現代の経営理念における「目標管理」という言葉。多くの企業が掲げ、従業員の自律性を重んじ、良好な人間関係の構築を目指すこのアプローチは、一見、前向きで進歩的な戦略のように見えます。
しかし、本質を見失い、形骸化した「新しい衣をまとった、古い人間関係論」が実際の姿ではないでしょうか。厳しい企業環境の中で生き残るためには、客観情勢の変化に即応し、経営者としての果たすべき責任、それは決して「甘え」に陥ってはならない真実に他なりません。
このテキストでは、そんな現代の目標管理の誤解と、真に企業を成長へと導く道を探求します。
形をかえた人間関係論
目標管理の目的は、「きびしい企業環境に対処して企業が期待する成果を達成するため」です。
- 「目標は公正で納得のいくものでなければならない」
- 「目標はノルマではない」
- 「上から押しつけるのではなく、各人の自発的意志に基づいてたてる」
- 「上下のコミュニケーションによって、良好な人間関係醸成の過程から目標が設定される」
- 「上司が目標を設定する際に部下を参画させる」
- 「目標は各人の能力に応じた適当な高さのものでなくてはならない」
- 「結果はまず本人のチェックによる自己反省が必要である」
最近では、ひたすら部下との人間関係をよくする指導のやり方に終始していることがとても多いです。
自分も最近までそのように考えていました。
しかし会社を始めたときには、自分一人で始め、売上・利益を追求していかなければいけない場面ではそんなことを言ってられないという状態であり、マインドでした。
しかし、人が増えてくるとその感覚が麻痺し、部下との人間関係にフォーカスする様になってしまい、収益性が著しくおちてしまったという経験をしています。
つまり目標管理の概念がいかにも新しく、時代にマッチした考え方のようにみえるだけで、結局それは、厳しく経営するということを放棄して、言い訳しているだけのことです。経営者の甘えです。
現在言われている目標管理は、「新しい衣をまとった、古い人間関係論」がその本質です。
自主設定では客観情勢に対応できず、さらに企業目標にも合致しない
自主設定
目標管理では、「客観情勢の変化に対応する」といいながら、一方では個人の自主的な意志に基づいて設定するという。こんな器用なことができるわけがない。
そもそも、企業体の人びとの関心は、企業体の内部に向けられているのが普通である。つまり、自分に与えられた職務の遂行である。
客観情勢の変化を見きわめて、それを自らの企業に結びつけ、わが社はどうすべきか、その中で自分は何をすればよいか、を考えられるほど広い視野をもち、高い次元で物を考えられる人は、トップ層と、それに近いごく少数の人びとのみに望めるだけにしなければいけません。
客観情勢の変化を理解できるスタッフに幹部以外にいるとすれば、それはとても幸運なことです。
しかし、客観情勢がわかっていない人々に向かって、「自ら目標をたてよ」といっても、それは自分に与えられた仕事についての目標がたてられるだけであって、客観情勢まで検討し客観情勢に対応できる目標が立てることはほぼできません。
そのような目標を全社でたててみても、それは「全社の個人目標の合計」ではあっても、「企業の目標」とは、まったく別のものです。
「個人の能力に応じた実現可能な目標をたてれば、それは客観情勢の変化に応じた目標になる」という「個人の能力に合わせた目標」で企業環境の変化に対応できるのなら、つぶれる会社は一つも存在しません。
結局のところ、きれいごとの目標管理はしょせん経営不在の観念論です。
もちろん、社員に働きやすい環境を準備し、いきいきとして成果を上げてもらうことは大事です。個人目標を否定するものではありません。
ただし、客観情勢を理解した上で、目標を達成するために経営層からトップダウンで、目標を達成しなければ淘汰されてしまうということです。
アクセサリー化した企業目標
目標管理では、個人の目標は、企業の目標から導き出されるとか、一致しなければならないとかいって、企業の目標を設定する論調があります。
企業目標のない個人目標など、ナンセンスものである(むろん、企業目標がなくとも個人目標はある。しかし、それはあくまでも個人の生き方のことであって、企業体のことではない。そして、ここで論じられているのは企業のことなのである)。
個人の目標といっても、企業の目標あっての話です。社長も例外ではありません。個人は、企業目標達成のために必要なのであって、個人目標のために企業が存在しているのではありません。
目標達成の種類
企業の目標達成は、下記に分類できます。
- 企業の目標が達成された上で、個人目標も同時に達成される
- 企業の目標が達成されるが、個人目標は達成されない
- 企業の目標が達成されず、個人目標が達成される
- 企業の目標が達成されず、個人目標も達成されない
「企業の目標が達成された上で、個人目標も同時に達成される」ようにすることが理想です。もちろん、そこを目指し達成していくことが必要ですが、企業の目標が達成されていない上に、個人目標から設定する企業の目標はあってはなりません。
企業経営を行う上で、企業の目標を達成することがまず第一前提、その後個人目標を達成するという順番でなければ、厳しい市場の変動に取り残されてしまい、倒産に向かってしまうでしょう。
まとめ
情勢は常に変化していきます。お客様も、競合他社も、働く人の考え方も、変化していきます。
客観情勢を踏まえた厳しい目標を立てることが経営においては必須です。
さらに達成することはマストです。しかし、注意点としては、法律を犯すのはもちろん、絶対にやっていけないことですが、さらに関わる人すべてを慮らず、自社自己の利益のみにフォーカスしてまで達成していくのは結局のところ破滅の道です。(一つ間違うと、最近でいうビッグモーターのようになってしまいます)
モラルを持った上で、必ず達成するようアクションを起こしていきましょう!
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