カタログデザインの課題:色使いと情報配置の欠如
多くの企業のカタログを目にするたびに、なぜこんなにも奇妙なものばかり作るのかと疑問が湧く。莫大な費用を投じて作成されたそれを、経営者は一体どう捉えているのだろうか。
まず目につくのは色使いだ。流通業や消費財メーカーのカタログは、近年になってかなりカラフルになった。一方で、産業機械や機器メーカーのカタログとなると、決まって黒、ブルー、グレーの三色に収まっている。
まさに「色盲」と言えるだろう。自社の工場ではカラフルなデザインや配色を取り入れて「カラー・コンディショニング」などと洒落ているくせに、顧客には平然と「灰色ムード」を押し付けている。その感覚は一体どういう了見なのか。これ以上にセンスの欠けたこともないだろう。
次に気になるのは、表紙に電話番号が記載されていない点だ。まるで申し合わせたかのように裏表紙に追いやられているが、これは一体何のつもりなのだろうか。かつて会社勤めをしていた頃、取引先に電話をかけるたびに、わざわざカタログの裏表紙をめくらなければならない煩わしさに苛立ったことを思い出す。
表紙に載せておけば、いちいち裏返す手間など不要だ。それなのにわざわざ裏表紙に隠す理由が分からない。「表紙に電話番号を書いてはいけない」という法律でも存在するのだろうか。もしそうなら、私がその法律を見落としているのかもしれないが……。
次に気になるのは、代理店や特約店の名前だ。たいていの場合、裏表紙に記載されており、メーカー名が上、流通業者が下という配置が相場となっている。この形式がなぜか不文律のように徹底されているのが実に不思議だ。
メーカーにとって流通業者はれっきとしたお客様のはずだ。それを下に配置するとは一体どういう了見なのか。この上下関係のような扱いには違和感を覚える。一方で、チラシになると流通業者名が表にしっかり記載されている場合が多い。カタログとチラシで態度が変わるこの差は何なのだろうか。
しかし、チラシの場合もまずメーカー名が大きく掲げられ、流通業者の名前は最後に追いやられる。この配置を見ていると、どういう神経をしているのか本当に不思議だ。まさにこれが「天動説」的な発想だ。つまり、メーカーを中心に世界が回っているという前提で、流通業者はあくまで従属する存在、いわば家来のように扱われているのだ。
カタログ設計の基本的な配慮
まだまだ奇妙な点はある。カタログは、お客様に保管してもらいたいのか、それとも読み捨ててもらって構わないのかという根本的な問いだ。当然ながら、保管してもらいたいに決まっている。では、その場合、お客様がどのようにカタログを保管するのか、メーカー側は一度でも真剣に考えたことがあるのだろうか。
外国では、フォルダーに挟んでファイリングキャビネットに保管するのが一般的だ。しかし、日本の場合、最も多い保管方法はファイリングだろう。クリアファイルやバインダーにまとめられることが多く、そのためにはサイズや形状が重要になるはずだ。メーカーはこうした実情をどれだけ考慮しているのだろうか。
そうなると、カタログはファイリングされることを前提に設計しなければならない。しかし現実には、ファイル代を考慮せずに作られたカタログがあまりにも多い。その結果、ファイルに綴じ込むと見開き部分の文字が隠れて読めなくなってしまうという不便さが生じている。この配慮の欠如は、お客様の使いやすさを完全に無視していると言わざるを得ない。
ファイル代として最低でも3センチ程度は確保すべきだろう。こうした基本的な配慮が欠けている点を指摘するのはここまでにして、次は中身について触れていくことにしよう。具体例として、U社のカタログを取り上げ、その内容を徹底的に検証してみる。
カタログ内容の顧客視点欠如
表紙をめくると、まず目に飛び込んでくるのは、社長が社長室の椅子にどっしりと座り、机の上に両肘を張った写真だ。その下には「ごあいさつ」と書かれている。この光景には呆れるほかない。果たして、社長はお客様に挨拶をするとき、こんな威圧的なポーズで臨むつもりなのだろうか。お客様との距離を縮めるどころか、余計な壁を作り出しているようにしか見えない。
これは、社員のゴマすり精神と「天動説」の発想が融合した産物に他ならない。お客様にとって、社長の顔などどうでもいい存在だ。仮に絶世の美女やヌード写真でも載せるなら、それは別の意味でお客様の興味を引きつけるかもしれないから、まだ許容の余地がある。しかし、誰が社長の白髪や禿頭を見たいと思うだろうか。カタログとは本来、お客様のために作るものであり、そこに社長の写真を載せること自体が的外れだ。お客様はそれを全く望んでいない。
第一頁目には会社の経歴が記載されている。確かに、これはお客様にとって知りたい情報の一つではある。しかし、それはあくまで二次的な情報に過ぎない。そんな二次的な内容を堂々と第一頁に据える発想こそ、「天動説」の典型だ。お客様の関心事や実際に必要とされる情報を後回しにし、自社の歴史や功績を優先する姿勢がここに表れている。これは、カタログの本来の目的を見失っている証拠だ。
第二頁には、会社の過去の業績がずらりと並んでいる。売上高の伸びや従業員数の推移を誇示するような内容だ。しかし、これらはお客様のニーズや期待とは全く無関係な情報に過ぎない。お客様が求めているのは、自分にとってどんな価値を提供してくれるのかという具体的な内容であって、会社の自己満足的な実績の披露ではない。このような情報を冒頭に配置すること自体が、カタログの役割を取り違えている証だ。
第三頁には我社の組織図が掲載されている。だが、お客様にとって他社の内部構造や役職の配置など、まったく重要ではない。誰がそんな情報を求めるというのか。
続く第四頁と第五頁は見開きで生産工程の図解が描かれている。これも完全に的外れだ。お客様が求めているのは、メーカーの生産工程ではなく、自分たちが必要としている具体的な商品やその価値だ。生産プロセスを見せられても、それが直接の利益や選択の材料にはならない。こんなページを序盤に配置すること自体、カタログの基本を理解していないと言える。
私が目にするカタログの七〜八割は、入社案内そのものか、それに極めて近い内容に偏っている。ひどいものになると、会社の航空写真や社是社訓、商品ごとの売上比率、さらには厚生施設の紹介まで並べ立てている始末だ。まるで「天動説」の極致を見せつけられているような気分になる。
カタログとは、本来、顧客に提供する商品やサービスの情報を案内するためのものだ。だからこそ、冒頭には自社の商品やサービスに関する総合的な案内を配置すべきである。ただし、それは商品別ではなく、「用途別」に構成されていることが重要だ。
顧客はカタログを手に取ったときに、どのページに自分が求める商品の説明があるのかが一目で分かるようになっていなければならない。
続いて、総合案内の順序に沿った商品やサービスの詳細な案内が続く。これがカタログの核となる部分だ。その後に続くのは、自社の品質保証に関する方針や体制の説明であり、支店の自慢話ではなく、サービスネットワークの具体的な案内であるべきだ。
そして最後に、「このようなサービスを提供する私たちは、こういう会社です」といった簡潔な会社案内を添えるだけで十分だ。それ以上の情報は不要である。
T社長から、新しいカタログの案が完成したので意見を聞きたい、とコピーが送られてきた。試行錯誤の跡がはっきりと見える仕上がりで、全体的にかなりよくできている印象を受ける。
しかし、そのカタログは自社の商品を中心に構成されており、顧客視点が欠けていた。工業用品である以上、同じ商品でも多様な用途が考えられる。もちろん、商品ごとに用途がこれこれ、あれこれと説明されてはいるものの、顧客の立場では、用途から自分に必要なものを探し出すという手間が求められてしまう。
顧客にとって重要なのは、「この商品がどの業界やどんな用途に使われるか」という一般的な情報ではない。「自分の必要としているものがどれなのか」を簡単に見つけられることが、最優先されるべきである。
この顧客のニーズを満たすためには、まずカタログの冒頭に「用途案内」を配置することが必要であると提案した。また、見出しを付け加えることでさらに親切な構成になるとも助言した。見出しは、見出し幅分だけずらしてカタログを二つ折りにすれば、簡単に整理できると付け加えた。この提案を反映して作られたカタログは、流通業者から圧倒的な支持を得る結果となった。
用途案内を見れば、どの業界のどの用途に対して、どの商品が最適であるか、使用可能か、あるいは使用不可なのかが一目で分かるようになっている。これが評価され、問屋のセールスマンたちは営業に出る際に必ずこのカタログを持参するようになった。ある問屋の社長は、「創業以来60社のカタログを見てきたが、こんなに親切なカタログは初めてだ」と絶賛し、その言葉はT社長にも伝えられたという。こうして、販促における強力な武器が誕生したのである。
チラシ設計の失敗と改善策
次にチラシについてだが、妙な構成のものがあまりに多い。例えば、ある乾燥機メーカーのチラシでは、まず最上部に機械の名前が大きく書かれており、その下の左側には機種一覧表が配置されている。その表には乾燥室のサイズ、乾燥温度の範囲、一分間の風量、必要な馬力などが細かく記載されている。右半分には機械の概略図が描かれ、ホッパーや乾燥室、モーターなどの部分が矢印で説明されている。その下には「機械の特長」が箇条書きで続き、さらにその下部に用途が簡単に記載されている構成だ。
このようなチラシでは説明が不十分で、ユーザーが本当に知りたい情報はほとんど得られない。結果として、ユーザーは多くの質問をしてくるのは避けられない。そのために「セールスマンの質が問題だ」「商品知識の教育が必要だ」などといった的外れな議論が持ち上がる。しかし、そもそもセールスマンに対する商品知識の教育を強調する必要などない。それどころか、過度にそれを求めるのは間違いだ。問題の本質は、チラシ自体がユーザーの疑問に十分答えられていないことにある。
一体、セールスマンに商品知識の教育を施して何をしようというのか。おそらく、顧客に商品の説明をさせようという意図なのだろう。しかし、それで顧客に対して正確な情報を伝え、なおかつ満足させる説明ができると本気で考えているのだろうか。セールスマンの口頭説明だけで、顧客が十分に納得し、購入に至る保証があるとは到底思えない。そもそも顧客が必要とする情報は、チラシやカタログで的確に提供されるべきなのである。
試しに、商品知識の教育を行った後に試験を実施してみればいい。結果はきっと期待外れに終わるだろう。長年の経験を持つベテランのセールスマンですら、大差ないはずだ。及第点を取れるセールスマンなど、ほとんど存在しないと思って間違いない。つまり、商品知識を完全に身につけさせるという考え自体が現実離れしており、その方向性に頼るのは非効率的で無駄である。
相手が技術者の場合、セールスマンの説明が信頼されることはまずない。技術者を納得させるには、こちら側も同じく技術的な専門知識を持つ人間でなければ話にならない。つまり、技術者には技術者同士で話をするだけのレベルが求められるのであり、セールスマンにそこまでの役割を期待するのは無理がある。
だからこそ、セールスマンに商品知識の教育を施す必要はない。カタログで補いきれない場合は、会社として正式な商品の説明書を用意し、それをセールスマンに持たせるべきだ。その説明書を顧客に直接提供するか、それを見せながら内容をそのまま伝えれば十分である。これにより、説明の正確性が担保され、セールスマンに余計な負担をかけることなく、顧客も納得する対応が可能となる。
もし顧客から質問があったとしても、説明書に記載されていない内容についてはその場で無理に答えようとせず、質問をメモして社内で確認を取り、責任ある回答を約束することが正しいセールスの姿勢だ。その際、回答は必ず会社の正式な文書を通じて伝えるべきである。こうした丁寧で誠実な対応こそが、顧客からの信頼を築く基本となる。焦ってその場しのぎの答えをするよりも、正確さを重視した対応が、長期的に見て信頼を勝ち取る最善の方法である。
チラシやポスターの効果的な配布方法
話を元に戻すと、チラシに何を載せるべきかを考えるのは、顧客の立場に立てばそれほど難しいことではない。まず最初に載せるべきなのは「用途」だ。なぜなら、チラシを最後まで読んでようやく用途を確認した結果、「自分のところには関係がない」と分かったのでは、顧客の時間を無駄にするだけで終わってしまう。用途を最初に明示することで、顧客が自分に関係のある情報かどうかをすぐに判断できるようにするのが最善だ。
もちろん、全ての顧客がそんな回りくどい読み方をするわけではないだろう。しかし、多くの顧客はまずチラシ全体に目を走らせ、用途を確認してから他の情報を読み込むのが自然な流れだ。チラシは顧客のために作られるものである以上、用途を最初に配置するのは当たり前のことだ。これにより、顧客が自分に関係のある情報をすぐに見つけられるようにすることが、チラシ本来の役割を果たす最善の方法だと言える。
次に重要なのは、一日の処理能力だ。顧客にとって、乾燥室の大きさや風量、温度といった技術的なスペックは、品質に影響がない限りそれほど重要ではない。顧客が本当に知りたいのは、その機械が一日でどれだけの作業をこなせるのかという具体的な能力だ。処理能力が明示されていなければ、どの機種を選ぶべきか、あるいは何台購入すれば十分なのかを判断することができないからだ。処理能力を明確に伝えることが、顧客にとって最も実用的で価値のある情報となる。
次に欠かせない情報は、「縦、横、高さ」の寸法だ。これは、機械を設置する際に必須の情報となる。ある会社では、カタログを新しくしたところ、顧客から「高さ」に関する問い合わせが急増したという経験がある。後で確認してみると、新しいカタログには「高さ」の記載が抜けていた。こうした失敗例が示す通り、設置時に必要な基本的な寸法情報を漏らすことなく記載することは、顧客対応の手間を減らし、信頼性を高めるうえで非常に重要である。
続いて重要なのは、所要馬力と操作に必要な人員の情報だ。これらは、受電設備の計画や人員配置を考える際に不可欠となる。また、メーカーのメンテナンスや修理サービスに関する情報も、ユーザーにとっては重要だ。万一の際にサービスやパーツの供給が確保されないようでは、安心して購入することはできない。購入後のサポート体制がしっかりしていることを明確に示すことで、ユーザーの信頼を得ることができる。
以上のような、顧客にとって必要不可欠な情報がチラシやカタログに記載されていないために、顧客はセールスマンに質問せざるを得なくなる。ここでセールスマンの能力や知識の差が顕著に表れ、やれ「ベテランが必要だ」「セールスエンジニアリングを強化せよ」「商品知識をもっと教えろ」といった議論が巻き起こる。しかし、本来これらの問題は、顧客が求める情報を最初から正確に提供していれば避けられるものであり、セールスマン個人の能力に過度に依存する構造そのものが誤りなのだ。
顧客に必要な情報がカタログやチラシにしっかりと記載されていれば、その点に関してセールスマンの個人差は事実上なくなる。全てのセールスマンが同じ情報を基に対応できるため、顧客への説明にムラが生じることもない。
さらに蛇足ながら重要なポイントとして、たとえチラシであっても、特約店名を必ず自社名よりも上に記載するべきである。これは特約店を立てる配慮であり、信頼関係の構築や販売網の円滑な運営に欠かせないマナーと言える。
余談だが、メーカーから特約店に贈られた「表彰状」なるものを目にすることがある。それが立派な額に入れられて社長室の壁に飾られている光景は、特約店にとって大きな誇りとみえる。このような表彰状は、メーカーからの感謝や信頼の証としての意味合いがあり、特約店のステータスを高める効果もある。しかし、それ以上に、表彰の背景となる関係性や努力を継続することが重要だ。形だけの表彰状が飾られているだけでは、意味が薄れてしまうこともある。
一体、これはどういう神経なのだろうか。メーカーにとって流通業者はお客様でもある。そのお客様に対して「表彰」とは、いかにも上から目線で失礼な行為ではないだろうか。本来、流通業者に向けて贈るべきものは「感謝状」であるべきだ。顧客である特約店に対し、感謝の気持ちを表明するのが筋であり、「表彰」という形式は、関係性を誤解させかねない不適切なものである。感謝の念を伝える方法こそが、真に健全なメーカーと流通業者の関係を築く基盤となる。
ところで、チラシやポスターは一体誰に見せるために作られているのだろうか。もちろん、消費者やユーザーに見せるためである。産業機械のような製品であれば、自社のセールスマンが直接ユーザーに手渡すので問題ない。しかし、一般消費者向けのチラシやポスターは、実際に消費者の手元に届いているのだろうか。この点を追跡し、実際の配布状況や効果を検証している企業はごく稀である。
多くの会社では、作ることに重きを置き、配布が適切に行われているか、あるいはその内容がターゲットに適切に届いているかを確認していない。これでは、せっかくの広告物も宝の持ち腐れになる可能性がある。消費者の手に確実に届き、内容が興味を引き、行動を促すものであるかどうかを評価する仕組みが必要だ。
チェックを怠る理由は、いわゆる「天動説」的な考えに固執しているからだ。つまり、流通業者はメーカーに忠誠を尽くしているのが当たり前であり、メーカーがチラシを問屋に送れば、問屋は当然のように自分たちの手間と費用をかけて小売店に配布するだろう、という安易な思い込みがある。
しかし、現実にはこのような流通構造における「自動的な忠誠心」に依存するのは危険だ。問屋が必ずしもメーカーの意図通りに動くとは限らないし、配布がどの程度実際に行われているか、どのように消費者に届いているかを確認しないままでは、効果を測ることも改善することもできない。メーカー側が責任を持って追跡し、実際の配布状況や成果を把握することが求められる。
チェックを怠るのは、「天動説」に固執しているからだ。つまり、流通業者はメーカーに忠誠を尽くしていると信じ込み、チラシを問屋に送れば、問屋が自費で小売店に配布してくれると安易に考えている。しかし、こうした依存は危険であり、配布状況や効果を確認しなければ、成果を上げることはできない。
小売店が送られたチラシを丁寧に保管し、顧客に渡して販売努力をし、ポスターを店頭に貼ってくれる、とメーカーが思い込んでいるに過ぎない。
もし本当にそうであれば、大手の問屋はチラシやポスターの管理・配布専任者を置かなければならず、小売店はポスターやチラシの展示場と化して、商品を陳列するスペースがなくなってしまうだろう。それが現実的でないことは明らかだ。
どの小売店に行っても、ポスターやチラシが掲示されていることはほとんどなく、一部の例外に過ぎないことを思い出してほしい。問屋に送られたチラシは、ほんの少しが棚に保管される程度で、残りは荷造り場に積まれるか、捨てられるか、倉庫の隅に押し込まれるのが現実だ。
ポスターは、まず1枚だけ事務所の壁に貼られる。これはメーカーへのアピールであり、「ちゃんと使っていますよ」という姿勢を見せるためのジェスチャーだ。天動説に固執するメーカーを怒らせても得にならないための配慮に過ぎない。そして、残りのポスターは荷造り場に直行するのが実態である。
チラシもポスターも、こうしてほとんど顧客の目に触れることなく消えていく。もし本当に顧客に見てもらいたいのであれば、実際に手元に届いているかどうか、追跡調査を行うくらいの努力は必要ではないだろうか。
チラシを顧客に届ける方法は、ダイレクトメール、新聞の折り込み、店頭や街頭で来店客や通行人に手渡すこと以外にはほとんどない。また、ポスターを顧客の目に触れる場所に掲示するには、駅のプラットフォームや乗り物の中吊り広告といった限られたスペースしか存在しない。
このように、チラシやポスターを顧客に見てもらうには必ず費用がかかることを忘れてはならない。決して、無料で配布できるなどと甘く考えてはいけない。適切な配布や掲示には計画的な投資が必要である。
販売促進とは、どんな手段を取るにしても、費用と手間がかかる厄介なものだ。これらを避けてしまえば、販売促進など成り立たない。費用や面倒を伴うことを前提に、それをどう効果的に活かすかを考える姿勢が必要である。この事実を肝に銘じておかなければならない。
カタログ、チラシ、ポスターについて、これらは顧客の視点を優先して作成されるべきです。しかし、多くの企業で見られるのは、企業内の自己満足や「天動説」に基づいた作り方です。たとえば、カタログが本来の役割である商品やサービスの案内ではなく、社内の自己紹介や会社の誇示に終始しているケースが見られます。
カタログの作成
カタログは、商品とサービスを顧客にわかりやすく提供するものであり、企業の「入社案内」ではありません。顧客が知りたいのは商品や用途に関する情報であり、会社の経歴や設備、社長の写真などではありません。したがって、以下のような構成が効果的です:
- 用途案内: 顧客が自身のニーズに適した商品をすぐに見つけられるように、用途別に案内をする。
- 商品詳細: 商品ごとの説明と仕様、品質保証に関する情報を提供。
- サービスネットワーク: 顧客が必要とするサービスやサポート体制を案内。
- 簡潔な会社案内: 最後に会社について簡潔に紹介する程度で十分です。
チラシの作成
チラシも顧客にとって必要な情報を重視する必要があります。商品の機種や特性を羅列するだけではなく、以下の順序を意識することが重要です:
- 用途: 最初に用途を明確にすることで、ターゲット顧客がすぐに関心を持てるようにする。
- 処理能力: その商品がどの程度の仕事をこなせるのかを示し、購入判断に必要な情報を提供。
- 寸法と設置情報: 実際に商品を設置する際に必要な情報。
- 所要馬力、操作人員、メンテナンス情報: お客様の設備計画やサポートへの安心感を提供。
ポスターとチラシの配布
ポスターやチラシが消費者の目に触れるためには、実際にどのように配布されているかを把握する必要があります。流通業者が必ずしもチラシやポスターを丁寧に顧客に届けてくれるとは限らず、手間や費用を惜しまずに、適切な方法で配布されているか確認が重要です。効果的な配布方法として、ダイレクトメール、新聞の折り込み、店頭や街頭での配布、そして公共の場でのポスター掲示などが考えられます。
まとめ
販売促進のためには、単に制作するだけでなく、顧客の目に留まるように設計・配布の労力と費用を惜しまない姿勢が必要です。費用と手間をかけてこそ、チラシやポスターは顧客に届き、効果を発揮するのです。
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