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S社の実例からわれわれは何を学ぶか

教訓

能率主義には会社を発展させる力がない。会社を成長させるのは、収益性の高い製品を販売するという効率主義だ。

効率主義に欠かせないのは営業活動だ。

効率主義において重視すべきなのは価格政策だ。

能率主義の限界を正確に理解しておく必要がある。能率は確かに重要だが、それ自体に会社を成長させる力はない。能率ができるのは、会社の業績が低下するスピードを抑えることだけだ。

S社の実例は、この事実を如実に示している。世の中には、能率主義に固執して業績が低迷し、苦しむ会社があまりにも多い。P社の社長は、他社では採算が取れない製品を採算が取れるようにすることが経営だと信じ込み、それを自慢にしている。しかし、肝心の業績は赤字には至らないものの、決して好調とは言えない。そもそも収益性の低い製品ばかりを扱っていて、良好な業績を上げられるはずがない。

K社は、上から下まで原価意識が驚くほど徹底している。だが、数年前には連続した大赤字のため倒産寸前まで追い込まれた会社だ。現在の業績も依然として低迷している。主力製品は特許に基づくもので、将来的に大きな需要が見込まれるにもかかわらず、原価主義に囚われて安値で販売してしまった。この価格政策の誤りが赤字の根本的な原因だ。製品の持つ「アイデア料」という価値を理解していなかったことが、その背景にある。

大幅な赤字に苦しむD社の社長の机には、能率に関する本が何冊も常に並んでいる。繰り返し読んでいるそうだ。しかし、D社の赤字の原因は能率ではなく、季節商品のために半年間もの間、操業度が極めて低い状況にある。社長が考えるべきなのは、能率の向上ではなく、閑散期に取り組むべき仕事を見つけることだ。

この10年間ほとんど配当を出したことがないI社は、不況のたびに倒産の噂が飛び交う。しかし、能率の新しい手法が登場すると、真っ先にその導入に取り組み、専門家を招いて長期にわたり指導を受ける。技術出身でなければ重役にはなれないという社風がある。

I社に優れた経営者が現れることを期待するのは難しい。この会社は結局、職人の集まりに過ぎないのだ。こうした会社の社長たちは経営に真剣に取り組んでいるが、その努力も、能率主義を捨てて効率主義へと方向転換しない限り、決して実を結ぶことはないだろう。それどころか、倒産と隣り合わせの状態を常に彷徨い続ける運命から逃れることはできない。

私は、能率という小手先のテクニックに囚われているあまりにも多くの経営者に対し、強く警告したい。「能率への関心を捨て、効率に焦点を絞れ」と。経営の本質は、表面的な改善ではなく、効率を追求することで得られる持続的な成長にあるのだ。

収益性の高い製品を見つけ出して採用し、収益性の低い製品を容赦なく切り捨てていく効率主義こそが、会社を本当に発展させる唯一の道である。これが経営者にとって最も重要な心構えである。

S社の実例から学ぶ教訓:能率主義を超えた効率主義への転換

S社の成功から得られる教訓は、能率主義に固執することが会社の発展には繋がらないという点にあります。会社を成長させる真の力は、収益性の高い製品を見極め、それを営業活動によって積極的に売り出す「効率主義」にあるのです。以下の要点がその教訓を示しています。

  1. 能率主義は会社を発展させない
  • 能率の向上は業績の低下速度を抑えるに過ぎず、収益を大きく生むことはできません。効率主義、すなわち収益性の良い製品を選んで売り出すことが、会社の成長には不可欠です。
  1. 効率主義には営業活動が必須
  • 営業活動は、単に製品を売るだけではなく、市場のニーズに応じて高収益を生む製品を発掘し、持続可能な成長を支える柱となります。
  1. 価格政策の重要性
  • 価格設定の誤りは会社の収益に直結します。低価格での安売りを続けていては、いくら販売量を増やしても利益を確保できません。価格政策の見直しが、経営安定の鍵となります。

他の企業の実例もまた、能率に過度に依存することのリスクを浮き彫りにしています。P社のように、収益性の悪い製品を引き合うようにすることに経営の意義を見出していては、決して高い業績は見込めません。また、K社やD社のように、原価意識や季節変動に固執しすぎると、企業の成長は限界に達してしまいます。能率に関心を集めすぎるあまり、効率的な製品選定や収益性に焦点を合わせられない企業は、経営の困難な状況から抜け出せないのです。

S社の成功が教えるのは、「収益性の高い製品を取り入れ、収益性の低い製品を見極めて非情に排除する」という効率主義こそが、企業の成長を支える経営の道筋であることです。能率向上のテクニックに囚われるのではなく、収益に焦点を当てた経営を第一の心構えとすることが、経営者としての真の使命なのです。

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