一時期、ラーメンブームといわれたころ、私のもとにも、「いま、ラーメンブームでしよ う。私もラーメン屋を開業したい。
ラーメン屋といっても1店舗では終わらない。
ゆく ゆくは全国チェーンにして、そのラーメンチェーンを起爆剤に、いろいろな飲食業を経営して、食のコングロマリット(複合企業)を目指したい」と相談にこられる方が相当数いました。
なかなか立派で壮大なビジョンのように聞こえます。でも、こういう人に限って、や がて失敗し、業界を去っていくことになるのがオチ。
ブームを追いかけて、成功した人はいません。なぜなら―フームは必ず去るからです。ブームといわれ、人が騒ぎ始め、行列ができるようになったときはすでにブームのピーク。水面下では、下り坂に足がかかり始めています。
そこから追いかけても―フームの 陰りとともに、衰退の道を歩んでいくだけです。
これまでにもラーメン業界には、他には例を見ない野菜てんこ盛りのラーメンを考案 した「ラーメンニ郎」や、とんこつスープを東京にもち込んだ「なんでんかんでん」な ど、 一時代を築きあげたラーメン屋がありました。
しかし、ラーメンで年商数億円を稼ぎ出していたこれらの店も、いまは「家系ラーメ ン」に人気を奪われてしまっています。
ブームや流行はいつか陰り、早足で去ってしま うことが、あらためて身にしみます。ブームだからやりたいではなく、試行錯誤を繰り返した結果、絶妙のスープができた。
このスープを使ったラーメンの味は絶対ほかには負けないおいしさだ、これを1人でも 多くの人に食べてもらいたい、こうした動機からラーメン屋を立ち上げれば、ブームと は関係なく、長く繁盛するラーメン屋になる可能性は大きいでしょう。
かつて、生キャラメルの大ブームで大きな話題になった北海道の花畑牧場。
いくら補充しても、補充するそばから売り切れになったというほどのブームになった生キャラメルはいまではいつでもすぐに買える商品になっています。
一時期、この牧場は倒産したという噂まで流れたものでしたが、実は現在は生キャラメルの大ブーム期以上に繁盛しているそうです。
あの熱狂的といいたいような大ブームと、それが去っていくときの引き足の速さを痛 いほど経験した牧場経営者は、現在、その経験を生かして、スイーツやチーズ、クオリ ティの高い豚肉やその加工品など、多様な商品展開に切り替えています。
販売展開も、生キャラメルに次いで、次々発売されているオリジナルスイーツ類の一 般販売と安定的。大量購入が約束されている業務用需要の掘り起こしなど、多面展開に シフトしています。いま、この牧場のスローガンは、「ブームを起こさないこと!」だそうです。
▼ブームはいつか去る危険なものだと理解する。
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