メンバーの責任感の醸成には、仕事ぶりのフィードバックも有効である。チャレンジ目標のDoの過程では、メンバーは日々、さまざまな努力をするが、それが正しい方向に向かっているのかどうか、ときどきチェックが必要だ。いちばん理想的な状態は、何らかの仕組みを使った「メンバー自身によるセルフ・チェック」である。たとえば、営業マンの場合には、個人別の営業効率分析表などが月に1回程度、配布される会社もあるだろう。そこには営業活動の結果が、さまざまな切り口で、数値で記載されている。当初計画との差異や他の営業マンとの比較もできる。こうしたものがフィードバック情報であり、それを手掛かりに、営業マンは自分の活動のあり方を自分でチェックできる。このようなセルフ・チェックの仕組みの改良や運用方法に工夫を凝らすのが、リーダーの役割である。ただし、セルフ・チェックの仕組みがあってもうまく機能しないこともある。フィードバック情報に反応しないメンバーがいたり、また、営業効率分析表などではカバーしきれないフィードバック情報が存在するからである。たとえば「周囲の人たちの期待に応えた仕事ぶりになっているかどうか」などの情報はセルフ・チェックの仕組みに乗りにくい。そんなとき、リーダーは口頭によるフィードバックを試みるといい。一般的に、リーダーが口頭でのフィードバックの必要性を感じるのは、ネガティブなことを伝えたいときだ。フィードバックする方もされる方も、相当しんどいコミュニケーションであり、双方とも、できれば避けて通りたい、そう思うのが自然である。しかし、人間には自分ひとりでは気づきづらい領域が存在し、それが仕事の支障になるならば、なるべく早い段階で気づきを得るのが望ましい。だから、リーダーもメンバーも避けたい気持ちを乗り越えて、フィードバックに臨んでほしい。
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