取引する金融機関は、ある意味で、あなたの会社の運命を握る存在になるといっても 過言でないほど、企業経営には重要な意味をもっています。
それはわかっている、しかし、金融機関はどこも表通りに立派な支店を構えていて、 外見だけではどこがいいのか選べない、と悩んでいる方もいるでしよう。
取引金融機関を選ぶ場合、 一般的な選択基準は、「有名銀行だから」「会社の近くにあ るから」というあたりでしょうか。
金融機関の「借入実績」を示す数値に「預貸率」があります。金融機関の一番の収益源は、顧客から集めた預金を貸し出し、金利の差で利益を得る ことです。したがって、預金残高のより多くを貸し出しに回している金融機関のほうが 収益力は高いことになります。
「預貸率」は集めた預金のうち、どのくらいを貸し出しているかを示す数字です。
預金 残高が1兆円あり、そのすべてを貸し出しに回していれば、預貸率は100%です。
とはいえ、100%貸し出しに回してしまうと、預金を引き出しにきた顧客に対応で きなくなるので、理屈のうえでは、預貸率は100%以下、80 %とか90 %というあたり がいいわけです。
しかし、昨今は消費者の将来不安から預金は増え、一方、設備投資の冷え込みなどから貸し出し需要は伸び悩み、預貸率は100%を大きく下回っているのが実情です。
現在、全国の銀行114行の預貸率は平均で66 ・47 % (東京商エリサーチ 2017年3 月期決算)で、ここ数年、預貸率は年々低下傾向にあります。
金あまり時代で設備投資 資金需要などが落ち込み、金融機関はどこも預貸率を高めなければならないと懸命に なつています。
これは借り手から見れば、融資を拡大する大きなチャンスだといえます。各金融機関の預貸率などの数字はネット検索で簡単に調べられます。
預貸率はまた、その金融機関が貸し出しに積極的であるかどうかを示す目安にもなり ます。貸し出しに積極的な金融機関は預貸率が高くなり、反対に貸し出しに慎重な金融 機関は預貸率が低くなるわけです。
私は、預貸率が60 %を切る金融機関は融資に積極的ではないと思っています。こうした金融機関と取引しても将来性はないので、私は最初からおつき合いしないよ うにしてきました。
ちなみに残りの預金残高は債券や株式で運用して利益を得るようにしています。
各金 融機関がより効率のいい運用に奔る傾向が強まったこともあって政府は貸し出し需要を より盛んにするように促し、最近はようやく貸し出しを増やす傾向が見られます。
いずれにしても、これからは経営者自身がさまざまなデータを把握して、自社に最も ふさわしい金融機関を自ら選別する能力が求められている、といえるでしょう。
金融機関の選定で会社の将来も変わることを知っておいてほしいものです。
▼データを集め、信用できる金融機関を自分自身で腰師朧暖瞑
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