2025年– date –
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運を開くは己の努力にあり
人生において「運」というものが大きな影響を持つことは、否定し得ない。されど、その運は天より降るものにあらず、待って訪れるものでもない。運とは、己の努力によって呼び寄せ、切り拓き、築き上げていくものである。日々を誠実に積み重ね、機を逃さぬ... -
孝の本質は自然にあり
孝とは、親に尽くすことを意味するが、それは決して形ばかりの行為や、力に任せた無理な尽力を指すものではない。その大本にあるものは、自然体で思いを寄せる心にほかならず、過度な義務感でも、外面を繕うでもなく、素直なる情の発露にある。強いて背伸... -
智と徳を併せ持つ実業教育
実業教育においては、単に知識や技能を授けることのみに偏してはならない。智育をもって現実に対応する力を養い、徳育をもってその力を正しく使う心を育むことこそが、教育の真の目的である。智ある者が徳を欠けば、利己に走り、社会を害する危険を伴う。... -
母性と教育の根源力
善良なる婦人の腹から、善良なる子供が生まれる。それは単に血を分けるという意味にとどまらず、母の心・母の品性が、そのまま子の魂を育むからである。また、優れた婦人がその知性と情愛をもって教育にあたれば、そこから優れた人材が育つ。人間形成の基... -
青年の修養と心の学問
青年は、人格を形づくる最も大切な時期にある。この時期にこそ、優れた師と出会い、己の品性を陶冶し、心を磨かねばならぬ。学問とは、単に知識を得るための手段ではなく、むしろ己を正しく導き、世の中に資する人物となるための器をつくるものである。古... -
親の心が子を育てる
子の孝不孝は、単に子の資質や性分によるものではなく、親の在り方によって大きく左右される。親が正しき思いを持ち、敬と愛をもって子を導くならば、子は自然と孝の心を育む。しかし、親が我がままに走り、愛を履き違え、あるいは己の未熟を省みずに振る... -
信は万事の本
商業道徳の骨髄にして、経済社会を支える最も根本的な力――それが「信」である。信なきところに取引は成り立たず、信を失えば、事業も経済も国もまた崩れる。この信の威力は、ただ一国にとどまらず、国家を超えて世界的な秩序と連帯を支える柱であり、まさ... -
富貴欲と教育の責任
富貴を求める心は、人間の本性に根ざした自然の欲とも言えよう。しかしその欲を、はじめより道義的観念を欠いた者に対して、功利のみを説いて教え導くとするならば、それはまさしく薪に油を注ぐに等しい。理性なき欲望は、ただ際限なき貪欲を呼び起こし、... -
国の誇りと自覚を持つこと
世界の一等国を自負する日本にあって、なお欧米に心酔し、自国を軽んずる風潮が絶えぬことは、まことに嘆かわしい。外を知ることは大切であるが、己を卑下し、他を妄信することは、自滅の道にほかならぬ。日本には、日本固有の精神があり、歴史があり、文... -
武士道を実業に生かす
武士道の精神は、刀を帯びた時代のものにあらず。それは義を貫き、恥を知り、誠を尽くすという、日本人の根本たる心のあり方である。この気骨と潔さを、今日の実業の道に移して用いるべきであり、まさに武士道は実業道の根幹たり得る。利を追いつつも節を...