へと動かす力が生まれる。

こうした説明を徹底することで、経営担当者は経営者の決意を深く理解し、厳しい客観情勢を直視するようになる。そして、どれほど困難であろうとも、それを当然の課題として受け入れ、経営者の信頼に応えるべく、自ら主体的に行動を起こすようになる。これこそが、組織における意識革命であり、企業が困難を乗り越えるための原動力となるのである。

部下を動かす最大の原動力は危機感である。それは、自己保存本能を直接的に刺激するからだ。この本能に勝る動機づけは存在しない。危機感を共有し、その上で高い目標と重大な責任を与えることで、部下は自らの役割を具体的に認識し、その達成に向けて全力を尽くすようになる。このような環境が、組織全体の力を引き出す鍵となる。

満足感を与えて動機づけようとする考え方は誤りだ。人間は、一度満足感を得ると、そこで進歩が止まり、努力を続けようとしなくなるという厄介な性質を持つ。だからこそ、常に挑戦し続けざるを得ない状況を作り出し、危機感や達成意欲を維持させることが重要なのである。

従来の直間比率の考え方は、「直接部門以外のものを間接部門とする」という定義に基づいている。この枠組みの中で、直接部門と間接部門の区分が行われている。

企業経営は、常に変化し続ける厳しい現実に立ち向かう「戦争」ともいえるものだ。企業が存続するためには、常に厳しい情勢に対応する覚悟が必要であり、安易な経営態度は許されない。かつての高度成長期には、企業が安定的に成長し、つぶれるリスクが少なかったかもしれない。しかし、現代においては、競争が激化し、資源不足や経済環境の変化が企業経営を取り巻く状況を厳しくしている。今や、企業が成り行きに任せて安泰でいられる時代は終わったのだ。

伝統的な管理論は、客観情勢が変わらず、企業が絶対につぶれないという前提に基づいているが、これはもはや時代遅れだ。むしろ、経営者は現在の厳しい情勢を認識し、生き残るための目標と方針を明確にする必要がある。例えば、経営計画を通じて企業が必要な利益や付加価値を示し、賃金ベースから人員枠を設定する。重要なのは、企業が生き残るためにはどれだけの人員でやらなければならないかという視点で定員を決めることだ。仕事量から人員を決めるのではなく、企業存続のための最低限の人員で効率を最大化する覚悟が求められる。

このような厳しい方針を社内に示すことで、経営者の決意と信念が伝わり、社員もまた、難しい目標を達成するための意識を持つようになる。これが「意識革命」であり、企業全体が生存本能に基づいた危機感を抱くことで、社員一人ひとりが自らの役割と責任を理解し、懸命に努力する。実際に、人は危機感を持つことで最大限の力を発揮するものであり、経営者がこの危機感を組織全体に浸透させることこそが、企業を存続へと導く最も効果的な方法なのだ。

満足感を与えるだけでは人は進歩を止めてしまう。むしろ、厳しい目標を掲げ、挑戦する場を提供することで、社員が自らの力を引き出し、企業全体が目標に向かって進むように促すことが求められる。

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