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会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は 捨てる勇気をもつ。

1人で、あるいはごく少人数で立ち上げた会社をここまで大きくした……。その達成感、満足感ははかりしれないものでしょう。

あるいは、何代にもわたつて受け継いできた会社。こうした会社を率いているという誇りも、他人には想像もできないほど大きい ものだと思います。

ところが相談者のなかには、そういう会社でありながら、いえ、そういう会社だから こそ身動きがとれなくなってしまい、どうしたらよいかわからなくなって、私のところ に助けを求めてこられる、そんな方が少なくないのです。

事情を聞かなくても、その理由はわかります。

しかし、私は、展開している事業の1つひとつについて、じっくり腰を据えてヒアリングしていきます。

人に話すことによっ て、自分が抱えている問題をあらためて整理できることが多いからです。

このヒアリングの結果、ほとんどのケースで、かつては繁栄の基盤であり、その企業の誇りであったものの、いまでは利益は生んでいない、あるいは赤字をたれ流している ……。

つまり、現在ではただの「お荷物」になっており、経営の足を引っ張っているだ けの事業や資産を抱え込んでいることが明るみに出てきます。

経営が順調で、そうしたクお荷物クを背負い続ける余力があるならいいのです。でも、 現状は、身動きがとれなくなるほど追い詰められている。

こうした場合は、なんとしてでも「お荷物」を切っていかなければいけません。長年、その企業を支えてくれた事業や資産であれば、こだわりがあることもわかりま す。

プライドが許さないという気持ち、周囲に対する意地もあるでしょう。

しかし、赤字事業はどんどん切り捨てて会社を健康体に戻し、維持。発展させていく ことが経営者の責務なのだと腹をくくらなければいけません。

事業にもク旬″があり、賞味期限もあります。それが過ぎたものは潔く、ばっさり処分しなければいけないのです。

事業を続けていくためには、賞味期限が過ぎる前に手を打ち、変革・革新を続けてい くことが求められるのです。賞味期限が過ぎた事業を捨てる覚悟と度胸がないようでは 経営者失格です。

私が大きく展開していた不動産賃貸業にヒビが入ったのは、阪神・淡路大震災で40 億 円の損害をこうむったことからでした。

経営に問題があったわけではない自然災害。し かし、嘆いているヒマはありません。すぐにでも再生を始めなければ、家族や従業員が 暮らしていくその日のお金にも困ります。

国や自治体もそれなりの優遇措置を講じるなどの手はさしのべるものの、損害からの再生は最終的にはすべて経営者の肩にかかつてきます。

企業を経営していれば、こうし たことも起こり得るのだと痛いほどに思い知らされました。その再生の過程で私が取った策も″大手術をする″ことでした。

事業再生のためにあ らためてチェックしてみると、創業者である父の思い入れや意地で保有していた事業や いまとなつては不要となつた事業もたくさん抱えていることがわかつたのです。

しかし、父は、どれ1つ手放したくない、やめたくないといい張ります。

手塩にかけて育ててきた事業ですから、その気持ちも十分すぎるほどわかります。

でも、そのまま放置していたら、健全経営が成り立っている部門まで不採算部門が侵 食し、最終的には倒産することが目に見えていました。

そうなれば一家は破滅です。 そこで、私のやり方に邪魔をするなら「破産申請」を出すといって父を納得させ、思 いきって大ナタをふるいました。

そのおかげで、なんとか家族のその後の生活まで破た んするような事態を防ぐことができたのです。

船井総研の小山政彦前会長は「社長の決断で最もむずかしいことは捨てることだ」 といっておられます。逆にいえば、捨てることができて初めて、本物の社長だといえる ということです。

▼賞味期限切れの事業や資産を捨てるタイミングを見失わない。

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