MENU

□抜けた穴

あなたの会社は今まで、新卒採用と中途採用のどちらを主にしてきましたか?あなたの会社の規模によりますが、おそらくこれまでは「中途採用のみ」が多かったのではないでしょうか?

成長が順調な会社ほど、「中途採用と新卒採用の両方」をしています。

しかし、社員数が少ない会社は、中途採用のみをすることが多く、その理由として、

  • 「うちの会社は教育体制がととのっていないから、新卒採用をするのは早い」
  • 「現場が人手不足なので、来年四月まで新卒の入社を待てない」
  • 「新卒が入社して育つまで待てないので、即戦力を採用したい」

などがよく言われることです。そして、企業が中途採用をする理由は、ほとんど左記のようなものです。

  • ①仕事が増えて忙しくなってきたので、人員を増やしたい。
  • ②退職者が出たので、欠員補充をしたい。

ここで、気をつけなければいけないのは、「②」のケースです。

退職による欠員補充の場合は、退職者の退職理由が重要となります。それでは、実際に退職者の主な退職理由を見てみましょう。

  • ・在職中から転職活動をしていて、次の転職先が決まっている「転職退職」
  • ・次の転職先が決まっていないが辞める「決断退職」
  • ・肉体的や精神的に長期療養が必要になる「療養退職」
  • ・結婚を機に退職する「結婚退職」・親の介護などで退職する「介護退職」
  • ・入社後一年未満で退職する「早期退職」

などさまざまな理由があるでしょう。

しかし、注意しなければいけないのは、中途採用をする際、「抜けた穴」を埋めようとして採用活動をおこないがちであるということです。

背に腹はかえられない状態ですから、新しい人を採用することだけに意識が向きやすいのです。

あなたは今、「新しい人の採用に意識を向けるのは当たり前じゃないか?」と思いませんでしたか?もし、そう思ったのであれば、気をつけてください。

採用で失敗しやすいのはこの「欠員補充」です。私はなにも、補充採用をするなと言いたいわけではありません。

採用で失敗しやすいポイントは、「欠員補充」つまり、〝抜けた穴を埋めることだけに意識が向く〟ことが危険だと認識してほしいのです。この思考で多くの企業が失敗しています。

はっきり言いますが、「抜けた穴を埋める」だけでは、「社員が辞めていく」という本当の問題の、根本的な解決にはなりません。

ところが、多くの企業が、社員が辞めていくことに関して原因を深く追究せず、次の人材を確保することだけに意識が向いてしまいます。

このように、人が辞めた原因を改善しないまま次の人を入れると、結果として次に採用した人が早期退職をしたり、他の既存社員が辞めて、さらなる採用活動をすることになります。

ここまで書くと、もう気づいているかもしれませんが、この問題に関して、まず意識をしないといけないのは、「欠員」が起きた原因を解明することです。それが最重要課題ともいえます。

例えば結婚するので退職したいという女性社員がいるケースなら、「結婚退職だから仕方がない、だから今度は結婚で辞めない男性を採用したい」と短絡的に考えてはいけません。

正しい思考としては、今の会社が、「結婚した後も、女性が働き続けたい職場ではなかった可能性がある」ということに気づくことです。

上司や人事担当者が「配偶者に充分な収入があり、専業主婦になってほしいと言われたのだろう」などと、退職の理由を勝手に決めつけてしまうと、自社の問題点の改善はできません。

また、精神疾患による長期療養を理由とした退職者が出た場合など、「次はストレスに強い人を採用したい」と経営者が考えたとしましょう。すると今度は新しく入社した人か、社内の別のスタッフが精神疾患になるかもしれません。

この場合、「もしかしたら、上司や職場環境、仕事のやり方に問題があるのかもしれない」という危機意識を持つと、社内の問題に気づくことができます。

次に、退職理由が、「転職などによる退職」の場合は、一言で言えば、自社より他社のほうが魅力的だったからです。そして、「次が決まってないのに退職した」場合は、社員は一刻も早く、その会社を辞めたかったのかもしれません。

入社後すぐに退職した場合にも、「今度は辞めグセがない人を採用したい」と考えるのは間違いです。そのような場合は、採用のやり方そのものが間違っていたと考えるべきです。

このように、人が辞める本当の原因を見ようとせず、反省も改善もせずに、辞める人だけに責任を押しつけ、すぐに次の採用に目移りしていては、また同じことが繰り返されます。

そして、その会社はやがて人材の〝自転車操業〟となり、定着率が悪いため永遠に採用活動を続けるのです。

そうならないためにも、抜けた穴を埋めることではなく、抜けた理由に目を向ける意識をもつことをおすすめします。

【■POINT■欠員補充をするときは、まず「会社に欠員が出る理由」を調べ、採用の前に必ず社内改善をおこなうこと。】

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次