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過当競争緩和の手をうつ

K社はコンクリート二次製品を扱うメーカーであり、不況期の厳しい競争環境に直面していました。

特に、安値受注のみで顧客を奪うライバル会社の存在が、K社の事業部門に大きな影響を及ぼしています。

そこでK社からは、こうした状況をどう打開すべきか、私に相談がありました。

目次

不況期におけるK社の競争課題

K社はコンクリートの二次製品を扱うメーカーである。私が訪問した時は、ちょうど不況期にあたっていた。K社にはいくつかの事業部門があり、その一つにフッ素樹脂塗装部門があった。

その部門が抱えている現在の悩みは、ライバル会社の安値受注によって仕事を奪われていることだった。その価格は実勢価格の半分という破格で、競争が激化している。

K社からは、「どうすればこの状況を防げるか」という相談を受けた。

ライバル会社は小規模企業であり、受注促進活動を行う能力も発想もなく、ただ安値を武器にしてK社の得意先を奪っているのだという。

とはいえ、K社が対抗して値下げをすれば、価格競争の泥沼に陥るだけであり、これは避けるべきだ。そこで、私が提案したのは、別の手段でこの問題に対処する方法であった。

価格競争の回避策:下請化の提案

私が提案したのは、K社がライバル会社に対し「応援」という名目で、実勢価格の2割引の価格で注文を出すという方法だった。

この価格であれば、実勢価格の半分で仕事を受注しているライバル会社にとっても十分に魅力的なはずだ。

この方法でも、K社は実勢価格の2割分の利益を確保できるため、引き続きこの価格で仕事を発注すれば、ライバル会社は競争相手ではなく、K社の下請けのような立場に収まることになる。

この作戦を成功させ、安定的に継続するためには、K社の販売能力をさらに向上させることが重要だ。

景気が回復し、もしライバル会社がK社からの仕事を断るようであれば、今度はライバル会社よりも安い価格で受注し、競争の糧道を断つ構えである。

しばらくして状況を確認してみると、ライバル会社はおとなしくK社の下請けとなり、安定した関係が築かれているとのことだった。

K社本業への戦略応用

そこで私は、「K社の本業であるコンクリートの二次製品についても、同様の戦略を試してみてはどうか」と提案した。

K社にはゼネコンから物件を直接受注できる規模があるものの、不況期には小規模な会社が規格品のブロックを非常に安価でゼネコンに持ち込み、K社もその対応に苦慮していたからである。

K社には、競争相手となるうるさい小規模会社を二〜三社程度抑え込むだけの力があるのだから、この戦略を実行すべきだ。

そのためには、会社全体として一貫した市場戦略を確立し、計画的に取り組むことが必要である。

市場戦略の欠如がもたらす影響

どの会社も同様に市場戦略の欠如が目立つ。こうした高度な視点を軽視し、社長が生産能力の向上や原単位の切り下げといった従来の取り組みにばかり関心を寄せているようでは、業績の安定も向上も望めないだろう。

低収益受注に対する経営改善の必要性

K社では、大手の土木業者から粗利益率わずか5%という非常に低収益の製品を受注しているにもかかわらず、何の対策も講じられていなかった。

このような状況では、「社長不在」と言われても仕方がないだろう。

まとめ

K社が不況期の価格競争に打ち勝つためには、短期的な値下げではなく、競合相手を自社の下請けにするなどの戦略的な対応が重要です。

さらに、この戦略を本業にも応用することで、競争優位性を確立し、不況期でも安定した業績を維持できる基盤を築くことが可能です。

K社が本質的な市場戦略の確立に取り組み、長期的な視点で経営の強化を図ることこそが、今後の成長に欠かせない要素となるでしょう。

過当競争を緩和し、収益性を守るためには、K社のような企業も、単に価格競争に巻き込まれるのではなく、次のような戦略的な手を打つことが重要です。

過当競争緩和の戦略

  1. 競合企業の下請化
    K社のライバル会社に対して、自社よりも安い実勢価格で直接対抗するのではなく、適正価格から二割引き程度で仕事を依頼しました。これにより、K社は価格競争を回避しながらも競合企業の下請化に成功し、自社の安定した利益を確保しました。この方法は、競合企業を無理に排除せず、協力関係に取り込む形で過当競争を緩和する手法です。
  2. 自社の販売力強化
    K社の販売力を強化することで、景気回復後も安定的に市場をコントロールできる体制を築きます。万一、景気回復後に競合が再び値下げ競争を始めた場合には、K社が適度な値下げで対抗し、競合企業の収益を圧迫する形で市場を安定化させます。
  3. 市場戦略の導入と価格調整の積極的活用
    K社が本業のコンクリート二次製品についても、小規模業者が不況期に低価格で参入してくることを防ぐために、同様の下請化戦略を導入することを検討します。競争相手に対しても柔軟に価格を調整し、収益性を守りながら市場シェアを確保するのが目標です。
  4. 粗利益率の低い仕事の見直し
    特に粗利益率が非常に低い案件については、戦略的な判断が欠かせません。どの案件が本当に利益をもたらすのかを見極め、不採算な仕事にリソースを割かずに、安定した収益を確保できる案件に集中することが、経営安定化には必要です。

K社の例に見るように、競合と正面からぶつからずに、競合企業を「下請化」する柔軟な戦略で過当競争を緩和することは、収益の安定と市場支配力の確保につながります。

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