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販売計画

目次

販売計画とは

利益計画で示された必要利益を達成するために、「何を」「どれだけ」「どこで」「誰が」売るのかを具体的に計画するのが販売計画である。

この販売計画こそ、経営計画の「中核」を成すものであり、方針書で明示された事項を目標として設定し、それを具体的な数字に落とし込みながら販売活動を展開していく指針となる。

販売計画は、事業の成否を左右する重要な計画である。

商品別販売計画

販売計画の中心となるのが「商品別販売計画」である。これは、社長が意図する商品構成とその売上目標を具体化するための計画である。

社長のビジョンを実現するために、この計画を通じて商品構成や売上目標を綿密に練り上げる必要がある。

しかし、社長の意図する方向性と現実の市場状況との間に存在する多くのギャップを埋める作業は決して容易ではない。このギャップを埋めるための具体的な戦略が、販売計画の核心となる。

占有率の目標を達成するための売上高については、各商品ごとに「どの商品をいくら売るべきか」、特に最重点商品や重点商品の売上高をどの程度確保すればよいかを具体的に設定する必要がある。

一方で、必要な粗利益を確保するための売上高も考慮し、その売上高をどの商品やサービスで実現するのかという視点も重要である。これらの二つの側面をバランスよく計画に組み込むことで、実効性のある販売計画が完成する。

しかし、現実は厳しく、必要な粗利益を確保するための売上高を達成することがいかに困難であるかを、思い知らされる場面が多い。

この目標を達成できる売上高を実現するためには、占有率の目標を突破せざるを得ないことがほとんどであり、むしろこの表現の方が実態を的確に示しているといえる。

売上高の確保が簡単ではないからこそ、販売計画において現実を直視し、具体的な施策を練る必要がある。

これほどまでに、この作業は大変なものである。前述したように、社長がノイローゼや不眠症に悩まされるほどの重圧を伴う。この苦しみやプレッシャーは、どれだけ説明しても社員には決して理解されるものではない。社長自身が全責任を背負い、目標達成のために孤独に奮闘する姿は、経営の現実を如実に物語っている。

さらに、社長として、社員に自分の苦悩を理解してもらおうとするのは間違いである。社長の苦しみは、あくまで自分一人で背負い、耐え抜かなければならないものだ。

そして、この苦悩に対する解答を見つけるためには、社長自身が積極的に外に出て、お客様と直接向き合うことが不可欠である。

現場の声を聞き、顧客のニーズを肌で感じることで、解決の糸口が見えてくるのである。

それにもかかわらず、多くの企業が商品別販売計画を立てず、利益計画だけで経営を進めようとしている。利益計画だけでは、それがいかに達成困難であるかを真に理解することはできない。

その結果、状況を甘く見てしまったり、数字だけで経営を進めようとして現実とのギャップに苦しんだり、数字に縛られて柔軟な対応ができなくなったりするのである。

商品別販売計画がないままでは、計画を現実に落とし込む道筋が見えず、経営が空回りする危険性が高い。

商品別販売計画の基本的なフォーマットは、巻末の「第7表」のような形式である。この計画において最も重要なのは、必要な加工高(粗利益)である。

売上高だけの計画では、商品ごとに加工高比率が異なるため、たとえ売上高が高くても加工高比率が低い場合には、必要な加工高を確保できないという状況が起こりうる。

売上高のみの計画では、このような問題をチェックすることができないため、加工高を重視する計画が不可欠である。

極論を言えば、加工高さえ確保できれば、売上高自体の数値は問題ではない、ということになる。そのため、まず最初に「第7表」の目標加工高の合計欄(①)に、利益計画で設定された目標加工高を記入する。

この手順によって、利益計画と商品別販売計画が明確に連結され、目標達成に向けた整合性のある計画が成立するのである。

次に行うのは、現事業の売上高と加工高の記入である。商品名については、すべてを列挙する必要はない。売上高のおおよそ80%を占める商品または商品群を記載すれば十分である。商品群とは、類似の特性と加工高比率を持つ商品を一括りにしたものである。残りの20%は「その他」としてまとめて扱えばよい。

まず、各商品または商品群の売上高を記入することから始める。この段階で、重要な商品や商品群に焦点を当てた計画が見えてくる。

この手順に従い、それぞれの商品または商品群について売上高と予測加工高比率を記入する。予測加工高比率は、基本的には実績に基づいて設定するため、大きな差異はないと考えられる。その後、売上高に予測加工高比率を掛けて加工高を計算する。

これらすべての加工高を合計したものが「第7表」の②に記入される数値となる。この数値は、現在の事業における加工高の基準を明らかにするものであり、次の計画策定の基盤となる。

このようにして、各商品または商品群について売上高と予測加工高比率(実績値に近いもの)を記入し、その結果として加工高を計算する。これをすべての商品または商品群について行い、その加工高を合計したものが「第7表」の②に記載される数値となる。この②の合計は、現事業の加工高の総額を示し、次の計画作成の基準となる重要な指標となる。

同様の方法で、新事業についても記入する。ただし、新事業の場合、まだ販売実績がないため、売上高がどの程度になるのか、明確に予測できる場合もあれば、不明な場合もある。いずれにせよ、実際に販売してみなければ結果は分からないため、過度な期待を抱くべきではない。新事業の売上を過大に見積もることは避けるべきだ。

しかし同時に、あまりに控えめな目標を設定すると、その新事業に対する販売努力が不十分になるリスクもある。このように、新事業の計画は、現実的でありながらも意欲的な目標を設定するというバランスが求められる。これは慎重でありながら挑戦的な姿勢が必要となる、厄介な部分である。

社長の最大の苦心は、新事業の売上高と加工高をどのように設定するか、という点にあると言える。そして、この新事業の売上高と加工高の合計を「第7表」の③に記入する。

その後、②(現事業の加工高)と③(新事業の加工高)を合計してみると、目標加工高である①に届かない、というケースが最も一般的である。この不足分をどう埋めるのか、ここが販売計画の中で最も重要かつ難しい部分である。

利益計画だけでは見えてこない売上達成の難しさを、ここで社長は痛感させられる。この不足分をどう埋めるのかを考えざるを得なくなるのだ。この不足を埋められなければ、利益を出すどころか、最悪の場合は赤字に転落する可能性すらある。

まさに、「この不足をどうして埋めるか」を具体的に考え、行動に落とし込むことこそが、本当の意味での販売計画である。そして、この販売計画が実現されて初めて、利益計画が現実のものとして成り立つのである。

不足を補うためには、まず個々の商品や商品群ごとに計画の数字を見直す必要がある。それぞれの商品について、さらに売上を増加させる方法がないかを検討し、可能性を探る。また、加工高比率(粗利益率)を向上させる手段がないかを慎重に分析することも重要である。

例えば、高付加価値商品への注力や販売戦略の見直し、価格改定、コスト削減など、加工高比率を高めるための具体的な施策を検討する。これらの取り組みによって、単に売上高を増やすだけでなく、利益率を改善し、不足を補う道を模索することが求められる。

このような状況で突破口となるのは、社長が直接得意先を回り、自らの手で収集した現場の情報である。この情報がなければ、いくら考えたとしても、具体的な手立てを見つけることは難しい。つまり、社長が市場と顧客の状況を、自らの目で見て、耳で聞き、肌で感じていなければ、本当に実効性のある販売計画を作り上げることは不可能であるということを示している。

市場と顧客を深く理解することで初めて、現実に即した計画が立てられ、必要な不足を補う具体的な施策が明確になるのだ。社長自身が現場に足を運ぶことの重要性は、ここにある。

社長の徹底した検討を通じて、目標数字が徐々に上積みされていく。しかし、その上積みされた数字には、必ず「これこれの販売促進策を実施する」という具体的な裏付けが必要である。この裏付けがなければ、上積みされた数字は単なる「数字合わせ」に過ぎず、実現可能性を欠いた計画となってしまう。

販売促進策の裏付けとは、例えば新規顧客の開拓、既存顧客への販売強化、キャンペーンの実施、商品構成の見直しなど、実行可能なアクションプランを伴った具体的な施策でなければならない。これが、計画の実効性を高める鍵となる。

「目標数字には、それを達成するための具体的な方策が伴わなければならない」というのは当然のことである。しかし、その方策が上積みされた数字と数学的に一致するという保証はない。それどころか、実際には目標数字に到達するのが非常に困難な場合が多い。

これが現実の経営における厳しさであり、計画の精度を上げる努力をしながらも、目標に届かない可能性を念頭に置いておく必要がある。そのため、柔軟な対応策や複数のシナリオを用意し、目標達成に向けて継続的に改善と調整を行う姿勢が求められる。

このような状況に陥った場合、どうするべきかは確かに難しい問題だ。実際には、目標数字がどうしても合わないとき、最終的に「苦しまぎれの数字」や「帳尻合わせの数字」で一時的に形を整えるしかない場合もある。そして、目標達成の具体策は「これから考える」という後追いの対応になってしまうことが少なくない。

どうしても目標数字に近づけるには、「最重点商品はあと一割上積み」「伸び率が高い商品は三割増加」「粗利益率を二%高める」といった形で見直していく。それでもなお、どうにもならない場合もある。その時は、新たな市場開拓やコスト削減、目標の再設定など柔軟に対応する必要がある。

そのような場合には、「あとこれだけ必要だ」という意味で、商品名を「X」として調整を行うことになる(第7表の④)。そして、それについては計画期間中に具体策を考える、とするしか方法がない。

この辺りの苦しみは、実際に経験した人でなければ理解できないだろう。しかし、こうして粗利益の目標を達成する計画を立てると、売上高が利益計画と食い違うことが生じる場合がある。

その場合は、利益計画の売上高を販売計画に合わせて修正することになる。このような苦労を重ねた結果、ようやく商品別販売計画が完成するのである。

次に行うのは、商品別販売計画を月別売上目標に展開することである。この際、月別計画では売上高だけを扱えばよく、粗利益の詳細は不要である。また、「月別売上高比率」などと称して、過去3年分の月別売上高から年商に対する比率を算出し、それを平均化するような技術的手法に頼る必要は全くない。むしろ、こうした形式的な技術論に振り回されるべきではない。現実に基づき、実務に即した計画を立てることが肝心である。

事業経営では、技術的な思考に頼るべきではない。それに囚われると、細部に気を取られ、根本的な目的を見失うからだ。したがって、技術的な計算にこだわるのではなく、大まかな季節変動を考慮して、「このくらいだろう」という感覚で月別に売上を割り振ればよい。そして、12カ月分を合計して目標との差額を算出し、その差は適当にバランスを見ながら「この辺だろう」と思われる月に配分して調整すれば十分である。

社長の思考の最小単位は「一年」でなければならない。この一年単位の目標がしっかりしていれば、月別の展開が精密であろうと適当であろうと、大勢には影響を与えない。さらに、月ごとに細かく見るのではなく、累計で全体の進捗を確認することが基本である。したがって、月々の配分については大まかで十分であり、細部にこだわる必要はない。

念のため付け加えると、数字の取り扱いは利益計画と同様に、「上位二桁を残し、万円以下は切り捨てて零とする」形を採用する。月別の展開が完了したら、各月の売上高を合計する。この月別の売上金額が、利益計画の月別売上高にそのまま転記されることは、利益計画の際に述べた通りである。

次に取り組むのは、部門別または地区別の販売計画である。この計画には、商品ごとに部門別で売上を割り振る場合と、売上総額だけを割り振る場合の二つがある。

売上総額だけを割り振るケースは、次のような理由で採用されることが多い:

  1. 部門別に商品ごとの売上を詳細に把握するのが、手間がかかりすぎて実務上不可能な場合。
  2. 扱う商品が類似品ばかり、または単一の商品であるため、部門別に分ける意味がない場合。

こうした状況では、売上総額のみの計画で十分とされる場合がある。

「第8表」は、商品を部門別に割り付けた場合の基本的なフォーマットである。この際に注意すべき点は、部門別利益計画と部門別販売計画のどちらを先に作成するかという順序の問題である。この場合、部門別販売計画を先に作成するのが適切である。

なぜなら、販売計画は具体的な売上の見通しを立てるものであり、それに基づいて利益計画を策定する方が合理的だからだ。販売計画が基盤となり、利益計画はそれを踏まえて計算されるものとなる。

販売計画が経営計画の「中核」であることは既に述べた通りだ。だからこそ、全社的な商品別販売計画を、どの部門または地区に割り付けるかを先に決めることが重要になる。物事は重要なことから順に決めるのが当然であり、販売計画を最初に策定することで、利益計画やその他の部門別計画がその上に構築されるべきである。

部門別販売計画を作成する際は、まず全社の商品別販売目標を記入し、それを一つずつ部門別に割り付けていく。この際、いきなり金額で割り付けを行おうとすると、複雑になるだけでなく、その割り付けが販売方針に合致しているかどうかを判断するのも困難になる。

そのため、最初に各商品の売上を100とし、部門別の売上比率を先に算出する。この比率を基準として割り付けを行うことで、販売方針に沿った計画を効率的かつ合理的に進めることができる。

例えば、商品Aの売上高を2億5千万円とし、これを基準として100とする。そして、これを第一課15%、第二課60%、○○営業所25%という比率で分け、金額に換算する。このようにして、商品Aから商品Gまで、それぞれの商品について部門別の割り付けを行う。

その後、その他の金額については「十把一絡げ」として一括でまとめ、全商品の合計金額を算出する。こうして確定した部門別売上高目標を、利益計画の部門別売上高として反映させる。この手順により、販売計画と利益計画が連動し、一貫した経営計画が完成する。

次に行うのは、各部門ごとに商品別売上高を月別に展開する作業である。この月別売上高の合計金額を、その部門の月別利益計画の売上目標として設定し、これに基づいて月別の損益を算出する。

その後、各部門の月別目標を合計し、全社の月別利益計画を作成する。この全社計画と並行して、商品別の月次販売計画を作成する。この順序で進めることで、各段階で数字が自然と整合性を保つことができ、計画が円滑にまとまる。これが効率的に計画を立案する最適な方法である。

次に取り組むのは得意先別販売計画である。巻末の「第9表」がその一例となっている。この計画には以下の2つの方法がある:

  1. 担当者別に総額を割り付け、その後に担当者ごとに得意先別の売上目標を設定する方法。
  2. まず得意先別に売上目標を設定し、それを担当者別に分類する方法。

どちらの方法を採用するかは、組織の販売体制や計画の目的に応じて選択すればよい。それぞれにメリットがあるため、実情に合ったアプローチを取ることが重要である。

次に作成するのは得意先別販売計画である。巻末の「第9表」がその基本例となる。この計画には、以下の2つの方法がある:

  1. 担当者別に総額を先に割り付け、その後、各担当者ごとに得意先別の売上目標を設定する方法。
  2. まず得意先別に売上目標を設定し、それを担当者別に分類する方法。

どちらの方法を採用するかは、組織の販売戦略や得意先の構成に応じて決定すればよい。どちらも目的に応じて柔軟に活用可能である。

どちらの方法を採用しても問題はないが、重要なのは、必ず担当者別に明確な目標を割り付けることである。もし、一本立ちできない担当者がいる場合には、その担当者をサポートする責任者を指定し、グループ単位で目標を設定する方法を採用すればよい。このように、責任の所在を明確にしつつ、目標を適切に割り付けることが、計画の実効性を高める鍵となる。

この目標の月別展開には「コツ」が必要だ。月別の売上高目標はすでに商品別に決まっているため、まずその数字を得意先別販売計画の合計欄に記入することから始める。これにより、全体の整合性を保ちながら、月別展開を進める土台ができる。

次に行うのは、この月別売上高の年商に対する比率を算出することだ。その比率を各得意先の目標売上高に掛けて、月別の売上高を計算する。ただし、最大の売上高を誇る得意先については、この段階で計算を行わずに除外しておく。

その後、最大売上高の得意先を除いた月別売上高の合計を計算し、それと全体の月別売上目標の合計金額との差額を、最大売上高の得意先の月別売上目標として設定する。この方法により、全体の整合性を保ちながら、得意先別の月別売上計画を効率的に作成することができる。

これが「コツ」であり、この方法を採用することで、数字を合わせる際の手間を大幅に軽減できる。以上が販売計画を作成する要領の説明だが、最も重要なのは要領そのものではない。肝心なのは、社長の方針を十分に反映させた計画を立てることである。販売計画は、単なる数字の羅列ではなく、社長のビジョンや戦略を形にするための基盤であることを忘れてはならない。

販売計画で重要なのは、何を伸ばすべきか、どの地域や商品に重点を置くべきかといった積極的な戦略を明確にすることだ。同時に、何を切り捨てるか、どこに力を入れないかという効率化の方針をも明らかにすることである。これにより、リソースを集中させるべき領域と、削減すべき領域を明確にし、計画にメリハリをつけ、実効性を高めることができる。

過去の実績を単に引き延ばしたり、予測に基づいた達成率主義に依存することは、計画の本質ではない。計画は「当て物」ではなく、その通りに進めば良いというものではないのだ。計画の本当の意義は、社長の意図を十分に反映し、それを実現するために挑戦するところにある。この認識を持つことが、真の計画を作成する上で最も重要である。

最後に、販売計画において絶対に避けるべきことを強調しておきたい。それは、営業部門に売上目標や売上予測を提出させることだ。このような依頼は、計画作成の責任を営業部門に押し付けることになり、計画そのものの方向性がぶれてしまう。

営業部門には、売上実績のみを提出させるべきである。その実績をもとに、社長の意図と方針を十分に盛り込んだ計画を経営側が責任を持って策定することが、本来のあるべき姿である。

それにもかかわらず、多くの会社がこの誤りを犯している。その理由は、「営業のことは営業が一番よく知っているから」という考えによるものだ。しかし、それは全くの勘違いである。販売計画は「事業経営」に関するものであり、「営業」だけに関するものではない。

販売計画を営業の専任事項だと捉えるのは根本的な間違いである。販売は事業計画の「中核」を成すものであり、会社全体の方針と戦略に基づいて策定されるべきものだ。この認識が欠けていることが、多くの企業で見られる大きな問題である。

販売計画を営業部門の専任事項と考え、「営業を一番よく知っている営業部門に目標を立てさせる」という発想は、全く論外と言える。営業部門は「営業」のことは考えるが、決して「事業経営」の全体像を考えるわけではない。

もし、営業部門の長が事業経営を考えながら目標を立てるのであれば、その人物こそ社長にふさわしい。現社長は専務に降格し、新しい社長から事業経営の本質を学ぶべきだという話になる。それほど、販売計画を経営の観点から立てることが重要なのである。

自らの事業を、社長自身の意思で「このようなものにする」と定めるのが経営計画である以上、販売計画もまた社長自身が立てるべきである。営業部門の意見を聞くこと自体は有益だが、それはあくまで社長が意思決定を行うための参考情報の一部に過ぎない。この本質を忘れてはならない。

販売計画は経営の「中核」を担うものであり、会社全体の方向性や戦略を反映させる必要がある。したがって、最終的な意思決定と計画の策定は、社長自身が責任を持って行うべきである。

販売計画は、利益計画で設定された目標利益を達成するために、具体的な販売活動の指針を示すものだ。これには「何を、どれだけ、どこに、誰が売るか」を計画する必要があり、特に商品別の売上目標が重視される。この計画は、経営の中核であり、実際の売上と目標とのギャップを埋めるための積極的な対策が不可欠である。

販売計画の基本構成

  1. 商品別販売計画
  • 目標利益を達成するために、商品ごとの売上と粗利益(加工高)を計画。粗利益の目標が確保できれば、売上高は二次的な指標となる。
  • まず、現事業と新事業の売上高と加工高の合計を計算し、利益計画の目標と照らし合わせて不足を確認。必要に応じて重点商品へのフォーカスを強化する。
  1. 不足分の対策と調整
  • 売上目標に達しない場合は、販売促進策を含めた具体的な方策を検討し、目標数字に裏付けを持たせる。
  • 必要に応じて重点商品の売上高をさらに上乗せするか、粗利益率を引き上げることを検討。
  1. 月別売上計画
  • 1年間の目標を基に、月別に売上目標を設定。季節変動を考慮しながら、大まかな月別割り振りを行い、累計で進捗状況を把握する。
  • 月別の売上高を細かく分割するのではなく、全体の目標を維持しつつ、適宜調整することがポイント。
  1. 部門別・地区別販売計画
  • 商品ごとに部門または地区に売上目標を割り当てる。売上総額のみを割り当てるか、商品別に割り当てるかは、業務の繁雑さや商品特性に応じて判断。
  • まず、全社の目標を設定したうえで部門別に配分し、さらに月別の損益計画へと展開する。
  1. 得意先別販売計画
  • 担当者ごとに得意先別の売上目標を設定。計画通りに目標が達成できるよう、担当者に明確な売上目標を持たせる。

販売計画の要点

  • 経営計画の中核としての位置づけ
    販売計画は経営計画の中心であり、過去の実績や予測に基づく「達成率主義」ではなく、社長の意思を反映させ、積極的な挑戦をする姿勢が必要である。
  • 社長が販売計画を立案することの重要性
    販売計画は「事業経営」の範囲であり、営業部門に委ねるのではなく、社長自らが経営戦略として設計するべきだ。営業部門の意見は参考にしつつ、最終的な目標設定と判断は社長が行う。

重要なポイントと禁止事項

  • 数値の裏付け
    売上目標にはそれを実現するための販売促進策などの裏付けが必要で、単なる「数字合わせ」では実行力が伴わない。
  • 営業部門からの目標提示は避ける
    営業部門に目標設定を任せるのではなく、社長が責任を持って目標を立てるべきである。販売計画はあくまでも経営の一環であり、営業の範囲に留まらない。

販売計画の実効性を高めるためには、社長が市場や顧客の実情を把握し、自らの判断で会社の方向性を明確に示すことが重要である。この計画は会社全体の利益に直結し、社員や部門に方針を浸透させるための中核となるものだ。

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