◆ナンバー2の仕事は「社長の方針」の即実行!ナンバー2の役割は「社長の言うこと」を誰よりも早く実行することです。この役割については、社長もナンバー2も肝に銘じておくべきです。社長が間違ったことを言っても、それを即座に実行する。それがナンバー2です。世間では、社長が間違ったことを言ったとき「社長、それは違います!」と言えるナンバー2が大事だ、なんて話を聞きますが、そんなものうまくいくわけがありません。これを言うと、再びみんなが「じゃあ、小山社長はイエスマンをナンバー2にするべきだと言うんですか?」と首をかしげますが、「当然です。イエスマンでなければナンバー2は務まりません」と私は即座に、断言します。理由を説明しましょう。まず、決断するのは社長の仕事です。この役割は誰にも委ねてはいけません。社長が間違った決断をして、ナンバー2が即座に実行したら、当然業績は下がります。それも、すぐに下がります。そんな状況に直面すれば、どんなバカな社長だって「自分の決断が間違っていた……」「だから業績が下がった……」と気づき、すぐに別の判断を下すでしょう。これが正しい会社のあり方です。しかし、ナンバー2が実行をしないうちから「社長、それは違います」なんて言い出したら、どうなるでしょう。「いや、オレは正しいと思う」「ですが社長、そうは言っても……」などと無益な言い合いをして、ダラダラ時間が過ぎるだけです。それだけ決断が遅れ、どの判断が正しいかもわからないまま、時間ばかりが経過していきます。中小企業において、これは致命的です。社長はとにかく早く決断し、ナンバー2は「社長の言うこと」を誰よりも早く実行する。この関係が崩れている会社は絶対にうまくいきません。◆「社長は正しい判断をしなければいけない」という思い込み多くの人が「社長は正しい決断をしなければならない」と思っています。多くの社長、ナンバー2、全社員がそう思い込んでいます。しかし、その発想自体が大間違い。そもそも、毎回正しい決断ができるわけがないからです。たいていの判断は、お客様・ライバルがいるからやってみなければわからないものです。まして、たいした経験もない社長が、最初から「全部正しい決断をしよう」なんて無
理な話。そこを誤解してはいけません。男女関係と同じように、人生で最初につき合った人と結婚し、夫婦生活を長く続けていける人などそうそういません。みんな、なにかしら失敗して、恋愛を学び、何度も失敗して、やっと「うまくいく方法」を身につけていきます。灼熱の恋愛で結婚した人より、お見合いで結婚した人のほうが離婚が少ない。社長だって同じです。ロクな経験もないうちから「すべて正しく判断をしよう」と考えること自体が間違いです。やってみて失敗して、そこから学んでいく。経営は、それでしか学べません。つまり、社長に必要なのは「正しい決断」ではなく、「早い決断」です。早く決断して、ナンバー2以下、社員が早く実行する。迅速な実行によって判断の間違いが判明すれば、早く修正して、また早く実行する。ひたすらこの繰り返しです。体験・経験をすれば、中小企業の業績は確実に上がっていきます。逆に言えば、これができないから、多くの企業は業績が上がらない。◆人は「経験していないこと」を考えることはできない社長が何かを決断するとき、「よく考えてから判断する」と、ときどき耳にします。「よく考えるのはいいことだ」と一般的には思われがちですが、私に言わせれば考えるとは「過去に経験したことを思い出している時間」のことです。今度、初めて旅行でパリに行くとなったら、まずあなたは何をするか。きっと多くの人がパリのことをインターネットで調べる。これこそ「考えることができない」証拠です。あなたはパリへ行った経験がないため、考えることができず、ネットで調べる行動を取る。パリへ行ったことのある人なら「前回の旅行で、どこで困ったっけなぁ……」「何を持っていけば、便利だったかなぁ……」「前回はあそこに行けなかったから、今回はぜひ行きたい」といろいろ思い描くでしょう。これが「考える」行為です。つまり、社長として経験したことのない事態に直面した際、原則として「よく考える」なんてことは不可能です。そして、ほとんどは未経験のことばかりです。「考える=時間をかける」だけで、決断の質が上がるわけではありません。だから、即座に決断し、実行する。これが大事です。無駄に時間をかけるより、「決断↓実行」の経験値を一つでも、早く積み重ねる方が
はるかに価値があります。当然ながら、成功する場合も、失敗する場合もある。失敗した場合は、その経験を元に、次の手を考えていく。そうやって経験を積むことでしか「考える」という行為のレベルアップは不可能です。反対に、私が経営サポートの会員企業の社長に瞬時に的確なアドバイスができるのは、多くの失敗の経験があるからです。その会社が直面している状況と同じような境遇を何度も、何度も経験しているから、回答することができ、質のよい判断を下し、アドバイスすることができる。
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