私が直接、お手伝いをしたお客さまと、採用に失敗し続ける会社には大きな違いがあります。その違いは会社規模とか社長の経営能力とか、おこなっている仕事が魅力的かどうかなどではありません。
それは、「ここまでするんですか?」と限界に対する意識の違いです。
弊社は、採用コンサルの契約依頼があっても、受託基準がありお受けできないことがあります。
いなだ式採用術(感情採用)は応募者が日本語を読める人であれば業種や職種などは関係ないので、受託基準は、職種などではなく「経営者の意識」や「社員への思い」に関するところです。
たとえば、「採用にここまでする必要はない」というラインをどこに置いているかで見ています。お金をかけるかどうかではなく、意識の問題なんです。わかりやすくするためにちょっと質問をします。
「採用は会社の将来を担う仲間を迎え入れる大切な仕事だ」と思っているA社と、「採用は目の前の仕事をさばくために人手を補充する仕事だ」と思っているB社。
あなたが応募者ならどちらの会社に入社すると幸せになると思いますか?当然、A社ですよね。これでB社だと答える人は自分を痛めつけたい、かなりマゾ的な人だと思います(笑)。
これからもわかるとおり、応募者は自分を大切に扱ってくれる(正確には扱ってくれそうな)会社を選びます。
B社のような採用意識を持つ会社は、従業員満足度が低い傾向にあるため、いい人材が集まるシステムが機能していません。
結果として急な退職やトラブルが多く、人材に関して労力やコストがかかっています。
私としてもそういった会社のお手伝いをしたくないですし、もし手伝ってしまったら、不幸な応募者を増やすだけになります。
これは弊社の企業理念に背くことになるので受託できません。
このA社とB社を分けている意識の違いが、先ほどご説明した「採用に対して労力をつぎ込む限界をどこに置いているか」です。
この意識の差が採用の成否を決めます。そうです。この限界が低い会社は採用に成功しないのです。
逆に言うと、この限界が高い会社は、正しい知識とノウハウを導入するだけで採用に比較的楽に成功します。
たとえば、「採用で失敗しないためには実技試験を必ず実施して、面接では見られない所を確認することが重要です」こう私が言ったとして、もしあなたが、「そこまでするの?」と思ったら危ないですよ。
採用の失敗に片足を突っ込んでいます。
この場合、成功する思考と正しい質問は「どうやって実技試験をやればいいの?」だと思いませんか?実技試験の導入方法は思ったより簡単です。
- パソコンを扱えることが必須であれば、課題を与え、パソコンを使って三十分で資料を作ってもらう。
- 接客業なら、接客のロールプレイングをすればいいのです。
- 料理人なら厨房で包丁を握ってもらいます。
- 経理なら、経理ソフトを触ってもらいます。
- トラック運転手ならトラックを実際に運転してもらう。
などなど。
要は実際の仕事内容に即した自社オリジナルの実技試験を入れるだけです。
やれば驚くほどの情報が入りますし、やらなければ入社後に「あれ?こんなはずでは」と後悔する。採用の成否を分けるのはこういったことなんです。
もう一度、採用で失敗したときの損失を考えてみてください。
失敗しないためであれば、採用に全力を尽くした方がいいと思いませんか?ただし、会社側が求めるだけではなく、「社内見学」や「先輩社員と話す機会をもうける」など応募者からも会社のことを判断できるよう全力を尽くしてくださいね。
採用に関して「ここまでするんですか?」という考えには気をつけましょう。
第四章のまとめ
①採用基準だけがあっても採用に成功しない。その採用基準を実際の行動に落とし込んだ選考フローを確立する必要がある。
②書類選考の重要性を理解し、正しいやり方を自社に導入することで、面接時の精度が上がる。
③面接シートの重要性を知り、自社に導入することで人材採用の精度は格段に上がる。面接シートがなければ、面接などしてはいけない。
④適性試験を導入しよう。
⑤面接官の教育がなければ、どれだけ良い仕組みを作っても運用されない。
⑥採用活動は導入段階から現場を巻き込んで、会社としてよりよいものを作っていこう。
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