涙と共感を織り交ぜながら、『黒字浮上!最終指令』のすべてを読み終えたとき、そこには筆者の思い込みとはまったく違う、MBOSの輪郭が現れた。上司と部下とが一対一で面接し、「何を目標にするのか、どこまでやるのか?」をお互いに納得するまで話し合い、そのプロセスでヤル気を高めていく。それがMBOSだと思っていたが、そんな短絡的な場面はどこにもない。繰り返し出てくるのは、人間同士の心と心の触れ合いが仕事の成果を上げるための問題意識と問題解決意欲を高めていく、という情景である。どうも様子が違う。MBOSの実践には、自分の知らない奥深い世界があるようだ。いくつかの印象的な場面が脳裏に焼きついて離れない。その場面を何度も何度も反芻し、そして考えた。著者は何を訴えようとしたのだろうか。もう一度、読み返す。矢も盾もたまらずに、著者に会いに行き、そこから押しかけ弟子の人生が始まった。これが、筆者をMBOSの虜にするきっかけとなった出来事である。もしも、この本との出会いがなければ、これほどまでMBOSにはのめり込まなかったであろう。ノウハウの蓄積もままならなかったのではと思っている。本書の背景には、間違いなく、『黒字浮上!最終指令』の世界が存在するのである。その黒字浮上の物語の所どころを借りながら、もう一度、第2章から第4章までのエッセンスを復習し、若干の補足説明をしてみたい。
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