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商品総合分析

「商品の原価を正確に算出することは不可能だ。一方で、計算可能なのは収益だけである」という点は、これまで繰り返し述べてきた。ただし、商品の収益だけを把握していれば十分かといえば、そうではない。

それは単に収益性の良し悪しを評価するだけでなく、企業全体の視点から見た重要性や、市場におけるポジションも考慮する必要がある。また、将来的な展望や見通しを見据えることも欠かせない。

さらに、収益を上げるために投入された企業のリソース――人材、物資、資金、時間――の状況も詳細に分析する必要がある。これら多様な要素を洗い出し、それらを総合的に検討するためのツールとして作成されたのが、〈第表〉に示された「商品総合分析表」だ。

この表に示されているような視点や考え方を取り入れることで、初めて正確な判断や適切な方向性を導き出すことができる。この〈第表〉について、いくつか具体的に説明してみよう。

以下の内容は個々の商品分析に関する要点をまとめたものだ。

  • 売上高: 各商品の売上金額と、総売上高に対する比率を示す。
  • 付加価値高: 各商品の付加価値金額と、それが総額に占める割合を記入する。
  • 賃率: 各商品の賃率を絶対額で記載する。
  • 収益性ランク: 健康商品を「A」、貧血商品を「B」、出血商品を「C」としてランク付けする。
  • 市場の地位: 占有率または順位を明示する。
  • 将来性: 矢印記号(例: ↑, ↓, ↗)を用いて視覚的に分かりやすく表示する。
  • 開発投資: 不明瞭な場合は概算値で記入する。
  • 投入人的資源: 人数や、全体を100%とした割合で示すと分かりやすい。
  • 投入資金:
  • 設備に関しては、個別の内訳が難しい場合は無理に記載しなくてもよい。ただし、専用機器などがある場合は減価償却費と金利を記載する。
  • 在庫、売掛金、受取手形については、総額を100%とした比率や、投下資金の金利額・比率のいずれかを選択して記入する。
  • 判定: 最終的に各商品を類型ごとに分類して表示する。

表の冒頭部分では、会社全体の状態を示すために、損益計算と業界構成、さらに賃率という二つの側面から情報を整理している。これによって、企業の全体像や大まかな輪郭を把握することができる。

その結果、「うーむ」と唸るような新たな発見が生まれるかもしれない。特に、思いがけない「シンデレラ」の存在を見つける可能性は決して低くないと言える。

商品総合分析は、各商品の収益性や市場での地位、将来性など多角的な情報を集約し、会社全体の視点から評価するために行う重要な分析です。この分析を通して、単なる収益性だけでなく、商品ごとの位置づけや資源配分の適切さを見極め、経営の方向性を決定するための指針を得ることができます。以下に、商品総合分析の構成要素とそのポイントについて説明します。

1. 会社全体の輪郭把握

  • まず、損益計算や業界の競争状況を確認し、会社全体の収益性と市場での競争状況を把握します。

2. 商品別の詳細分析

  • 売上高: 各商品の売上額を記入し、全売上に対する割合を計算して、売上に対する商品ごとの貢献度を見極めます。
  • 付加価値高: 各商品の付加価値額と、全体に占める割合を示し、収益への寄与度を確認します。
  • 賃率: 各商品にかかる人件費などの賃金率を確認し、コスト構造を理解します。
  • 収益性ランク: 収益性に応じて、「健康商品(A)」「貧血商品(B)」「出血商品(C)」などのランク付けを行います。
  • 市場の地位: 占有率や市場ランクにより、各商品の市場でのポジションを評価します。
  • 将来性: 将来性を矢印(↑→↓など)で示し、商品の成長性や衰退性を視覚的に示します。
  • 開発投資: 開発にかかったコストを記載し、新商品開発の投資対効果を確認します。
  • 投入人的資源: その商品にかけた人的リソースの割合や人数を示します。
  • 投入資金: 商品ごとの設備費用、在庫、売掛金の割合などを記載します。

3. 総合判定

  • 各商品を分析した結果を基に「判定」欄にその商品の分類や重要性、継続や改善の必要性についての結論を示します。

商品総合分析の利点

この分析により、各商品の収益性だけでなく、成長の可能性や市場での立ち位置も視覚化され、事業の全体像を把握することができます。また、分析表に記載した情報から、潜在的に利益を生み出す「シンデレラ商品」を発見できる可能性もあります。

作成のコツ

  • 完璧な数値でなく概算や推定でも十分です。気楽に、まずは大まかな視点で作成し、全体像をつかむことが重要です。

商品総合分析表は、全商品を俯瞰し、それぞれの役割や成長余地を考えるのに非常に有用なツールです。

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