2025年– date –
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信は万事の本
商業道徳の骨髄にして、経済社会を支える最も根本的な力――それが「信」である。信なきところに取引は成り立たず、信を失えば、事業も経済も国もまた崩れる。この信の威力は、ただ一国にとどまらず、国家を超えて世界的な秩序と連帯を支える柱であり、まさ... -
富貴欲と教育の責任
富貴を求める心は、人間の本性に根ざした自然の欲とも言えよう。しかしその欲を、はじめより道義的観念を欠いた者に対して、功利のみを説いて教え導くとするならば、それはまさしく薪に油を注ぐに等しい。理性なき欲望は、ただ際限なき貪欲を呼び起こし、... -
国の誇りと自覚を持つこと
世界の一等国を自負する日本にあって、なお欧米に心酔し、自国を軽んずる風潮が絶えぬことは、まことに嘆かわしい。外を知ることは大切であるが、己を卑下し、他を妄信することは、自滅の道にほかならぬ。日本には、日本固有の精神があり、歴史があり、文... -
武士道を実業に生かす
武士道の精神は、刀を帯びた時代のものにあらず。それは義を貫き、恥を知り、誠を尽くすという、日本人の根本たる心のあり方である。この気骨と潔さを、今日の実業の道に移して用いるべきであり、まさに武士道は実業道の根幹たり得る。利を追いつつも節を... -
道理と国家を貫く事業の道
事業を営むにあたり、常に心がけるべきは、その仕事が国家にとって真に必要なものであるか、そして道理にかなっているかである。利のみに走らず、義と理とを備え、社会に益する道を選ぶことこそが、事業に携わる者の本分である。国家に必要とされる事業を... -
競争と道徳の分界
商工業の世界において、競争は避けがたいものであるが、その中にも明確なる道徳の一線が存在する。競争には、善意の競争と悪意の競争とがある。他を妨げ、利益を横奪し、破壊的に相手を貶めるような競争は、たとえ利を得たとしても、それは悪意の競争であ... -
個の富と国の富、調和の責任
個人の富は、すなわち国家の富である。国家の繁栄を語るに、個人の努力と勉励なくしてそれを得る道はない。人々が日々働き、励み、自己の発展と栄達を願うその営みが、やがて国の力を高め、全体の富へと結びついていく。このようにして富が積まれる過程に... -
人格の根と真の成功
忠信孝悌の道を重んじることこそ、人としての根を養い、人格を高める最も確かな道であると信ずる。この古より伝わる徳目は、単なる礼節や形式ではなく、人間の本質を正し、誠をもって世に立つための指針である。忠にして誠あり、信にして裏表なく、親を思... -
修養の本義と継続の力
修養とは、単に知識を学ぶことでも、精神を鍛えることだけでもない。それは、精神・智識・身体・行状のすべてを高め、人生全体を練り上げてゆく営みである。ゆえにこの道において、青年も老人も隔てはなく、いかなる年齢にあっても、常に己を修めねばなら... -
日々の修養と聖人への道
人は生まれながらにして完全ではなく、過ちを犯すものである。されど、誠実に修養を重ねるならば、過ちは一日一日と遠ざかり、善への歩みを深めることができる。修養とは、突如として成果を得るものではなく、静かに、着実に、日々の思考と行動を正し続け...