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個々のチャンネルでは体質に合った少数問屋に絞れ

販売チャンネル内の問屋選びは、当社の売上を左右する重要な課題であり、各社が知恵を振り絞って取り組む問題となっている。

しかし、正確な選定を行う企業はむしろ少なく、多くの企業が選択を誤るのが現状だ。不思議なことに、その誤り方は驚くほど似通っており、大きく分けると二つのパターンに分類される。

一つは「大問屋」をターゲットにすること、もう一つは「きめ細やかな」問屋ネットワークを構築しようとすることだ。この二つのケースについて詳しく考えてみたい。

L社は錠前を製造するメーカーだ。加工業者ではあるものの、社長は優れたアイデアマンであり、さまざまな工夫を商品に取り入れている。その中には特許がしっかり活用されているものもあり、加工業としては珍しく高い収益性を誇る企業だった。

しかし、加工業は所詮加工業の枠を超えられず、結局は下請けに留まる存在だ。その状況に不満を抱き、自社ブランドの商品を手がけたいという夢を強く抱いていた。

さまざまな試行錯誤の末、自転車盗難防止用の錠前に独自の改良を加えた商品を開発し、その相談のために私の元を訪ねてきた。それはワイヤー式の錠前だった。私の目には、このアイデア商品が珍しく実用化に成功しそうな可能性を秘めているように映った。

これは間違いなく売れるだろうと私は確信した。しかし、商品が売れることと、それが事業として成功することは別次元の話であることを丁寧に説明した。

事業として成功するためには、同じ自転車屋の販売チャンネルに適合する商品を複数展開する必要があることを納得させた。これについては、後に追加していく方向で話を進めたうえで、次に問題となるのは、この錠前をどの販売チャンネルに載せるべきか、という点だった。

これまでに何か計画があるのか尋ねてみたところ、実は既に大手のB商社に持ち込んだことがあるという話だった。すると、その商社から「これは面白い商品だ。自社の販売網に載せたいので、総発売元の権利を譲ってほしい」と提案されたという。

こんな話は滅多にないと喜びつつも、ひとまず返事は保留して持ち帰ったという。営業部員にこの話をすると、大喜びで歓声をあげたそうだ。そして、「これで決めようと思っているが、どうだろう?」という相談内容だった。

流通業者というものは、何かと言えば「総代理店にしろ」「総発売元の権利をよこせ」と言ってくる。実際には、売る気もない場合が多いのにだ。ここに、メーカー側の「天動説」が顔を出す。大商社を総代理店にすれば、自社の商品がその広大な販売網に乗って自然に売れると、根拠もなく信じ込んでしまうのだ。

私はL社長の誤解を正さなければならなかった。「あなたは、全国に強力な販売網を持つ天下のB社が総発売元になれば、この商品はもう安泰だと期待しているようだが、それは大きな間違いだ。よく考えてみれば分かることだ。

B社のような大企業が、たかだか従業員五十人程度の会社の商品を本気で売り込むわけがない。B社は確かに規模が大きいが、それだけに、数百種類、いや数千種類もの商品を扱っている。その膨大な商品群の中で、個々の商品に対して販売促進を細かく手掛ける余裕などあるはずがないのだ。

B社の実態は、得意先からの注文に応じて商品を出荷するだけの「集配所」に過ぎない。あなたの会社の商品についても、せいぜい総合カタログに掲載される程度で、その他の支援は期待できないだろう。おそらく在庫さえ持たず、業者がカタログを見て注文を出した場合にのみ、B社があなたの会社へその注文を転送するだけの話だ。

会社が大きいからといって、その売上の大半は限られた数の主力商品によるものであり、それ以外の商品の売上など微々たるものに過ぎない。企業の規模が大きいということは、取り扱い商品のひとつひとつが高い売上を持つという意味ではない。この事実をしっかり理解しておく必要があるのだ。

重要なのは、大手の流通業者と取引することではなく、あなたの会社の商品を真剣に販売してくれる流通業者を選ぶことだ。むしろ、もっと小規模な流通業者を選び、まずは東京都内で数社を特約店として選定するべきだ。総代理店制にしてしまうと、後々身動きが取れなくなり、柔軟な対応ができなくなる。その点を強調して伝えた。

私の話だけでは完全に納得するのは難しいだろうと思ったので、とにかく自転車店を五、六軒ほど回ってみるように提案した。そして、その結果や様子を教えてほしいと伝え、ひとまず話を終えて帰ってもらった。

しばらくして戻ってきた社長はこう言った。「一倉さん、よくわかりました。どの自転車屋に行っても、B社なんて全然当てにしていませんでした。三カ月か四カ月に一度、忘れた頃にふらっと顔を出して、注文を出してくれと言われるだけです。

さらに続けてこう言った。「たまに注文をすると、今度は納期がやたらとかかる。こんな調子では商売にならない。ところが、小さな問屋なら、電話一本で即座に商品を届けてくれる。結局、そうした小回りのきく問屋と取引する方がいいとわかりました」と、すっかり納得した様子だった。

別の例として、あるカメラ部品メーカーの社長がこう語っていた。「うちも、美鈴や浅沼といった業界の大手と取引を始めたときは、『これで大成功だ』と思った。しかし、実際に取引を続けているうちに、大手業者には我社の商品を売る時間も余裕もないという現実がよく分かったんです。

「だから、今では大手との関係は形式的な取引だけにとどめて、販売促進はすべて自社で行っています。そうでもしないと、売上なんて全く伸びませんよ」と、その社長は私に語ってくれた。

以上の二つの事例から、大手流通業者の実態がはっきりと見えてきたはずだ。多くの企業が、大手流通業者との取引をやたらと望むのは、大きな誤りであることがよく分かる。

さらに、大手を代理店とすることの不利な点を他にも理解しておかなければならない。その一つが、大手流通業者には必ず「流通段階が多い」という特徴があるということだ。

流通段階が多い分、それぞれの段階でのマージンは小さいものの、全体としてのマージン総額は膨らんでしまう。この仕組みでは、メーカーにとっても、各流通業者にとっても利益を圧迫する結果となり、決して有益とは言えない。

この結果、メーカーは低収益に甘んじざるを得ず、流通業者も低いマージンのために積極的に取り組む気が削がれる。さらに、物流面では時間がかかり手続きも煩雑になり、消費者やエンドユーザーの声がメーカーに届きにくいという問題が生じる。それだけではない。地域ごとに特化した販売戦略を展開しようとすると、この複雑な構造が大きな障害となり、柔軟な対応が難しくなるのだ。

K社の専務はこう語った。「一倉さん、うちの最重点地域であるS県とT県で、いつも困っていることがあります。我社が力を入れたい地元の有力特約店と、東京や大阪に本社を構える大手特約店のその地域の営業所との間で、トラブルが頻発しているんです。

専務は続けた。「その尻拭いは、いつも我社に持ち込まれ、『何とかしてくれ』という要求が来るんです。その結果、私はこれらのトラブル解決に膨大な時間を割かれることになります。トラブル解決に時間を取られるのは仕方がないとしても、こうした状況下では我社の販売促進活動が大きく制約されてしまう。それが何よりも耐えられません」と。

さらに厄介なのは、こうした問題が、占有率の高い重要地域であるほど頻発するという性質を持っている点だ。どの会社でも、創業当初は地域戦略を考える余裕などなく、何よりも売上確保が最優先で、特約店の獲得に奔走してきたという経緯は否めない。

しかし、その過程でも「大きな業者ならば大量に売ってくれる」という、いわば「天動説」に基づいた考えが根底にあったのは間違いない。そして結果的に、大手特約店を選んだことが、後になってこうした販売戦略の障害となり、足かせになるのだ。

ここにこそ特約店選びの重要性がある。市場の規模、競合他社の動向、自社の実力、これらすべてを総合的に分析したうえで、自社の販売戦略をしっかり構築することが必要だ。その戦略を土台として、最適な特約店を選定しなければならないのである。

いずれにせよ、特約店があまりに大規模であると、販売戦略の妨げになることが多いという現実を理解しておく必要がある。繰り返しになるが、「天動説」にとらわれ、「特約店は我社に忠誠を誓っている」などと安易に思い込むことは禁物だ。では、具体的にどの程度の規模の問屋が、販売戦略の展開にとって有利なのか、という課題に移るべきだろう。

年商80億円の雑貨問屋D社の社長は、「年商1億円の商品がほしい」と常に口にしている。一方、年商20億円の菓子問屋M社の社長に、「月商いくら以上の商品なら本気で力を入れますか」と尋ねたところ、「月商300万円ですね」と即答していた。

これらの例からわかるように、問屋の関心は「自社の総売上高の1%以上」を売り上げる商品に集中している。1%の基準を満たさない商品については、問屋として積極的に力を入れる気にはならないのだ。

総代理店であれ、地域特約店であれ、どの形態の場合でも、その商品の売上が問屋の総売上高の1%未満であるならば、問屋はほとんど何もしてくれない。これは、問屋が商品に注力する基準として、売上規模を重要視しているためだ。

問屋に自社の商品を積極的に売ってもらいたいのであれば、まず自社の販売努力によって、問屋の総売上高の1%ラインを突破することが最優先だ。このラインを越えた瞬間、問屋も商品を売る気を起こし始める。そうなれば、メーカーの販売努力と問屋の販売力が相乗効果を生み出し、非常に強力な販売体制が形成されることになる。

問屋が売る気を起こしたとしても、メーカーがそこで販売努力を怠れば、売上は再び低迷してしまう。したがって、メーカーは、自社の商品である以上、販売努力を永続的に続ける覚悟が必要だ。問屋の協力があっても、メーカーの主体的な取り組みがなければ、安定した成果は得られないのだ。

問屋の総売上高の1%を超えることで、問屋という援軍が加わるのは事実だが、その状況下でも主体となるのは常にメーカー自身である。この点をしっかりと肝に銘じ、メーカーとしての責任と努力を怠らない姿勢を維持することが重要だ。

この認識を踏まえたうえで、取引する問屋の規模を慎重に検討する必要がある。結論は明白だ。「自社商品の売上が、その問屋の総売上高の1%以上を達成できる見込みがある会社」を選ぶべきだということだ。これを基準に問屋を選定することで、より効果的な取引関係が築ける。

しかし、規模が小さすぎる問屋では、販売網が十分でないため、これもまた問題となる。そのため、問屋の規模と販売力のバランスをしっかり見極め、適切な選定を行うことが不可欠だ。この見極めが、販売戦略を成功させる鍵となる。

さらに、そのような問屋の選定は、決して他人任せにしてはならない。これは社長自身が責任を持って行うべき最重要事項だ。なぜなら、これは単に自社の販売を左右するだけでなく、場合によっては社運そのものを左右する根幹の要因となるからだ。また、問屋の数は多ければよいというものではない。質を重視し、戦略に合致した選定が求められる。

文房具の大手メーカーであるP社の例を見てみよう。P社は「キメコマ病」に陥ってしまっている。販売促進はきめ細かい販売網によるものだと信じ込み、東京都内だけでなんと80社もの問屋と特約店契約を結んでしまったのだ。この結果は、問屋の実態や特性をまったく理解していないことから生じていると言える。

問屋自身もまた「キメコマ病」にかかっているのだ。その結果、「自社の商圏内の小売店に隈なく自社の商品を供給することこそが販売促進だ」と思い込んでいる。この誤った認識が、効率的な流通や効果的な販売戦略の妨げになっている。

P社の特約店80社のほとんどが、都内にある約2,000店の文房具店すべてにP社の商品を押し込もうとしている。この状況下で何が起こるのかを考えると、以下の問題が浮かび上がる。

  • 価格競争の激化: 各特約店が同じ商品を競って販売するため、価格の引き下げ合戦が起こり、利益率が圧迫される。
  • 市場の混乱: 同じエリアの小売店に複数の特約店が商品を供給しようとするため、供給過剰や不必要な在庫が発生し、流通全体が混乱する。
  • 特約店の不満: 特約店同士が競争相手となることで、販売活動が難しくなり、特約店のモチベーションが低下する。
  • ブランドイメージの損傷: 無秩序な流通によって、P社の商品が「どこでも買える安価な商品」というイメージになり、ブランド価値が損なわれる。

こうした事態は、効果的な販売促進どころか、長期的に見ればP社の成長を阻害する要因になり得る。

一つの文房具店に、十社や二十社もの問屋のセールスが押し寄せる状況が生まれる。小売店にとっては、次々と営業が来るため煩わしく感じる一方で、実はメリットもある。それは、複数の問屋を天秤にかけて、より良い条件を引き出せることだ。価格交渉や支払条件で優位に立つことができるため、小売店側には選択肢が広がるという利点がある。

小売店はこうした状況で、まず「一番値引きをしてくれる問屋から買う」という選択をする。さらに、「支払条件が最も緩い問屋から買う」という基準も持つようになる。その結果、値崩れが起こり、売掛金の回収が遅れる事態に陥る。他社商品との競争であればまだしも、自社商品同士でこのような状況が発生するのは、まさに愚行と言うほかない。

さらに、東京都内で売れるP社の商品の需要量は一定であり、問屋の数がそれに影響を与えるわけではない(影響を与えるのは、有力な小売店を確実にカバーできているかどうかだ)。ところが、その一定の需要を80社で分け合えば、各問屋の売上高はごく僅かになってしまう。ここで「1%の原理」が作用する。各問屋にとって、P社の商品は総売上の中で占める割合が低くなるため、魅力が乏しい商品と見なされ、販売に力を入れるモチベーションが低下するのだ。

そんな現実には全く気づかず、P社は「問屋は自社に忠誠を誓っている」と信じ込み、その忠誠心をさらに強化しようと、80社を会員とする「P会」を結成した。そして、P社の社長がその会長に就任するという状況に至っている。

こうした取り組みは、販売促進どころか、かえって大きな障害となっている。その理由は、流通業者のスクラップ・アンド・ビルド、つまり非効率な問屋を整理し、新しい有力な問屋を選定するという流通改革が不可能になってしまうからだ。この硬直した体制が、P社の販売戦略の柔軟性を奪い、成長を阻む要因になっている。

一度会員にした問屋に対して、実績が上がらないからといって「やめてくれ」と言うのは現実的に難しい。さらに、新たな問屋を会員に加えようとすれば、既存の会員から反対の声が上がるのは必至だ。このように、会員制の仕組み自体が柔軟な流通戦略の妨げとなり、P社の販売活動に大きな足かせを生む結果となっている。

このような「特約店会」は、ほとんど例外なく年次総会や類似のイベントを開催し、「お互いの信頼関係のもとで協力し合おう」といった誓いを立てるのがお決まりだ。しかし、こんなものは実質的にはただの儀式に過ぎず、形だけのお芝居に他ならない。実際のところ、そこから有効な販売促進策が生まれた例などほとんどない。それも当然のことだ。

会員同士は実際には「商売仇」であり、競争相手なのだ。そんな相手に自分の販売促進のノウハウや手の内を明かすはずがない。結果として、会議は当たり障りのない内容に終始し、最終的には「呑み会」が一番無難という結論に落ち着く。それがこうした特約店会の実態である。

「○○会」と名のつく組織の実態が先述のようなものであるにもかかわらず、多くの会社はその現実を知らず、「どうにかして流通業者を自社に結びつけよう」という発想のもと、「○○会」を作ろうとする。しかし、これは完全に「天動説」に基づいた考え方であり、現実とかけ離れた誤解に過ぎない。

流通業者を自社に引きつける方法は、「○○会」のような形式的な組織を作ることではない。真に効果的なのは、メーカー自身が販売努力を重ね、その努力によって流通業者の売上増大に直接貢献することだ。こうした実質的な成果こそが、流通業者を自社に引きつけ、強固な関係を築く唯一の手段である。

具体的な方法については、後ほど実例を挙げて詳しく説明する予定なので、しばらくお待ちいただきたい。さて、問屋の数が多すぎてはいけない理由は理解できたと思う。では、どの程度の数が適切なのか、という疑問が次に浮かび上がる。この点を慎重に考える必要がある。

適切な問屋の数を見極めるための最良の方法は、メーカー自身が直接行動し、それぞれの問屋の販売網を詳しく調査することである。具体的には、問屋の営業担当者と同行販売を行うことで、以下のような情報を収集するのが効果的だ。

  • 販売網の重複: 問屋同士でカバーエリアが大きく重複していないか確認する。重複が多いと、無駄な競争が生じ、効率が低下する。
  • 空白地域の有無: 問屋の販売網に、大きな未開拓エリアや空白が存在していないかを確認する。

これらの情報を直接収集することで、流通網の最適化に向けた適切な問屋の選定と配置が可能となる。机上の計算や間接的な報告では得られないリアルなデータが、戦略構築の鍵を握る。

これらの情報が把握できれば、次に何をすべきかは明確で、それほど難しいことではない。具体的には、以下のアプローチを取るだけだ。

  • 甚だしい重複がある場合: 問屋同士のエリアや役割が競合している場合は、効率を高めるために適切な淘汰を行う。重複が解消されれば、流通網全体の無駄が減る。
  • 空白がある場合: 販売網に未開拓エリアや空白が見つかった場合は、新たな問屋を追加するか、既存の問屋にそのエリアをカバーするよう依頼する。

このように、販売網を重複なく隙間なく整備することができれば、効率的で効果的な流通体制を構築できる。

実現の難しさは、特に淘汰の段階にある。これは心理的な抵抗が非常に大きく、特に営業部門から猛烈な反対を受けることが多い。その理由は、既存の関係を壊すことへの不安や、取引先の減少が売上に悪影響を及ぼすのではないかという懸念によるものだ。

しかし、だからといって決断を曖昧にしてはならない。このような状況では、決定は明確に下すことが最優先だ。トップがブレない姿勢を見せることで、方針を組織全体に浸透させる必要がある。

一方で、実施は慎重かつ段階的に行うべきだ。急激に変化を押し進めると、現場が混乱し、かえって逆効果となる可能性が高い。具体的には、以下のアプローチが効果的だ:

  1. 重点地域や重要な問屋から段階的に実施: 一気に全体で行わず、影響範囲が限られたエリアやケースから始める。
  2. 徹底した説明と協力要請: 営業部門や関係者に対して、方針の理由と期待される効果を丁寧に説明し、納得を得る。
  3. 実施後のフォローアップ: 実施後も成果を逐一チェックし、必要に応じて軌道修正を行う。

明確な決断と慎重な実施を両立することで、抵抗を最小限に抑えつつ、計画を成功へと導くことができる。

空白を埋めることには別の難しさがある。それは、メーカー自身がまず目標となる小売店を開拓し、その後で問屋と結びつける作業を行わなければならない点にある。明確な決断と慎重な実施を両立することで、抵抗を最小限に抑えつつ、計画を成功へと導くことができる。

「体質に合った少数問屋に絞る」ことの重要性は、以下の点で理解されます。

1. 大問屋に依存しない

  • L社の例では、大企業のB商社が「総発売元の権利」を求めましたが、大規模な問屋は個別の商品を積極的に推進する余裕がありません。大企業のネットワークがあっても、売り上げに繋がらないことが多く、むしろ小回りが利き、関係を密にできる問屋の方が効果的です。

2. 流通コストと効率の問題

  • 問屋が多すぎたり、規模が不釣り合いな問屋を相手にすることで、流通段階が増え、コストが増加するリスクがあります。F社のケースでも、過剰な問屋網や流通段階の増加が、販売促進や利益に悪影響を及ぼしました。

3. 地域戦略への支障

  • 問屋同士が競合地域でぶつかり合うと、トラブルや混乱が生じ、地域戦略の推進に支障が出ることがあります。K社の例のように、特定の地域に注力したい場合に、地場の小規模で密接な関係を持つ特約店の方が効果的です。

4. 売上の1%のラインを突破することが鍵

  • 問屋が真剣に動くには、そのメーカーの商品が売上全体の1%以上を占めることが必要です。メーカーが積極的に販売を支援することで、問屋も売る気を出し、相乗効果で売上が上がります。

5. 選定した少数の問屋と密接な関係を築く

  • 問屋の数を多く持ちすぎると、P社の例のように価格競争が激化し、利益率が下がり、問屋もやる気を失います。問屋選定は慎重に行い、選ばれた問屋と信頼関係を築き、販売支援や地域特化型の戦略を実行することが大切です。

6. 「会」を組むことの危険性

  • 流通業者を束縛しようと「○○会」を設立しても、効果は期待できません。問屋同士が競合相手である以上、協力を誓い合うことには限界があり、むしろ対立や摩擦が生じることが多いです。

7. 問屋の重複と空白を解消する

  • 効果的な販売網を築くためには、取引問屋の販売網の重複や空白を確認し、適切な調整が必要です。例えば、問屋を淘汰したり、特定の地域に強い問屋を配置するなど、密接なカバーを目指すべきです。

まとめ

以上を踏まえると、「体質に合った少数の問屋に絞る」ことで、販売コストの削減、効率的な流通、地域特化型の戦略が実現します。また、メーカーは問屋への支援を欠かさず、常に市場に合わせた販売努力を続けることで、問屋との強力なパートナーシップを構築できるでしょう。

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