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リスクを恐れず実行し、失敗したらまた立ち向かう

目次

安定志向で安定成長している会社はない

高い目標を目指し、高い基準を追求していくと、今までやったことがない新しいことに挑戦をすることになると思います。

新しいことをやろうとすると、人は不安になります。

「本当にうまくいくのだろうか」

「失敗したらどうなるのだろう」

そして不安が心の中で勝利をすると、「会社を危険にさらしたくない」という志向性が、経営方針や意思決定のあり方を支配していくようになります。

これが「安定志向」による経営です。言葉はきれいですが、この志向性は、経営をだめにします。

特に日本人は、「ほどほどがよい」とか「中庸がよい」という思想の美学を持っているため、その美学に適合した、この「安定」といヽ2言葉に弱いです。

この言葉を聞くと、「そうだよな。何ごとも安定していることが一番だよな」と思ってしまいます。

逆に「急成長」といヽ2言葉を聞くと、「あやしい」「危なっかしい」、あるいは「どうせすぐだめになる、すぐつぶれる」というイメージを持ってしまいます。

しかし、これらは事の本質からはずれています。

事の本質は、「最初から安定志向で、安定成長をしている会社はない」ということです。

なぜそうなるのでしょうか。理由は単純明快です。

お客様は厳しいからです。お客様は、変わりばえしない商品やマンネリ化した店に対してお金を使いたいとは思わないのです。

競合もいて、いろいろと魅力的なことを考えては、手をうってきます。

社会もすごいスピードで変化をして、人々が求めるものもすごいスピードで変わっていきます。

顧客も、競合も、社会も静止した世界であるならば、安定志向もありかもしれませんが、そんな世界は存在しません。

現実を直視するならば、経営者はこれらの変化に負けずに、いや、むしろ、変化を機会にするくらいの気持ちで経営をやっていかない限り、お客様に見放され、会社は消えていく可能性があるのです。

経営を知らない人は、思い切った挑戦をする会社に対してよく、「現実を直視していない」と椰楡しますが、このように考えると、安定志向の方がよほど「現実を直視していない」と言えるのです。

「会社を危険にさらしたくない」という志向性、この志向性の方が「会社を危険にさらす可能性が高い」ということです。

経営者というのは、現在そして未来に関して成果を最大化するために存在しています。

その役割を実現しよゝ?と思ったら、挑戦すべきことには、リスクを恐れずに挑戦する。突っ込んでいかなければならないよヽつな時には、思い切って挑戦する。

このことを経営者の心構えとしてしっかり持たない限り、顧客は創造されなくなり、結果として会社は存続しなくなるということです。

リスクのあるところにチヤンスがある

「リスクがないところに利益はない。リスクがあるところに利益がある」。これは経営の鉄則です。どうしてそうなるか分かりますか。

リスクがあるところは、多くの人が恐れて、あるいは大変だと思って、あるいは最初から無理だとあきらめて、あるいは常識に縛られていて、手をつけていないからです。

だいたいが、世の中に「自分だけが考えている」ということはないと思った方がいいでしょう。他にも同じようなことを考えている人はいるはずです。問題は、考えていることをきちんと実行に移せる人が少ないということです。それくらい多くの人がリスクを避けようとするのです。

しかし、逆に見れば、そこが経営者にとってはチャンスなのです。人が手をつけていないということは、自分たちで商売を全部コントロールすることができる、市場で圧倒的に一番になれる可能性がある、そしてそこで生まれる利益を誰かと薄く分けあう必要がないということになるのです。

その反対に、リスクを取らなければ、それらのメリットを手中にすることはできないのです。

リスクは、しっかり計算すること

さて、「リスクを恐れず」と言っていますが、時々誤解する人がいるので、あえて伝えますが、これは「リスクを計算しないで」と同義ではありません。

リスクなんか考えないで無謀をしなさいと言っているわけではありません。リスクは考えて、計算して下さい。

リスクを計算するというのは、「これをやる場合のリスクというのは、本当はどこにあるのか」ということと、

「そのリスクがどれくらい大きいのか」ということを、冷静かつ真剣に考えるということです。

「リスクを計算した結果、実行をやめた」と言っている人の中にはよく、冷静かつ真剣に考えたというよりは、

ただ単に不安や恐れが先に来て、できない理由がたくさん頭に浮かび、それを正当化する論理を構築することを称して「リスクを計算した」と言っている人がいます。

これは計算ではなくて、むしろ思考停止です。

ファーストリテイリングは一九九八年にユニクロ原宿店をオープンする時に、販売する全ての商品を自社商品にすることを意思決定しました。

全商品の自社化を「やる場合のリスク」は、ナイキやアディダスなどのスポーツブランドの輸入商品の扱いをやめるということです。つまり、当時のユニクロにおいて人気だった商品の売上がなくなるというリスクです。

しかし、これをやっている限り、利益幅に限界があります。

また、本当に良い服を世界中のあらゆる人に提供するためには、全部自分たちでコントロールする必要があるのですが、そうした自社ブランドの構築がいつまでたってもできないことになります。

これが、全商品の自社化を「やらない場合のリスク」です。

「やる場合のリスク」と「やらない場合のリスク」。これを天秤にかけるのが、計算をするということです。

「目の前の利益」という尺度でこの天朴を見ると、全商品自社化はやらない方がいいです。売上に貢献している人気商品をわざわざ捨てることになるからです。

しかし、「長期的な利益」という尺度でこの天粋を見ると、違う風景が見えてきます。新しい取り組みが成功すれば、自分たちのブランドの服を着た人たちが世界中の街にあふれ、その利益が全部自分たちのものになるという風景です。

顕在化した時会社がだめになってしまうようなリスク、大きなメリットが見えないようなリスクは取るべきではありません。

しかし、そうではない場合、あとは、「やる」と「やらない」のどちらが自分たちの見たい風景を映し出してくれるかということです。

ファーストリテイリングは、この時、「やるリスク」、すなわち全商品自社化という新しい取り組みを選びました。

結果として、今、その時見たいと思った風景に、近づくことができました。リスクを取った限りは、中途半端にせず、結果が出るまでやりきることもちろん、この場合、最も犯してはいけない誤りは、「新しいことをやるリスクを取って、日の前の利益を捨てておきながら、やると決めた新しいことを中途半端に進めて、結局その新しいことを実現できなかった」ということです。

これだと短期利益も、途中のコストも、そして未来の利益も、全部失うことになります。

ですから、リスクを取ってやると決めた限りは、そのやると決めたことを脇日も振らず、ただもう一直線に、徹底的に、結果が出るまでやりきるということ。つまり、やると決めたことの徹底実行です。これが経営では非常に大事だということです。

成功している会社は、やると決めたことの実行が徹底している会社ばかりです。

結果が出るまでは、何回か失敗することもあります。新しいことをやるというのは、体験のないことをやるのですから、最初からうまくいかない方があたり前と思った方がいいくらいです。

経営者にとって大切なのはそこであきらめないということです。一回や二回失敗したくらいで、めげないようにすることです。

「やっぱり難しかった」

「やらなければよかった」

そんな弱音や後悔が頭をよぎるかもしれませんが、めげないで、失敗の原因を徹底的に検証して、次にどうしたらいいかを考えて、また実行する。

あきらめた瞬間、実行を中途半端にした瞬間、元も子もなくなります。

失敗をすると、責任を取って途中で辞めると言い出したり、謝る人がいますが、失敗の責任を取るというのは、そういうことではありません。

本当に失敗の責任を取るというのは、「最後まで試行錯誤を尽くす」ということ。

そして、「これは本当に失敗だという時は、その原因を徹底的に探求し、学びを得る」ということ。

そして、「それを次に活かして、結果を出すこと」これが失敗の責任を取るということです。

こうしたことができるのであれば、何回でも失敗していいと思います。なぜならその分、必ず成長しているからです。

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