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設備計画

設備計画は、特定の期内における有形固定資産の取得計画を示すもので、企業の事業構想や目標に基づき、最適なタイミングで実施されることが重要です。

設備投資は戦略的に進める必要があり、社長が方針を定め、事業方針に沿って投資の優先順位や資金配分を決めることが求められます。

目次

設備計画とは:設備計画の意義と方針

設備計画とは、その期中に取得する有形固定資産の計画を指す。当然ながら、その対象は有形固定資産勘定科目に該当する物件となる。しかし、多くの企業では、明確な設備方針を持っているところは少ないのが現状である。

「武装主義」や「能率主義」に基づいて闇雲に設備を導入すれば、いくら資金があっても追いつかないばかりか、過剰設備を抱え込むことで企業の体質が硬直化する危険性が生じる。

稟議制度によるリスク回避

もう一つの危険は、「稟議制度」を通じた下からの設備投資要求である。筆者が若い頃勤めていた会社では、設備マニアの検査課長がいて、次々と稟議書を起こしては設備投資を提案してきた。

稟議書というのは非常に扱いにくいものである。検査課長から回ってくる稟議書には、明らかに不要と思えるものが多いにもかかわらず、「不要」とはなかなか書けない。

もしそう書けば、「お前は検査課長より検査課の事情に詳しいのか」と突っ込まれた際に反論できないからだ。そのため、抵抗の意思を示すにしても、せいぜいハンコを逆さに押す程度のことしかできなかった。

このようにして、全課長や全部長のハンコがずらりと並べば、重役もそれに押印せざるを得なくなる。そして、その稟議書が社長のもとに上がってきた時点で、社長としても否認することはほぼ不可能になるのだ。

このように、稟議書はその内容の適否に関わらず承認されてしまうことが多く、極めて厄介な存在である。したがって、設備に限らず、稟議制度そのものを全面的に廃止すべきだというのが私の主張である。

意見や希望がある場合は、公式な場で自分の意見を述べられない人々にハンコを押させるような形を取るのではなく、当事者が直接上司に申し出る形にすればよい。それが本来の正しい意思伝達の在り方である。

設備計画のフレキシビリティ

話を本題に戻すと、設備投資は、まず自社の事業構想に基づき、その推進に必要な投資を社長自身が検討し、大筋を決定するべきものである。一方で、細かな部分については、金額の枠を設定した上で各部門に裁量を任せる形で対応すれば十分である。

ただし、明確な事業方針や設備方針が既に決まっている場合には、総額だけを設定し、あとは各部門に自由に任せる形でも問題ない。

一方で、方針を何も示さず、ただ「どんな設備が欲しいか」を各部門に提出させるだけでは、最低の対応と言わざるを得ない。どのような場合であれ、設備計画は明確に定められていることが不可欠である。

ただし、この設備計画は固定的なものであってはならず、状況の変化に応じて柔軟に変更可能であるべきだ。これは目標そのものを変更するという意味ではない。設備はあくまで目標を達成するための手段の一つに過ぎないからである。

そのため、「状況が変わったので、この設備計画では目標達成が難しい」という「目標指向」の変更が可能となる。設備計画があるからこそ、この変更は非常に明確に行えるのだ。

たとえば、「この設備は来期に延期する」「この設備の設置時期を三カ月早める」「この設備を追加する」といった具合に。そして、その変更に伴う所要資金が、いつ、どれだけ変動するかも正確に把握できるようになる。

計画フォーマット

巻末の「第10表」は、設備計画表のひな型となっている。この表の左半分は物件に関する項目が記載されており、右半分は資金に関する項目が記載されている。

脚注に「( )は相殺分」と記載されているのは、車両などの下取りがある場合の処理方法を示している。たとえば、新車が100万円で、下取り価格が20万円の場合、金額欄には100万円と記入し、その相殺分である20万円は括弧内に記入するという形になる。

固定資産が100万円増加する場合、その所要資金は下取りの20万円を差し引いた80万円であるという意味になる。名称欄については、単価が100万円以上のものに限定するというような基準を事前に決めておくことが重要である。

それ以下の単価のものについては、一括して「型治工具」や「什器備品」などと記入するのが良い。ただし、車輌運搬具については、百万円以下であっても記入しておいた方が便利である。なぜなら、これにより各部門への配分を明確にしておくことができるからだ。また、必要に応じて予備費を計上することも一つの選択肢となるだろう。

減価償却費の確認

この表によって、何を、いつ、どこに、どれだけ投資するのか、その総額はいくらか、そして所要資金がいくらか(投資額から相殺分を差し引いた金額)が明確に分かるようになる。

これが分かれば、この投資に対する減価償却費がいくらになるかを計算するのは容易である。その後、既存の設備の減価償却費を加算すれば、計画期間中の減価償却費の総額を算出できる。この計算により、利益計画における減価償却費を適切にチェックすることが可能となる。

月別資金計画

次に、右半分の資金計画について説明する。月別に支払金額を記入していくことになる。約手支払いの場合、その支払いが実行される月が支払月となることは当然のことだ。

このようにすることで、各月にどれだけの設備資金が必要か、計画期間中の支払総額がいくらで、さらに翌期に繰り越される分がいくらになるのかが明確に分かるようになる。この情報は、そのまま資金繰計画に組み込むことができる。

まとめ

設備計画は、資金や減価償却費、必要なタイミングを見極めながら、経営方針に即して行われるべきです。この計画により、資金の過不足や計画的な設備投資が明確になり、事業目標達成に向けた柔軟な経営判断が可能になります。

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