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鉄則23企業の倹約は、何も生み出さない愚策。

目次

◆経営者に家庭的金銭感覚はいらない

社長の仕事は決断をすることです。しかし、この「決断」「決める」のも、経験を積まないことにはなかなかできません。

創業社長なら、会社を立ち上げた瞬間から、とにかく決断の連続です。

「どんな事業をするのか」「誰を雇うのか」「どこにお金を注ぎ込むのか」「場所はどこにするのか」などすべてに決断を迫られる。それだけ決断の経験値が必要です。

しかし、後継者はその経験値が圧倒的に不足しています。

決まった事業を、決まった場所で、決まったメンバーでやっているのを引き継ぐから、それは当然の話です。

こればかりは、さまざまな局面に遭遇し、経験を積んでいくしかありません。

その決断の中で、重要な要素の一つが「お金の使い方」です。

経営サポート会員になり勉強するとしたら、最初に二一〇万円かかります。はっきり言って高いです。

これには理由があって、これだけの「高いお金を払って勉強する」決断をできない社長なら、結局何を学んだって、どんなアドバイスを受けたって無駄です。

社長のもっとも重要な仕事は「決める」ことです。決定ができなければ、何の意味もありません。

社長に、最初の高いハードルを設定している。このあたりの感覚は創業社長と後継者はまるで違います。

創業者なら、会社にお金がなくても、サラ金から借りて会員になります。

実際、入会金が一五〇万円の時代に、アドレス株式会社の高尾昇社長は経常利益五〇万円、不足分はサラ金から借りて入ってきた会社です。

今は年商一二億円、経常利益一億円を超える会社になっています。

私も株式会社ベリーの時代、サラ金から一時お金を借りた苦しい時代もあります。創業者はそういうことができる。つらいが何とかしなければならない。何とかする感覚が身についている。

一方、後継者は違います。二一〇万円のお金を使う決断ができずに、体験入学をしてから二年も、三年も躊躇する人もいます。

「もたもたしている時間の方が余程無駄だろう」と思うが、それだけ「決める」ことは難しいことでもあります。

本書で何度も述べてきた通り、「常に正しい決断をする」なんてことは誰にだって不可能です。

経営はギャンブルと同じで、うまくいくこともあれば、うまくいかないこともあります。一〇回パチンコに行って、一〇回勝てるなんて、誰も思ってない。

それどころか、一〇回パチンコへ行って「五回勝とう」と思っている人は素人です。

武蔵野の社員のギャンブラーは一〇回行ったら、二回勝てばいいです。経営だって、決断を間違うことはたくさんあります。

経験豊富な経営者はそれがわかっているから、「正しい判断」をしようとせず、早く決断する。ここに、経営者としての経験値の差が出る。

◆あえて高い店で飲み、感覚を麻痺させる

よくある笑い話ですが、私は経営サポート会員の社長に対して「そんなことも決められないなら、(入会金の)金を返すぞ」と脅すことがあります。

普通は「金を払え!」と脅すが、「金を返すぞ!」と脅すのが小山流です。

すると、社長は「小山さんに、金を返されたらたまらん」と、大きな投資に踏み切るなど、決断、実行ができるようになる。

経営者(特に後継者)は、金銭感覚を上手に麻痺させることもじつはとても大事な要素です。

経営者として早く決断するために、「お金を大事にしなきゃ」とか「節約しなきゃ」のマインドはマイナスにしか働きません。家庭では美徳でも、経営では悪徳です。

だから、私は会員企業の社長と飲みに行くとき、高い店に飲みに行きます。

地方であれば、お姉ちゃんのいる店へ行っても一人あたり三五〇〇円くらいで飲めるが、東京ではあえて一人あたり二万円の店に飲みに行き、お代はジャンケンで支払う人を決めます。

三人で飲みに行ったら支払いは六万円、二件なら一二万円です。

そんなことを何度も繰り返していたら、感覚が麻痺して、ズレてくる。それが大事です。

経営サポート会員の社長同士の仲が良いのは、社長は孤独ですが、そこに何でも話せる社長仲間がいるからです。会員企業は同地域・同業一社で、何を話してもライバル会社に漏れない。楽しいから会員企業になると付き合う社長の八割が変わります。

『社長!会社を継がせたいならココまでやっておかなくちゃ!』(すばる舎)を出版して第二東京弁護士会・幸村俊哉弁護士・同会事業承継研究会代表幹事(当時)から講演の依頼を受けた。

終了後、雑談の中で同地域・同業一社で揉めないようにしていると話したら、それでは商売にならないと笑っていた。

現在、武蔵野の顧問弁護士をお願いしている。ギャンブラーがなぜお金を使えるかといえば、感覚がズレているからです。パチンコ屋へ行き、機械に一万円を入れて玉がジャラジャラ出てきます。この瞬間に感覚がズレます。

カジノも同じで、何十万という現金だって、チップに交換した時点で完全に感覚は麻痺しています。それともう一つ、彼らがお金を使えるのは「過去の敗戦を忘れているから」です。これも一つの感覚の麻痺です。

最近は、スマホで馬券が買えるなどギャンブルの形が変わってきていますが、あれはダメです。自分が負けた履歴が見えたら、感覚はズレずに、正気に戻る。これはギャンブルの敵です。

経営は「お金を使うときは使う」感覚のズレが必要です。

失敗から学ぶことは大事ですが、「前に投資に失敗したから、これからはしない」なんていう節約や保身発想では、経営者は務まりません。

そのあたりの感覚が、創業者と後継者では根本的に違います。経営者も感覚がズレて一人前です。

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