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社長自らの資金繰計画で会社を救う

企業が危機的な状況に直面したとき、経営者の判断力と行動力が企業の存続を左右する。

特に、資金繰りや営業活動、そして信頼関係の構築は、危機を乗り越えるための鍵となる要素である。

危機を乗り越えるために必要な経営者としての覚悟と行動、そしてその結果得られる成果を記載する。

今後、同じような危機に直面した際にどのように対応すべきか、何を実践すべきかを考えるための参考とする。

目次

1. 社長自ら資金繰りを管理する重要性

1. 社長自ら資金繰りを管理する重要性

危機的な状況では、社長が陣頭に立ち、資金繰り表を作成することが重要だ。これによって、現状を把握し、適切な判断や交渉が可能となる。

経理担当者に任せっきりではなく、社長自身が計画として資金繰りに取り組む姿勢が求められる。

よくあるのは、危機の最中に社長が資金繰り表を作成せず、経理担当者任せにしていた。

会社の存亡に関わる時に、経理担当者任せではいけない。社長自ら資金繰り表を作り、銀行に説明できるようにしなければならない。

必ず社長自身が作るべきだ。ただし、計算部分は経理担当者に手伝わせても良い。しかし、そこに載せる数字は社長が責任を持って指示しなければならない。

自分の会社を守るためには、社長がその責任を自覚し、必ず直接取り組むことが必要だ。それが自分の会社の責任者としての勤めである。

2. 利益計画に基づく資金繰りの必要性

ただの売上予測や経理担当者による資金予測ではなく、明確な利益計画に基づく資金繰り計画が重要です。利益計画から逆算して資金繰りを立て、不足分を特定し、その資金の確保方法を具体的に計画する。

これは、単に適中率を上げるためではなく、事前に確実な対策を講じるためのものである。

1. 資金繰り計画の土台は利益計画に基づくべき

ただの売上予測や経理担当者による資金予測ではなく、明確な利益計画に基づく資金繰り計画が重要だ。

利益計画から逆算して資金繰りを立て、不足分を特定し、その資金確保方法を具体的に計画する。このアプローチは、予測精度を高めるためではなく、事前に確実な対策を講じるためのものだ。

利益計画は資金繰り計画の土台であり、これがなければ、厳密には資金繰り計画とは言えない。ただの「資金繰予測表」に過ぎなくなる。

2. 資金繰予測表では不十分

多くの会社が作成する資金繰表は、実際には資金繰予測表であり、実効性に乏しい。

利益計画に裏打ちされていない資金繰りは単なる数字の羅列に過ぎず、未来の経営を導く指針としては機能しない。

経理担当者が売上予測に基づいて資金繰表を作成することは仕方がない面もあるが、問題はその先にある。

経理担当者は完成した資金繰り表を社長に提出するが、その根拠となる数字は示さない。

社長はその数字の根拠を深く追求することなく、不足金額だけを見て問題を処理してしまう。このようなやり方では、どちらも不十分だ。

資金繰予測表をいくら眺めても、そこから前向きな方針を立てることは難しい。その結果、結局は行き当たりばったりの対応に終始してしまう。

そして、現実が予測と食い違うたびに、毎月のように資金繰表を書き換えなければならなくなる。少しでも予測の精度を高めようとする努力の一環ではあるが、それでは本質的な解決には至らない。

この繰り返しでは、資金繰り表が単なる帳面合わせの道具に堕してしまい、会社の未来を切り開く計画にはなり得ない。

3. 資金繰り表は単なる帳面合わせではない

資金繰り表は単なる形式的な書類ではなく、根拠となる数字や計画を共有し、全員が同じ認識で動けるようにするためのものだ。

予測の精度を高めることが目的ではなく、実態を正確に把握し、事前に対策を講じることが重要だ。

資金繰り予測表をいくら見ても、前向きな方針を立てることは難しい。

4. 利益計画を基にした資金繰り設計の重要性

資金繰計画の本質は、予測の的中率を高めることではなく、利益計画を基盤とした本質的な資金繰りの設計を行うことだ。

そのためには、まず利益計画に基づいた資金繰計画を立て、その計画を正しく読み解くことが求められる。

利益計画が変わらない限り、資金繰計画も変更すべきではない。

利益計画が変更された場合には、それに応じて資金繰計画も更新する必要がある。資金繰計画は、利益計画と資金運用計画を組み合わせ、暦日に沿って展開する形で成り立つ。

重要なのは、予測の精度を上げることではなく、利益計画を基盤とした本質的な資金繰りの設計を行うことだ。

これを実現するには、まず利益計画に基づいた資金繰計画を立てることが不可欠であり、次にその計画を正しく読み解くことが重要だ。

そのためには、利益計画が変わらない限り資金繰計画も変えてはならず、利益計画を変更した場合には、それに応じて資金繰計画も更新する必要がある。

資金繰計画とは、先述の通り、利益計画と資金運用計画を組み合わせ、それを暦日に沿って展開したものだ。

つまり、資金繰計画は利益計画と資金運用計画を変形させたものだ。場合によっては、利益計画から資金繰計画を立て、それを資金運用計画に変形することもある。

5. 適中率より実態の把握が優先

最も重要なのは、適中率を高めることではなく、資金繰りの実態を正確に把握し、適切な対策を事前に立てることだ。

資金繰計画の目的は、予測精度を高めることではなく、現実的な資金繰りの課題を解決することにある。

資金繰表の目的は、予測の的中率を高めることではない。重要なのは、資金繰りの実態を正確に把握し、適切な対策を事前に立てることだ。適中率は本質ではない。

だからこそ、利益計画が変わらない限り資金繰計画を変更してはならない。そして、それゆえに適中率が悪くても、資金繰りの実態を正確に把握することが可能になるのだ。

3. 危機時の綿密な資金調達戦略

大手取引先が倒産するような危機的状況では、計画的な資金調達戦略が不可欠だ。

救済融資の申請、手形の期日までの延長、売掛金の早期回収など、可能な限り多くのシナリオを準備し、メーンバンクとの緊密な連携を怠らないことが重要だ。

3.1 六ヶ月間の利益計画と資金繰り計画

まず六ヶ月間の利益計画を立てたが、その内容は意欲的というよりもむしろ苦しいこじつけに近いものだった。

単なる売上予測では明らかに赤字になり、赤字は倒産に直結する危険を孕んでいる。このため、どんな手段を使ってでも利益を出さなければならない。

このような切迫した状況で、必要最小限の経常利益を設定し、その基準から必要売上高を逆算する手法が役立った。

※必要最低限の経常利益の計算方法は、利益計算の損益分岐点を参照にする。

この売上高をどのように達成するかは一旦後回しにし、まずその基準を基に六ヶ月間の資金繰り計画を作成。不足する資金については短期借入金で補い、収支を整える形にする。

3.2 銀行との救済融資交渉

短期借入金は、銀行からの救済融資に頼る以外に方法がなかった。そこで、この救済融資を実現するために、銀行への依頼内容を二段階、三段階で計画し、具体的に「いつまでに、どの銀行からいくら借りるか」を決めた。

その計画がうまくいかなかった場合の次善策も用意し、最悪の場合でも何としても銀行に対応してもらうための最低ラインを設定した。

3.3 手形買い戻しと売掛金回収

また、即刻の手形買い戻し要求については、期日までの猶予を求める方針とした。万が一の事態に備え、主要得意先には売掛金を期日前に支払ってもらうよう依頼し、仕入先には支払手形のサイト延長を申し入れるなど、資金繰りを支えるための具体的な対応策を講じた。

3.4 メインバンクとの信頼関係維持

これらの対策については、必ず事前にメインバンクに相談し、実施後も速やかに報告するよう社長に強く注意した。銀行との信頼関係を維持するためには、この手順を徹底することが不可欠であった。

4. 継続的な銀行への情報提供と信頼構築

資金繰りが厳しい状況においてこそ、メインバンクやサブバンクに対して事前相談を行い、毎月の業績報告を徹底することが信頼構築の鍵となる。この信頼が、融資を得るための最も重要な要素だ。K社の場合も、毎日の経過報告を通じて、銀行との信頼関係を築き上げた。

4.1 銀行との信頼関係の構築

結果として、信頼関係の構築は大成功を収めた。社長自身が作成した利益計画と資金繰り計画は、説明に迷いがなく、自信を持って銀行に対して説明できたことが大きかった。この明確で具体的な計画が、銀行に対する信頼を確実なものとした。

4.2 銀行の支援とサブバンクの協力

その結果、メインバンクは全面的に支援を引き受けてくれることとなり、その動きに続いてサブバンクも要請を全面的に受け入れてくれた。これにより、資金繰りの安定が確保された。

4.3 社長自らが陣頭指揮を執る重要性

最後に、特に強調したいのは、危機に直面した際に社長自らが陣頭指揮を執ることの重要性だ。社長が自ら先頭に立ち、責任を持って事態に対応することが、会社を救う鍵となる。

5. 危機を乗り越えるための社長の全力の営業活動

銀行からの信頼を得て資金繰りを立て直した後も、社長自らが営業に奔走し、収益を確保するための努力が不可欠だ。K社長も新規受注を全力で獲得し、売上を立て直した結果、会社の状況は劇的に改善した。

5.1 営業活動の重要性

K社長は、銀行への恩返しを最優先に考え、「苦しい状況で作成した利益計画を実現するためには全力を尽くすべきだ」と決意した。その鍵となるのは新規受注であり、それは社長自身の営業活動と新規得意先の開拓にかかっていると認識した。

「絶対にその重荷を社員に背負わせてはいけない。社長は会社の中で事務作業に専念するのではなく、全力で営業に専念するべきだ」と、私は強調した。

5.2 結果としての劇的な改善

社長自らが営業活動に注力した結果、六ヶ月後には計画した利益を大幅に上回る成果を達成し、その後もその勢いが基盤となって、会社の状況は好調を維持した。

5.3 奇跡の会社に共通する要因

私はこれまでに、何度かこのような「奇跡の会社」に出会ってきた。その多くには共通点がある。それは、社長の正しい姿勢と必死の努力だ。この二つが揃うことで、不可能を可能にする力が発揮され、困難な状況を乗り越えることができる。

6. 危機後のコミュニケーションの継続

危機を乗り越えた後も、感謝の意を忘れず、取引先や金融機関に業績報告を続けることが、さらなる信頼関係を築くために重要だ。K社長も、旧支店長をはじめとした協力者に対して、継続的に業績報告を行い、強い信頼を得た。

6.1 旧支店長との信頼関係の維持

後日聞いた話だが、K社が危機に直面していた頃、メインバンクの支店長が異動していたという。しかし、旧支店長は新支店長にK社の状況を詳細に引き継ぎ、その後もK社の経営状況に関心を持ち続けてくれた。

6.2 継続的な報告の重要性

取引銀行だけでなく、異動した旧支店長にも毎月欠かさず業績報告を続けていた。

その誠実な姿勢に、「ここまでしっかり報告してくれる会社は他にない」と言われるぐらいにならないといけない。このようなコミュニケーションの継続が、信頼関係を一層深める要因となった。

社長の誠実な対応が、さらなる信頼を築き、会社を支える強い基盤となる。

まとめ

危機を乗り越えるための経営者の行動は、単なる計画や予測を超えて、実行力と信念に支えられた判断が求められます。資金繰りの立て直し、営業活動の全力投入、そして信頼関係の構築と維持は、企業の存続を支えるために必要不可欠な要素です。社長自らが積極的に行動し、スタッフや取引先との信頼を深めていくことで、企業は再び立ち直り、さらなる成長を遂げることができるのです。

やることチェックリスト

  1. 社長自ら資金繰りを管理する
  • 資金繰り表を自分で作成し、現状を正確に把握する。
  • 経理担当者との連携を強化し、必要な数値やデータを指示する。
  • 計画に基づき、不足分を特定し、資金調達方法を具体的に計画する。
  1. 利益計画に基づいた資金繰り計画を立てる
  • 利益計画を基盤にした資金繰り計画を作成。
  • 売上高の目標と収支バランスを逆算し、必要な資金を確保する方法を決定する。
  • 銀行と事前に相談し、可能な限り多くのシナリオを準備する。
  1. 銀行との信頼関係を構築する
  • 毎月の業績報告を徹底し、銀行との定期的な情報共有を行う。
  • 銀行に対して誠実な報告とフィードバックを行い、信頼を築く。
  • メインバンクとサブバンクに対して、具体的な支援をお願いする計画を立てる。
  1. 危機時の営業活動に注力する
  • 新規受注獲得のために全力で営業活動を行う。
  • 営業活動に専念し、社員にその責任を負わせないようにする。
  • 新規得意先の開拓に集中し、売上の立て直しに努める。
  1. コミュニケーションを継続的に行う
  • 取引先や金融機関に対して定期的に業績報告を行う。
  • 信頼関係を深めるために、感謝の意を忘れず、情報共有を欠かさない。
  • 支援してくれた関係者に対して感謝を表し、継続的に報告を行う。
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