2025年– date –
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静かなる才は、目立たぬところに宿る
人の能力や理解力は、表面の受け答えだけでは測れない。何も言い返さず、ただうなずいている様子は一見すると鈍く見えるかもしれない。 しかし、その沈黙の裏に深い理解と内省があり、教えを受けてすぐに実践し、自らの中に深めている人もいる。 表に出る... -
顔に心を宿せ ― 孝は、しぐさと表情に現れる
孝行とは、ただ行動で尽くすだけでは成り立たない。 たとえば、重い荷物を若者が持ち、食事や酒を年長者にすすめるのは、表面的な振る舞いとしては当然のこと。 しかし、それを「孝」と呼ぶには十分ではない。大切なのは、そうした行動にこもった「気持ち... -
養うだけでは足りない ― 敬意があってこその孝
親に衣食を与え、世話をするだけでは、本当の意味での孝とは言えない。 それだけでよしとするなら、犬や馬に餌を与えるのと何が違うのか。 親に対して心から敬う気持ちを持ち、接する姿勢にその敬意が表れていてこそ、それは人としての「孝行」である。 形... -
健康であること――それが親への最大の孝
親にとって何よりも気がかりなのは、子の健康である。立派なことを成すよりも、贈り物をするよりも、まずは元気で生きていてくれること――それが何よりの安心であり、親孝行となる。心を尽くしても、身体を粗末にしては本末転倒である。親に憂いを与えぬこ... -
親を敬う心は、礼を尽くすことで形になる
親孝行とは、ただ気持ちだけで果たされるものではない。親が生きている間は、礼に則って仕え、敬意と節度をもって接する。 親が亡くなった後も、葬送や祭祀のすべてにおいて、礼を守ることが大切である。 権力や立場によって礼のかたちを軽んじることなく... -
人は節目を重ねて、自在へと近づく
人の成熟には段階がある。 若くして志を立て、三十にして土台を築き、四十で迷いが消える。そして五十にして、自分の道が「天命」であったと気づくようになる。六十になれば人の言葉に柔らかく耳を傾け、七十に至っては、自分の望みに従って行動しても、節... -
刑ではなく、徳で導く ― 恥を知ってこそ、秩序が生まれる
「人は罰より徳で動く──恥を知る文化が組織を正す」 人々を統治する際に、法律や刑罰のみを用いるならば、民はただ罰を逃れることだけを考え、自らを恥じる心を失っていく。 しかし、徳をもって導き、礼をもって正す社会であれば、人々の内には自然と廉恥... -
心にまっすぐであれ ― 思無邪
「誠のない表現は伝わらず──信頼は“心の真っ直ぐさ”から始まる」 古典の詩経には、三百篇におよぶ詩が収められている。 だがその本質は、たったひと言に集約される――「思いに邪(よこしま)なし」。 言葉や行動にどれほど巧妙さや技巧があっても、そこに私... -
徳ある者が頂に立てば、自然と全体が整う
「動かずして人を動かす──徳が導く静かなリーダーシップ」 組織を導く者に最も求められるのは、徳の力である。 人を無理に動かそうとせずとも、自らの人格に厚みがあれば、周囲は自然と従い、秩序が保たれていく。 それはまるで、動かぬ北極星のまわりをす... -
認められることを求めず、まずは人を見る目を養え
人が自分を評価してくれないことに悩んでも、何も始まらない。大切なのは、他人の目ではなく、自分が何を見て、どう成長しようとしているかである。むしろ心を向けるべきは、自分が他人を正しく理解しようとしているかどうか。他人の価値や長所を見抜く力...