『黒字浮上!最終指令』の物語の随所には、「哲学の必要性」が説かれている。確かにそうだ。マネジメントに際しては哲学が必要だ。哲学とは「深い思索と経験から導き出された〝信念〟」であり、リーダーに哲学がなければ、言動はブレやすく、人々の信頼も得にくくなるだろう。沢井社長の哲学は明快だ。「共生の哲学」である。「会社というものは、人類をより幸せにするために、人間によってつくられた1つのシステムなのだ」という企業観から説き起こし、「〝人間が会社に従属する〟のではなく、会社と働く人々が〝共生の関係〟を構築することが大切だ」と従業員に訴える。従来、会社は業績向上の手段として従業員を見ていたが、それは間違いだ。確かに、人は「会社のハッピー」を実現するための経営資源の1つには違いない。しかし、モノでもなければカネでもない。生身の人間であり、この世から消えるまで「ハッピー」を求めて生きている。辛いことや悲しいことがあったとしても、ときどき訪れるハッピーが薄めてくれる。ハッピーなしには生きられないのが人間である。このような考え方に立脚し、会社のハッピーのみならず、働く人々の働きがいも真剣に追い求め、「ともにハッピー」の状態を実現すること。それが共生の哲学である。
目次
コメント