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会議は最小限に

営業会議というものがいかに誤ったものであるかについては、このシリーズの拙著「販売戦略・市場戦略」編でも触れているので、そちらを参照してほしい。

多くの会議の実態は右記のようなものであり、有効な会議が皆無というわけではないが、それはごく少数にとどまる。そして、そのわずかな有効な会議でさえ、必ずしも会議という形式を取らなくても成立する場合が少なくない。

多くの企業では、無駄な会議が溢れている。「会議会議で半年を過ごし、残りの半年は寝て過ごす」といった状況の会社も少なくなく、人々はそんな会議漬けの環境にうんざりしている。

その無駄さが分かっていながら、「会議無用論」が本格的に提起されることはほとんどない。せいぜい「回数を減らそう」といった程度の議論が行われるだけで、会議自体は公然と「必要なもの」として認知され続けている。多くの文献でも、「効果的な会議の進め方」といった的外れな議論ばかりが展開されているのが現状だ。

まさにこれは「経営七不思議」の一つと言えるだろう。この状況には、何らかの理由が存在しているはずだ。そして、その理由は確かに存在する。しかしながら、その真の理由が明らかにされることはほとんどないのが現実だ。

会議が開かれる理由は、実のところ「安心感を得るため」だ。しかし、「会議の目的は安心感を求めることだ」と公然と言える人はまずいない。そのため、誰もその本質を口にせず、黙って見て見ぬふりをしているのだ。

「みんなで相談したから」「意見を出し合ったのだから」「会議で方針を説明したから」といった理由で安心し、責任を分担したような気になって安心する。また、会議の場で「言い訳を済ませた」ことで安心するケースも多い。さらにもう一つ、上司がその威厳を示す場を作ったことで得られる安心感も存在する。

こんな無意味な会議は断固として否定し、何よりも貴重な時間を無駄にしないようにするべきだ。時間という資源は、一度失えば決して取り戻すことのできないものだからである。その価値を正しく理解し、無駄を排除することが不可欠だ。

会議を否定するといっても、すべての会議を否定するわけではない。本当に必要な会議は当然別物だ。ここで求めているのは、無意味で下らない会議を断ち切ることだ。それこそが、時間と生産性を守るために不可欠な行動である。

必要とされる会議の中で最も重要なのは「情報」に関する会議だ。情報の伝達と交換が主な目的であり、これらは会議という形式を取ることで効率的に行える場合が多い。このような会議は、意義あるものとして認められるべきだ。

情報伝達の多くは、決定事項の伝達が中心であり、それ以外の内容はわずかだ。形式的には会議の形を取っていても、その実態が単なる決定事項の伝達に過ぎない場合も少なくない。このような場合、会議の本質が形骸化していることは否めない。

情報交換の中心となるのは、外部情勢に関する情報や技術的な情報だ。特に営業会議については、単なる討議や報告の場ではなく、「情報会議」として位置づけるべきである。この点については、すでに「販売戦略」編で述べた通りである。

外部情報が豊富であればあるほど、結論は自ずと導き出されやすくなる。それに伴い、会議の必要性も減少する。しかし、実際には多くの企業で、この外部情報の量が驚くほど乏しい状況にある。そのため、無駄な会議が繰り返される一因となっている。

ほとんど皆無に等しい外部情報では、外部の状況を正確に理解することなど到底できない。その状態で会議を行ったところで、それは「独りよがり」か「的外れ」な議論に終始するしかない。こうした無意味どころか有害とさえ言える会議が、どの企業でも驚くほど多く繰り返されているのが現実だ。

会議に時間を費やすくらいなら、その時間を使って外に出て情報を集めるべきだ。特に重要なのは、社長自身が直接外部で得た情報であり、その価値は他のどんな情報にも代えがたい。さらに、会議を行う際に最も大切なことは、内容以前に、開会と閉会の時刻を厳守することである。時間を守ることこそが、会議の効率と意義を支える基本である。

会議の時間は二時間を限度とするべきだ。それ以上の長時間にわたるダラダラした会議は、参加者の集中力を奪い、議論の質を低下させ、結果的に会議の効果を著しく損なう原因となる。短時間で要点を押さえることこそが、会議の成功につながる。

開会時刻を守るためには、「罰金制度」を導入するのが最も効果的だ。人は「罰」を受けることを非常に不名誉なことだと感じるため、この仕組みは時間厳守への強い動機付けとなる。規律を保つためには、こうした具体的なペナルティが有効に機能する。

閉会時刻を守るには、終了予定時刻の15分前にブザーを鳴らし、残り時間を明確に知らせることが効果的だ。そして、閉会時刻になれば、議論が途中であっても毅然と会議を終了させる。このルールを徹底することで、参加者は自然と要点を絞った発言を心がけるようになり、会議の効率が向上していく。

情報会議以外の会議は、基本的に必要性が低いと考えるべきだ。むしろ、会議よりも効果的な手段が存在するという前提で行動し、その代替手段を積極的に模索・研究する方が建設的だ。無駄な会議に頼らない仕組みを追求することで、時間とリソースをより有効に活用できるようになる。

多くの会社で会議が頻繁に行われ、まるで夜も日も明けないような状態に陥る原因は主に二つある。一つは、外部の情勢が十分に把握できていないこと。もう一つは、まとまりを欠きやすい社内の状況を一つにまとめる必要があるためだ。この二つの要因が、過剰な会議の根本的な背景となっている。

外部情報については既に触れたので、次に会議を開かずに社内をまとめる方法について述べる。まず最も重要なのは、会社全体の指針となる「経営計画書」を持つことだ。この計画書がなければ、社員一人ひとりが共通の目標を持つことが難しくなり、社内の統一感を保つことができない。経営計画書は、社内のベクトルを揃えるための根本的なツールとなる。

経営計画書に明記された「方針」と「目標」が、人々の考え方や行動にどれほど強い影響を与えるかは、実際にその力を目の当たりにした者でなければ理解しがたい。これらの明確な指針は、個々の行動を統一し、全体の方向性を揃える強力な原動力となる。それがいかに重要であるかを軽視している組織は、しばしば無駄な会議や混乱に陥る原因を自ら作り出している。

経営計画書に明記された方針と目標を徹底的に浸透させるだけで、会議の必要性は大幅に削減できる。社長は、日常のあらゆる機会を利用して、この計画書の内容を繰り返し強調し、社員一人ひとりに深く理解させることが重要だ。こうして方針と目標が社内に行き渡れば、自然と全員の方向性が一致し、組織全体が一つにまとまる。これが、無駄な会議に頼らずに社内をまとめる最も効果的な方法である。

次に必要なのが、方針と目標を具体的に実現するための「プロジェクト計画書」だ。この計画書は、目標達成への具体的な道筋を示すものであり、組織の動きを効率的かつ効果的に導くツールとなる。その効果の大きさについては、すでに社長学シリーズの「経営計画・資金運用」編で詳しく述べた通りだ。プロジェクト計画書を適切に活用することで、個々の行動が一貫性を持ち、成果につながるプロセスが確立される。

次に重要なのが「チェック」だ。このチェック作業は、会議を開いて形式的に行うようなやり方では効果が期待できない。「チェックは必ず個別に行わなければならない」という点については、本章ですでに述べている通りである。個別チェックにより、具体的な問題点が明らかになり、的確な指導や修正が可能となる。これこそが、実効性を伴ったチェックの本来のあり方である。

この個別チェックは、経営計画やプロジェクト計画の進捗確認に限らず、生産管理、工程管理、品質管理、そしてクレーム処理など、あらゆる管理業務に適用できる。個別にチェックすることで、各プロセスの具体的な状況を把握し、迅速かつ的確な対応が可能になる。形式的な会議では見過ごされがちな細部にも目を向けることができ、全体のパフォーマンス向上につながるのがこの方法の強みである。

個別チェックの方法は、会議を開いて行う場合に比べ、はるかに徹底的な管理が可能になるだけでなく、大幅な時間の節約にもつながる。その理由は明確で、会議形式では、一つの事柄をチェックしている間、それに直接関係のない部門や担当者はただ「待たされている」状態になるからだ。個別に行うことで、各担当者は自分の業務に集中でき、無駄な待機時間をなくすことができる。これが、効率的なチェック体制の最大の利点である。

「他人のことでも聞いていれば勉強になる」と考えるのは甘い見方だ。会議の場で、自分に直接関係のない話題に真剣に耳を傾けている社員はごくわずかである。多くの場合、関心のない内容は単なる時間の浪費としか感じられず、結果として全体の集中力も低下する。この現実を無視して会議を続けることは、効率の悪化を招くだけである。

さらに、社長がその都度出す指令も、個別チェックを基本とするべきだ。この点については、「社長は秘書を持て」(―二十二頁)で説明した通りである。社長自身が直接関与し、個別に指令を出すことで、指示の曖昧さがなくなり、各担当者が具体的な行動に直結させやすくなる。これが、組織全体の効率と実行力を高める鍵となる。

ここで述べたことは、「社長学シリーズ」の中ですでに繰り返し触れてきた内容に過ぎない。しかし、この方法を徹底すれば、無駄な会議の必要性はほぼ完全に消滅する。計画の明確化、個別チェックの徹底、そして適切な指令の実行によって、組織は自然と効率的に機能し、会議に頼らない運営が可能となるのである。

この主張の裏付けとして、超優良企業であるM社の社長の言葉を紹介しよう。「うちは、営業会議は年に一度しか開きません」と。その一言が示すのは、無駄な会議を徹底的に排し、必要最低限の機会だけに絞り込むことで、効率と成果を最大化しているという事実だ。このような姿勢が、優れた経営を支える重要な要素であることは間違いない。

この文章では、会議の有効性や必要性について疑問を投げかけ、ムダな会議を最小限に抑えるべきだと述べています。多くの会社が会議の頻度や内容に無駄が多いことを指摘し、特に「情報伝達」「意思疎通」のための会議以外は基本的に避けるべきだとしています。

会議の問題点と改善方法

  1. 会議の目的の曖昧さ
  • 会議が「言い訳の場」「責任逃れの場」になっているケースが多く、特に無意味な会議に時間を費やすことが、結果として会社の生産性を落としています。
  1. 外部情報の収集不足
  • 外部の情報が不足していると、内輪の情報だけで意思決定することになり、客観性を欠いた議論に終始します。
  1. 会議の時間制限と厳守
  • 会議の時間は長くても2時間以内、開会・閉会時刻を徹底することで会議の効率化を図ります。
  1. 経営計画書の作成
  • 会議に頼らず、経営計画書やプロジェクト計画書によって方針と目標を社内に浸透させることで、会議の必要性を減らせます。
  1. 個別チェックの導入
  • 会議でなく個別チェックを取り入れることで、情報の伝達や業務進行の徹底が図られ、全体の時間の節約にもなります。

具体的な会議削減のアプローチ

  • 情報会議
    情報の共有や交換を目的とした会議だけを必要最小限の頻度で行います。
  • 会議の開催を減らすための工夫
  • 社長は定期的に外部情報を収集し、自らの意思を社内に伝えるために計画書やプロジェクト書を活用することで、会議を不要にします。
  • 社長の指令は秘書を通じて個別に行う
  • 社長の指示はその都度、秘書や担当者を通じて行い、会議を開かずに直接個別の確認や指示で対応します。

結論

「会議は最小限に」という方針は、時間を無駄にせず、組織の運営を効率的にするための基本的なアプローチです。特に社長が主導して、目的のない会議や毎日開催される会議を見直し、より本質的な仕事に集中できる環境を作ることが重要だと強調されています。

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