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会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は どんなことがあっても生き残る、 と腹を決めてじる

経営者にとって一番大事なことは、「どんなことがあっても会社はつぶさない」と腹を決めていることです。

しつこいようですが、中小企業経営者にとって、会社がつぶれることはイコール人生の終わりだからです。会社を経営することは、それだけのリスクを背負うということもしっかり認識してください。

私のところに相談にこられる方の10人に1人くらいは、かなり切羽詰まった状況であるにもかかわらず、それほど深刻な様子ではないのです。

「このままでは1、2年で行き詰まりますよ」と指摘すると、「最後は自己破産すればいい、と腹はくくっています」などとあっけらかんとした表情でいう方さえいます。

こういう方には、自己破産は「借金を返さなくてもよくなる、ありがたい方法だ」と思い違いをしているのでは、といいたくなります。

自己破産に関するサイトを見ると、「裁判所に自己破産を認められれば、返済する必要がなくなる債務手続きの最終手段です」とあり、自己破産のデメリットとしては、住宅ローンをはじめとするローンが組めなくなる、クレジツトカードを使えなくなる、程度のことしか書いてありません。

借金を棒引きしてもらつておいて、それほど大きなデメリットはない、などということが本当にあるでしょうか。

弁護士が破産手続きをすすめるのは、簡単に処理できる仕事だからです。破産から復活して事業を大成功させた事例はほとんどないのです。それほど制度的、精神的にきついものだと認識するべきです。

破産してから後悔する経営者は多いのです。

現在、企業がおかれている状況はかつてないほど厳しいものです。「まえがき」でも書いたように、起業した会社のうち、5年後、存続しているのはたった15%程度です。残りの85%前後はつぶれるか、自主廃業に追い込まれてしまうのです。

でも、どんな苦境に立っても、経営者が「絶対に生き残っていく」と腹を決めていれば、生き残りの道は必ずあると私は信じています。

百田尚樹著『海賊とよばれた男』は、出光興産の創業者。出光佐三をモデルにした小説ですが、書かれていることはほとんど事実に即しているそうです。

私が特に感銘を受けたのは、太平洋戦争終戦後の佐三(小説の主人公の名前は、国岡鐵造)の経営者としての姿勢です。

戦時中、中国や満州で盛んに事業をしていた出光は敗戦でそのすべてを失います。しかし、佐三は「社員は家族だ。苦しいからといって家族は切れない」といって1000人もの従業員を雇い続けたのです。

そのかわり、「仕事ならなんでもする」といい放ち、石油の仕事がない間、まったく経験のないラジオ修理を引き受けたり、旧海軍の燃料タンクの底の残油をすくい出す仕事など、なりふり構わずやったのです。

ラジオ修理は全国の200万台を修理するという大変な作業でした。残油をすくう仕事はすべて入力でしなければなりません。GHQが日本の石油会社が油の取り扱いを再開するための条件として、突き付けた困難で屈辱的な仕事だといってもよいものです。

しかし、佐三は会社をつぶさず、社員を雇い続けるために、これらの仕事を引き受けます。そして、つらい仕事に耐える社員に向かって、「みんな、国岡商店(小説のなかの社名)は必ず立ち直る。そして日本も必ず立ち直る」と大きな声でいいます。

佐三のように、どんなことをしてでも会社はつぶさない。経営者としての腹の決め方を知るためにも、この本はぜひ一読をおすすめします。

アメリヵでは若者が積極的に起業するのに、日本の若者は自主独立の精神に乏しい、とよく指摘されます。しかし、アメリカと日本の起業力の差は社会の制度の差も大きく関係しているのです。

会社を倒産させると、日本ではほとんど再起不能。 一方、アメリカではむしろ再起可能な法制度が敷かれています。

アメリカ大統領に昇り詰めたドナルド・トランプは不動産王として知られていますが、これまでになんと4度も自ら経営する会社を倒産させています。最初の破産は1991年で、その後92年、2004年と続き、最後は2009年。 一時期は9億ドルもの借金を抱えていたトランプは破産後8年で復活、ついに大統領になりました。

もちろん、トランプのすさまじいまでの精神力があってのことですが、再起が可能な国だからこそ、できることです。

日本は失敗を許さない制度で、アメリカは失敗を生かして再チャレンジできる制度というわけです。

現状では日本では、会社をつぶしたら万事休す―・だということを、胸にしっかり刻み込んでおかなければなりません。

▼どんな仕事をしてでも生き残る。会社をつぶしたら終わり!

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